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空想配達便  作者: 月蜜慈雨


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7/11

旅行に行きたい話




 こんな都市伝説がある。もし検索サイトに、空想配達便と検索したら、強く願った人にだけそのサイトが現れ、空想を配達してくれる。



 


 わたしは日本を出たことがない。家庭環境がそんな余裕がなかったのもそうだし、なによりパスポートと取得していなかったから、行こうと思っても、中々腰が上がらなかった。

 でも、憧れだけはあった。教科書で見たウユニ塩湖、あそこに行ってみたい。本当に、人が浮くほど塩の濃度が高いのか知りたい。

 だけど、現実は忙しく、そんなことを考える余裕も時間もなかった。




 そんなとき、このサイトを知った。空想だけならば、そんな思いで名前と配達日を指定する。

 半分冗談みたいな感じで打ったが、半分は本気だった。




 配達日になった。

 ピンポーン、チャイムが鳴る。

 ドアスコープで覗くと、黒装束の怪しげな男とも女ともつかない人が立っていた。

 極めて空想上の人物っぽくて、なんだか魔法の世界から来たみたいでドキドキする。

 手に小さな箱を持っていた。





 ドアを開けると、佐々木美希さんですか?と尋ねられた。

 黒装束の姿に似合わず、アルトみたいな声で、わたしは少し安心した。

 わたしは、はい、と返事をした。

 黒装束の怪しい人は小さな箱を差し出した。

 その箱を開けると、自分が最も望む空想が見られるという。

 人によって相場は違うが、概ね30分くらいらしい。

 言葉少なく、黒装束の人はそう説明して、去って行った。





 少しの緊張と高揚がある。わたしは小さな箱を開けた。

 すると、向かい風が顔に当たった。

 目を瞑る。

 恐る恐る目を開けると、そこには燦々と指す日光とウユニ塩湖があった。雲と青のコントラストが素晴らしく、まるで夢みたいな光景だった。ウユニ塩湖がどこまでも果てしなく広がっている。まるで海みたいに。

わたしはウユニ塩湖の上を歩いていた。実際は歩けないだろうけど、これは空想だからいいのだ。果てしなく続くウユニ塩湖の上をいつまでも歩いていた。

 そして空想が終わった。





 わたしは早速、旅行サイトに予約した。実物であのウユニ塩湖を見たくて。空想より素敵だったら嬉しいな、そんな願いを込めて、わたしは旅行サイトの宣材写真を眺めた。








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― 新着の感想 ―
ウユニ塩湖は、まるで大地が鏡のようで、とても幻想的ですよね。空想で体験したら、それは実際にも行ってみたくて、いてもたってもいられなくなりそうですね。今回も印象的なエピソードを、ありがとうございます。
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