表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空想配達便  作者: 月蜜慈雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/11

眠りたい話




 こんな都市伝説がある。もし検索サイトに、空想配達便と検索したら、強く願った人にだけそのサイトが現れ、空想を配達してくれる。




 わたしは限界だった。元々寝つきが悪い方だったが、最近は特に寝れない日々が続いた。辛い。寝たい。でも寝れない。

 寝れずに朝日を迎え、その後に限界が来て、ようやく浅い眠りが来る。

 足りない。質も量も。

 睡眠外来にかかる前に、最後の悪あがきのようにこのサイトに名前と配達日を書いた。

 少しでも心を安らぎたかった。




 配達日になった。

 ピンポーン、チャイムが鳴る。

 ドアスコープで覗くと、黒装束の怪しげな男とも女ともつかない人が立っていた。

 怪しい人だ。

 手に小さな箱を持っている。

 わたしはドア越しに誰ですか?と尋ねた。

 黒装束の人は、空想を届けに来たものです。と答えた。

 恐る恐るドアを開ける。




 ドアを開けると、今咲千真さんですか?と尋ねられた。

 黒装束の姿に似合わず、誠実そうな声だった。

 わたしは、はい、と返事をした。

 黒装束の怪しい人は小さな箱を差し出した。

 その箱を開けると、自分が最も望む空想が見られるという。

 人によって相場は違うが、概ね30分くらいらしい。

 言葉少なく、黒装束の人はそう説明して、去って行った。





 わたしの心は限界に近かった。何も用心せず、早速その小さな箱を開けた。




 空想の中で、わたしは夜の海にいた。星空が瞬いて、細波があちらこちらから聞こえてくる。砂丘はわたしの足を優しく摩った。

 酷く満ち足りた気持ちになって、波の中を少し入ってみる。冷たくて気持ちよかった。思わず全身を浸した。

 ずっとここに居たい。

 そう思ったとき、空想が終わった。






 わたしは部屋を暗くして、YouTubeで波の音を再生して、ベットに潜り込んだ。さっきの空想を少しでも再現するために。

 すると、少しずつ睡魔がやってきて、わたしの意識を攫っていった。

 この日わたしは、久しぶりに夢も見ずに眠ることが出来た。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
星空が瞬く夜の海で、細波を聞きながら。素敵な光景ですね。空想を一度体験できたことで、主人公はその波音からまた空想を再生して。眠りを取り戻すことができたようで良かったです。読ませていただき、ありがとうご…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ