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空想配達便  作者: 月蜜慈雨


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バンジージャンプしたい話





 こんな都市伝説がある。もし検索サイトに、空想配達便と検索したら、強く願った人にだけそのサイトが現れ、空想を配達してくれる。



 バンジージャンプがしてみたい。あの高い場所から、風が吹き荒れる中、身一つで、真っ逆さまに飛び降りてみたい。でも問題がある。それは僕が、若干高所恐怖症であるということだ。本当に飛び降りたら、多分気絶すると思う。漏らすかもしれない。吐くかもしれない。それは流石に避けたい。



 そんなとき、このサイトの存在を知った。半信半疑だったけど、検索したら本当に出てきた。前評判では、VRみたいな感じと聞いたが、はてさてどうだろうか。僕はおもむろに名前と、配達日を指定した。



 もし部屋でバンジージャンプが出来るなら、吐いても漏らしても、人に迷惑かけない。精々、後片付けが面倒なだけだ。それが一番嬉しいかもしれない。

 配達日を、カレンダーにバツをつけて待った。



 その日は遂に来た。

 ピンポーン、チャイムが鳴る。

 小走りで廊下を歩き、転びそうになり玄関のドアにつかまる。



「はい!」



 ドアを開けると、そこには全身黒装束の怪しい人が小さな小箱を抱えて立っていた。

 ごくっと唾を飲み込んだ。僕の人生で黒装束に人に会うのはこれが初めてだ。もちろん、大多数の人が経験ないとは思うが。

 怪しい人は割と普通の声で、古永悠人さんですか、と本人確認してきた。



「はい!!」



 思わず、声が大きくなってしまった。途端に恥ずかしくなる。

 怪しい人は、そんなことは意に介さず、小さな小箱を私に差し出して、こう言った。



「小箱を開けると、空想が出てきます。人によりますが、空想はおよそ30分ほどです」



 そう言って怪しい人は去っていた。

 小箱だ。特に怪しい箇所はない。厚みもそこそこのただの小箱。



 部屋に戻って、タオルやビニール袋をいそいそ準備する。これで空想の準備は万端だ。いざ。

 僕は小箱を開けた。



 気が付くと僕は、ひょうひょうとしたからすごい風が吹き抜ける、橋の中央にいた。何メートルかなんて考えたくもない高さだ。チラッと見下ろすと、下は少しの川と岩だらけだった。



「はい、それじゃあつけますねー」



 突然現れたスタッフらしき人に、頑丈そうな命綱だったり、胴着だったりを着せられる。手慣れた様子で、あっという間に終わった。



「それじゃあ、いつでもどうぞー」


「え」



 改めて、下を見る。本当に飛ぶのこれ?

 いや、勇気を出せ。このために検索したんじゃないか。



 僕は飛び降りた。



 顔に凄い圧がかかって、全身が重力に従う。内臓が揺れる嫌な感じがして、吐き気がする。ある程度まで落ちると、揺り返して、やがって止まった。意識を失う寸前だった。

 空想はそこで終わった。



 現実に戻ると、床に大の字になっていて倒れていた。幸いなことに、吐いてもいないし、漏らしてもいない。安堵してため息を吐くと、手がまだ震えていることに気づいた。



 空想でこうなってしまうんだから、現実ではどうなってしまうんだろう。

 僕は唾を飲み込んで、パソコンを開き、今度はバンジージャンプの申し込みサイトを検索した。






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― 新着の感想 ―
バンジージャンプ、一度はやってみたいですが、その一度がきっと勇気が出ないかも知れません。そんな時、空想ならたしかに体験ができますね。今回も面白かったです。読ませていただき、ありがとうございます。
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