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空想配達便  作者: 月蜜慈雨


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12/14

サンタクロースに会いたい話




 こんな都市伝説がある。もし、検索サイトに空想配達便と検索したら、強く願った人にだけそのサイトが現れ、空想を配達してくれる。



「本当だ!!」



 思わず声が出た。慌てて周りを見回す。よし、誰もいない。

 親のPCを使っているから、これはないしょの行動なんだ。

 咲は小学二年生だ。長年、サンタクロースを追っているが、いつも捕まえられない。いつもサンタクロースが来る前に寝てしまう。そして朝にはプレゼントが置いてある。

 学校には、サンタクロースは親だなんていう友達まであらわれた。これはゆゆしきじたいだ。

 今年はなんとしてもサンタクロースを捕まえて、サンタクロースに本当の願い事を言うんだ。



 そんなとき、このサイトのうわさを知った。咲は学校でPCやタブレットを使っているから、PCの使い方が分かる。

 それで、親がいないすきを狙って、こうやってPCを使っているんだ。



 咲は意気揚々と、サイトに名前と配達日を書いた。備考の欄に、親にないしょでおねがいします、という言葉を添えて。



 ソワソワしながら待った。遂に配達日になる。この日は中々、咲の両親が外に出なくて咲は焦っていた。もしばれちゃったら、親に取り上げられるかもしれない。

 おとうさんが仕事へ、おかあさんがスーパーへ行く。

 そのとき、ピンポーン、チャイムが鳴った。



「はいはーい!」



 出ると、そこには全身黒装束の怪しい人が小さな小箱を抱えて立っていた。



「あなたが空想を配達する人?」



 咲が言うと、怪しい人は黙って頷いた。

 怪しい人はおかあさんみたいな声で、灯咲さんですか、と本人確認してきた。

 咲は多く首を縦に振る。

 怪しい人は、小さな小箱を咲に差し出して、こう言った。



「小箱を開けると、空想が出てきます。人によりますが、空想はおよそ30分ほどです」



 そう言って怪しい人は去っていた。



咲 は玄関をじっと見つめてから、ハッと慌てたように自分の部屋に帰った。そして両親が返ってこない間に空想を見ようと、エイヤっと、その箱を開けた。



 空想の中で、咲は雪の吹く中、雪原を歩いていた。不思議なことにちっとも寒くなかった。咲はだんだん楽しくなって、気づけば走っていた。



 夢中になって走っていると、雪が目を覆って一瞬前が見えなくなった。止まって腕で雪を落とすと、見上げた先には、大きな赤い服を着て、白い髭を蓄えた、サンタクロースが立っていた。



「あなたサンタさん?」



 咲が言うと、サンタは優しい眼差しでゆっくり頷いた。咲の顔がぱあっと明るくなる。



「サンタさん、わたしサンタさんにお願いがあるの!」



「なんだい?」



「毎年、咲にプレゼントくれるの嬉しい。でも、でもね、おかあさんとおとうさんにもプレゼントが欲しいの!さんにんいっしょがいいの!」



 サンタさんは優しく、咲の頭を撫でた。



「わかった。それじゃあ、サンタさんはこどものプレゼント運びに忙しいから、咲さんがおかあさんとおとうさんのプレゼントをかわりによういしてくれるかい?」



「わたしが?」



「咲さんが、おかあさんとおとうさんのサンタになるんだ」



 咲は興奮して、手を挙げて、やる!、と大きく返事をした。



「任せたよ」



 サンタクロースはそう言い、空想はそこで終わった。



 咲が目を開けると、自分のベットで寝ていた。そばには小箱が置いてある。

 玄関の扉が開く音がする。

 咲は早速、サンタクロースの言った通りにしようと思い、でも今日はおかあさんにいっぱい甘えようか悩みながら、玄関に向かった。












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― 新着の感想 ―
サンタクロースに会いたくて、親に内緒で申し込む咲の、純粋で素敵な願いが心に響きました。その咲にサンタクロースが伝える言葉も印象的です。 子どもらしいラストも心に残りました。読ませていただき、ありがと…
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