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貧乏領主の姫ですが、草取って売ってたら美貌の青年を拾った。

作者: 雷鳥文庫
掲載日:2025/04/23

軽い気持ちで書きました。頭を空っぽにして読んで下さい。


誤字報告ありがとうございます。

 私はエイダ・ライレネン。ここの領主のライレネンの娘である。

普通ならお姫様と言われるのである。

そう、普通なら。

「ウチの家訓は自給自足!いいわね!」

「ハイ!お母様。」

「ではみんなで復唱なさい!」

私と姉の声がそろう。

「ハイ!」

「働かざるもの食うべからず!」

「はたらかざるものくうべからず!」

「贅沢は敵だ!」

「ぜいたくはてきだ!」

「ライレネンが通った後は草も生えない!」

「らいれねんがとおったあとはくさもはえましぇぇーん!」


はっきり言って貧乏待ったなし。



自給自足とは、自分の食い扶持を稼げよ、ええか。

である。

ウチの領土は狭い。そして土地が枯れている。

名ばかりの貴族だ。旅の商人の方がよっぽど豊かである。


私は小さい時から、ドクダミだとか、ヘビイチゴだとかを森の奥の小さな沼に取りにいった。

そして森の魔女に売るのである。


「ワシは腰が痛くてのぉ。助かるわい。

今度はドクゼリも頼むぞい。」


ちっちっちっ。


「おばあちゃん、それはとくべつてあてをいただきます。どくぜりはきけんです。しるでかぶれます。」

「賢いのう。では特別手当と中古じゃがこの魔法の手袋をやる。」

「ただよりたかいものはなし。ちゅうこのしょぼいてぶくろで、おんをうられてもこまります。」

「では、三ギエンでどうじゃ、新品じゃ。」

「なら、よし。」


こうして採取に励んだ。毒草をどんどん摘む。

段々少なくなってきた。

だけど春にはツクシも取れる。フキノトウも。

採取しては市場に持ち込んだ。


人は私を草取りのヒメと呼ぶ。


「おおっ、偉いな。草取りのヒメちゃん。今日もお手伝いかい?」

市場のじいさんばあさんが声をかけてきた。

「いいえ。くいぶちをかせいでいるのです。」

みんな、はっ!として口を覆い、涙ぐむ。

「苦労してはりますなあ。」

「今日もおかせぎやす。」

「嬢ちゃん、歳いくつや?何?七つの子?

ううっ。不憫や。」

カンサイ国から出稼ぎにきている商人達にも可愛いがられるようになってきた。


私がせっせ、せっせと摘むと生態系が変わってきたようだ。草が生えて無い場所も出てきた。

そこはドクダミゾーンだったけど、すっからかんだ。なんてこと。駆逐してしまったか。

すると、ゴツゴツする石が見えてきた。

よくみたら涅槃像のようである。


白い像が横たわる。多分なんかの神さまであろう。

綺麗めの花を供えて拝んだ。

「ここでさいしゅするきょかをいただきます。

ちんもくならいぎなしと、みなします。」

どっかの悪者カリオストロとお姫様クラリスの結婚式みたいなことを言って離れた。


その日の夜。

「ひゃあくううううー。」

と言う声が響きわたった。何だよ。あ、夢か。


次の日。水仙が咲いていた。珍しい。お花は道の駅に売る。

葉っぱと球根は魔女に売った。


「水仙も毒があるからの。ひっひっ。また、たのむぞえ。」

婆さん何に使うんだ。


石像には水仙を一輪供えた。


「きゅーじゅーきゅううう。」


また、夢の中で声が響く。

なるほどなあ。そう言う仕組みか。

ゼロになったら、何かええ事が起こるかもしれんね。


それからせっせとせっせと収穫してはお供えした。

そのたびカウントダウンされていく。

マジックは減る減る、点灯する。

たんぽぽを摘んで、たんぽぽのお茶をつくった。

クローバーが生えてきたら、ドンドコ踏んで、四葉が出来るように頑張った。

クローバーは踏みつけると四葉になるというものね。摘んで栞にしたよ。よく売れた。


花冠を供えたらどうもこれは男神だなと思った。

少しずつホコリが取り除かれるように、目鼻立ちがハッキリしてきたぞ。


像が埋没している草が減るたびに、色んな花が咲く様になった。


どんどん摘む。

「きょうもありあとやんした。おそなえです。

きんじょのおばさんがくれました。」

もらった綺麗な余り布で作ったパッチワークのハンカチだ。

おや、あねさんかぶりにしたら似合うじゃないか。


2ヶ月経っていた。カウントダウンは38になっている。


「ねえ、バラの花?それ。この季節に珍しいわね。」

10個上のルルーシエ姉に声をかけられた。

「そうですよ、ねえさま。でもこれはうりものなので、さしあげられませんよ。」

「ええー、私も欲しいわ。」

「ではいっしょにさいしゅにいきますか?なにかおそなえがひつようです。きょうはふたりでいくのですから。」

「おそなえ。」

「ねえさまが、つくってうってる、ガラスビーズのネックレスがいいのでは。」

「うーん、じゃあ、こないだの売れ残りを持っていくか。」


ルルーシエ姉はペンダントを持ってきた。

コガネムシをモチーフにしたペンダントトップがついている。

「蝶々や、てんとう虫は完売したのに。さっぱりなのよ。」

ちょっとだけ胴長になってるから、○キ○○に見えるからでは。


それをお供えした。

「きょうは、ふたりできました。バラをようしゃなくつませていただきます。」

「まあ、素敵な男神の像。ネックレスをどうぞ。お似合いですわ。」


二人でバラを摘んだ。

「うふふ。素敵なお花ですわね。明日も来ますわ。」


次の日。

更に色とりどりのバラが咲いているではないか。

「まああ、素敵。」

お姉さまは、大喜びだ。 


その日の夜。

「さんじゅう〜ろーく。 あの〜、明日も姉上くる?」

「むにゃむにゃ。はい、たぶん。

こちょうらんもすきみたいです。」


「りょ〜。」


次の日。立派な胡蝶蘭が咲いていた。

「こいつはすげえです。」

「ええ、新築祝いや開店祝いに売れるわね。

ふふふ。ひと株二万ギエンで売れそう。いくつあるかしら。」


その日の夜。

「さんじゅうご〜。リクエストある?」


「ごくらくちょうかです。」

なかなか珍しいので高く売れます。

「りょ〜。」


それから、姉上をつれて日参した。

「うふふ。ビーズの指輪ですわ。」

姉上の売れ残りのビーズアクセで石像はオシャレさんになってきた。

ネックレスなんか、10本くらいかかっている。


1ヶ月弱続けたところで姉は言った。

「秘密のお花のおかげで稼げましたわね。そろそろ準備をしなくては。」

「おねえさま。じさんきんには、たりますか?」

「エエ。珍しいお花のおかげでがっぽがっぽよ。」

リリーシエ姉は嫁いで行った。


その夜。

「さーーんー。」

最近お姉さん来ないけど、なんで?」

夢に白く輝く男が現れた。

石像にクリソツです。神様だね。

「あねはけっこんじゅんびのため、さいしゅのおしごとをするひまがなく、ひかえておりましたが、

きょうめでたくとついで、いきました。」

「ええっ。」

顎が外れるように驚かれた。美男子が台無しです。


「…あの、しばらく君も来なくていいよ?」

「なんでですか。なっとくできないので、りゆうをかんけつに、くわしくおしえてください。」

「それは…ああっ、時間切れ!」


次の日。

神様の気を悪くしたのだな。やはりグラマーな姉上がいないと花が手抜きなのかしら。

アザミがいっぱい、トゲトゲしかった。

パン!パン!

手を打って念入りにお参りする。

私の信心よ、届け!


その日の夜。

「にい〜。」

…あの、もう気合いを入れて祈らなくていいから。あまり信心されても。」

「なぜですか。」

「それは…ああ〜。」


また薄くなって消えた。

どうも何かを話したそうなんだけど、それを話すと消えるらしい。


次の日。

涅槃像はくっきりはっきりしてきた。

つまりまわりに花がなくなってきたのだ。

おや。眉間にシワがある。

お可哀想に。持っていたミツロウを塗り付ける。

蜜蜂とバトルしてうばったハチミツだ。

巣を丸ごと取ってきて、みつの部分とロウの部分をわけ、それを原料にクリームを作ったのだ。


ぬりぬり。


これで顔のシワも失恋のこころの傷も癒やされれば良いのだが。

ヨモギしか生えてなかったけどありがたくいただいた。

これはこれで需要があります。


その夜。

「いちーー。

ねえ、しばらく来ないで、ちょっとお休みしてくれない?10年くらい。ダメ?」

半泣きの神様だ。

「せっかくさいしゅのばしょですのに。

せいかつのかてがなくなったら、しかつもんだいなんです。

さいきん、みずうみのすいしつもよくなってきて、めいすいとしてうれそうなのに。」

「君の信心はよくわかった、だけど…」

はい、今日も時間切れ。


次の日。 

ハギレを使って像の全身を拭いた。

うん、池の水は綺麗だな。

身体は横たわったままだが、姉がつけたビーズのネックレスや指輪のホコリも落とした。

うん。コガネムシのペンダントトップもツヤツヤと黒光りしてきた。

かえってゴ●●リっぽくなったかな。やべえ。


眉間のシワは更に深くなっている。

アロエで作った美容液も塗って、お顔全体にレモンパックとしておいた。

道の駅のおっちゃんが、

「嬢ちゃん、ちょっと規格外で捨てちゃうところだ。持っていきな。」

と言ってくれたのだ。

「これでつるつる。ぴかぴか。いいかんじ。」



帰宅した。

「ゼーーローー!」

夜、地を這うようなひっくい声で起こされた。


おやあ?

神像そっくりの神様が目の前に浮かんでいるではないか。白い光に包まれて。

「うっうっうっ。やっと動けるようになったけど。

うっうっ。」


「なるほど。カウントダウンがゼロになるとじったいになれるのですね、おめでとうございます。」


「…私はあまりにナルシストだからと天界から落とされた神だったのだ。

それに、自分の美しさにかまけて他者を蔑ろにしたから、石になって転がっていろ、と石像にして池の縁に捨てられた。」


泣き続ける神様の目は赤い。

「はあ。」


「百日続けて、信心してもらえれば石化の呪いが解けると。うっうっ。」

胸にはチープなネックレス。指には伸び切ったビーズの指輪。

頭にはパッチワークのスカーフも姉さん被りでさっそうと。

 

ちょっと見すぼらしいぞ。


「なるほど。あんなへきちではおまいりしてくれる人があらわれなかったのですね。

おひゃくどまいりだったのですか。」


「うん。300年待っていた。」


「おやくにたててなによりです。おれいはいいですよ、しょくぶつをいただきましたから。」


「ノオオオーーッ!ありがたいけど!そうじゃない。どうして姉君でなくて君なんだ!」


「そういわれましても。」


神様はおーいおーいと泣いている。


「もしや、おなきになってるのは。のろいがとけたうれしさでは、ないのですか。」


「うん。呪いは二段階になっているんだ。

100日続けて、清らかな乙女の祈りが必要で、その後、その乙女を守らなくてはならないのだ。

――伴侶として。」


「はんりょ。」


「仕方ないから妻にしてやる。」 

「ごえんりょします。おきづかいなく。

あんたはロリコンですか。バカヤロウですか。」


「仕方ないだろう、そう言う決まりなんだっ。

君が私を愛してくれたら天界に帰れるんだ!」


「さんびゃくさいいじょうの、ジジイなんかおことわりです。クーリングオフいたします。」


「どうしてだっ、私は美しいだろう!

どうか私の求婚を受けてくれたまえ!」


目の前にせまってくる神様。


「ちょっとだけ結婚してくれない?白い結婚でいいからさ。」

ジャラジャラと揺れるチープなアクセたち。


「なにをいってるかわかりません。わたしは七つです。ほうてきにもけっこんできません。

それに、へんなファッションセンスのかたはちょっと。」

「ああーだから10年後に来てっていったのにー。

それにこのセンスは私じゃないっ!

仕方ない、君が私と結婚してくれるまで付き纏う!」


「ストーカーはおことわりします!」

「植物取り放題だぞー!」

「なら、ヨシ!」


とりあえず神様は私の守護者となった。


私が結婚できる年齢になって、神殿で愛の誓いをしたら、天に帰るそうだ。


「はんりょをまもるのでは。けっこんしたらすぐきえるのですか。」


「一応、結婚して10年間の保護を与えたあとは帰ってもいいことになってるんだ。

だから君をこれから10年守る。前倒しで。」


「クソなシステムですね。あねが、あなたのてにかからなくてよかった。

じゅうねんごに、しんまま、かくていだったのですね。」


美貌の神様は眉尻を下げた。

「えーっと。君のお姉さんは私の好みだったから、そのまま添い遂げるつもりだった。

君とは結婚式の誓いの言葉の後、すぐドロンと消えるつもりだから。

戸籍も汚れないよ!安心してね!」


「なんだかはらたちますね。ぐーでなぐってもいいですか。」


「聞く前に殴った!」



そして私は面倒くさい美青年の神様を拾いました。


これから10年、付き合わねばならないようです。


朝になったら両親のところへ連れて行った。


「おかあさま、おとうさま、こんなんでましたけど。」

「どうも。水辺の美青年の神様です。」


「ま!なんてこと。宗教関係は間に合っています!」

「エイダ、もとの場所に戻して来なさい。」


「そう言わないで。お嬢様の後ろにくっついて飛んでるだけですから。」

「ええー。ストーカー。そんなの付いてたら縁談に差し支えるわー。」


「守護者と言って下さいよ。それにええ護衛になりまっせ。

加護として、この土地に色んな花を咲かせます。豊年満作間違いなしですよ!」

「なら、良し。」


両親の許可は出た。


私はそれから背後霊的に美男子だが、うっとうしい神様をつけて暮らすことになった。


「たまにひとりででかけたいのですが。」

「ええっ。ご不浄とお風呂以外は離れないよ。というか、五メートル以上離れられないもの。」

「それでは、おんせんのだいよくじょうにはいれないでは、ないですか!ばかやろう!でばがめやろう。」

「まだのぞいてないし!」


まったくこの神様は。

道を歩いていたら、綺麗なお姉さんを見たら寄っていくし。

「この子迷子なんで。一緒に親を探してくれませんか。」

勝手に人を迷子にしてナンパするな。


 夕方。

「あー、遅くなったな。ホラ光ってやる。明るいだろう?」

「ホタルですか、アンタは。」

「アンタじゃなくて名前はルミエル。」

「うたがうまいローソクつきのしょくだいか、

ちほうのスーパーみたいななまえですね。」

「キミはなんだっけ?」

「こじんじょうほうなのでおこたえできません。」


というか親が呼んでたろう、エイダと。


 ――そう言うわけで、私とルミエルの旅はここから始まった。


「わたしたちのぼうけんはここからだ!です。」

「え、なんで夕日に向かってコブシ振り上げてダッシュしてんの?」



――――「完」

※次作にご期待下さい。





「おいっ、勝手に終わるなっ!」

「ちっ。せっかくしょうねんマンガのうちきりっぽくおわろうとしたのに。

……それではあなたのできることからはじめましょう。

まず、ほうねんまんさく。てんねんすいをせいすいに!」


「それよりあの美人のメイド紹介して?」

「五メートルさきで、ぬればをえんじられるのは、ごめんです!きゃっかです!」

「そんなあ!」

「りょうどをゆたかにしたら、かのじょと、てをつなぐことをきょかします。」

「ええええ。キビシー!」



この後私はこのルミエル神と10年付き合うことになるのだが。



詳しい話はいずれまた。

機会があれば。



続きを書くかもしれません。

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― 新着の感想 ―
十年経ったら17でしょ? 気が変わってんじゃないのクソナルシスト駄神w もしそうなったとしてもエイダちゃんにはあっさり振って欲しいですが
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