表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
――竜の息子と聖嶺の大地――  作者: たけまこと
第七章 聖嶺の大地
178/221

龍神の巣

7ー009

  

――龍神の巣――


 遂にコタロウ達は掩体壕の下にある龍神ダイガンドの巣に乗り込むことに成功した。

 

「おお〜〜っ、これはすごく大きなドームですね〜」

 月面都市で見た地中ドームよりも更に巨大な空間がそこには作られていた。

龍神の体であろうか?巨大な物が横に連なっており、そこにいくつも円盤状の物が取り付けられており、それにチューブが繋がっている。

 その床には月面都市で見られた6本足の機械が数多く徘徊をしていた。どうやら月面都市も龍の巣もメンテナンス用の機器は共通のようだ。

 

「景色をボ〜ッと見ている暇は無いぞ、敵が攻撃をしようと構えておるじゃないか」

 ティグラの言葉に従って前を見るとグレイの巨人が5〜6体、武器を構えてこちらを囲んでいる。

 エネルギー波がバババッと浴びせかけられたが、シールドによって弾き返される。

 

「うわわっ、何か撃ってきましたよ〜」

「当然じゃ、こちらが来るのがわかっていて、待ち伏せをしない狩人がいると思っておるのか?飛び降りるぞ!」

 ぱっと全員が車から離れると、車に向けて攻撃が浴びせられ火を吹く。

 グレイの巨人の前に降り立った4人の後ろで黒い巨人2体が姿を表す。亜空間を解除したのだ。

 

「ティグラさんもOVISを連れてきていたのですか〜?」

「当たり前じゃ誰がこんな際どい格好で戦地に赴くものか?」

 そうなんだ〜っ!自分たちが際どい格好をしているという認識はあるんだ〜。

 OVISが手の平を前に出しコクピットのある腹の扉を開く。ティグラたちは5メートルの高さにある手の平に飛び乗り、そこからコクピットに飛び込む。人間とは違う兎人族の身体能力である。

 その間もグレイの巨人はみんなに向かって攻撃を仕掛けてくる。コタロウは前に立ってシールドをはり、カロロは頭の上から炎弾ファイアボールを使って反撃をしている。

 

「グレイの巨人は武器を持っているよ〜っ、OVISに武器はないの〜」

「黒い巨人の武器は、体に内装されているのー。でも、どこを攻撃したら良いのかわかんなーい」 

 グレイの巨人の攻撃がコタロウのシールドに当たると反動でコタロウはふっ飛ばされる。ヘル・ファイア程ではないが、かなり強力な武器のようだ。

 

「あんまり攻撃を受けると危ないな〜。後ろに下がっていたほうが良さそうだ」 

 自分だけならともかく今はカロロがいる。不用意な攻撃を受けるのは避けたほうが良いだろう。 

「ティグラさんが今回は情報を集める事に集中するってー」

「それじゃそれは巨人さんに任せて僕らは後ろに隠れていようね〜」

 いろんなことはティグラに任せて、コソコソと巨人の後ろに隠れて様子を見るコタロウである。

 

『上昇するぞリクリア!』

『はいっ!おば様』 

 掩体壕の天井付近まで上昇すると200メートル位だろうか?全体の状況が良く見える様になる。

 

「うわっ、すごく長い!」

 ドームの幅は500メートル程だが、前後の先にはずっと長く胴体が続いているのが見え、その先の状態はわからないくらい長い。

 そこには巨大な翼竜の胴体が横たわっており、等間隔に胴体に接続するプレートとそれに繋がるチューブが見える。

 そのチューブはドームの壁にあるコネクターに繋がっており、これが確立したシステムとなっていることが感じられる。

 

『あれはいったい何なのでしょう?』

『龍神に対する栄養補給システムじゃ、すでに龍神は物を食える大きさではないのじゃ』

『セイラム殿!攻撃して良いのか?』

『無理をしなくて良い、出来るだけ情報を収集してあとは逃げ出すんじゃ』 

 床には6本足の機械が翼竜本体にも取りついており肉体の維持に必要な仕事をしている様に見える。

 所々に液体が漏れたような跡も見て取れ、おそらくそう言った修理もしているのだろう。

 

「これだけの施設と設備が有って、ダイガンドが龍神として存在していられるんだね~」

 下からグレイの巨人が武器を持って飛び上がってくる、いよいよ空中戦である。

「右側から外に出られるー、ふたりはもっと情報を集めるから、おにーちゃん先に逃げるー」

「わかった!ボクだってグレイの巨人と空中戦なんかしたくないからね~」

 ただでさえ飛行速度の遅いコタロウである。

 

「前からもくるーっ」 

 コタロウの飛行方向からグレイの巨人が武器を発射しながら接近してくる。

 前方に平板のシールドを張って体を後ろに隠すと、それに当たった光線が反射されグレイの巨人の所で爆発を起こす。

 爆発に弾き飛ばされた巨人ではあったが特に壊れてはいない様だ、しかし発射していた武器は爆発して使えなくなっていた。

 

「意外とこのシールドは有効なんだな~」

「後ろはティグラさん達にまかせてー、さっさと、とんずらするーっ」

 あ~っ、はいはい、そうしましょうね~。

 

『竜ノ子供タチヨ、イカナル理由デココニ来タ?早々ニ立チ去ラネバ攻撃スル』

『えーっ?なーに?龍神さんなのー?』

 

「どうしたのカロロちゃん。誰からかの連絡があったの?」

「龍神が言ってるー、出てかないと攻撃するってー」

「これでも精一杯の速度で飛んでま〜す」 

「なにか翼竜からでてくるーっ」

 翼竜の背中から何かの機械が盛り上がって出てくる。

  

「あ~っ、あれ?カルカロスの街に落ちてきた翼竜から出てきた機械ににてるよ~」

「光線兵器だってー、シールドを後ろに作ってにげるーっ!」

「わ、わかった!」 

 出口に向かって飛びながらシールドを張る。コタロウ達は既に龍神の頭の横まで飛んできていたので、巨大な目がギョロリとこちらを見る。

 

「りゅうじん、めつきわるーい!」

 

『外カラノ侵入者ニモ対処セネバナラヌ。目ノ前ヲチョロチョロ動クナ鬱陶シイ!』

『ハエじゃないんだからー、気楽に攻撃すると痛い目見るーっ?』 

 背中の兵器から光線砲が発射されコタロウのシールドに当たる。なるべく体を小さく縮めて光線を受けるが、その照射の反動で吹き飛ばされる。

 

「ありええええ~~~っ!」

 

 悲鳴を上げながらジグザグに飛行して必死で龍神から逃げていくが…お、遅い。


  *  *  *

 

「どうやらうまく龍神の巣に侵入に成功したみたいじゃな」

「何でしょうか?あれが龍神様なのですか?」 

 視界に入るのはおそらく龍の巨大な胴体の一部が見えているだけらしい。その胴体の表面にいくつもの大きな円盤状の端子がつけられており、それに幾本ものチューブが繋がっていた。

 

「あれは何をやっているのでしょうか?龍神というのは生き物では無いのですか?」

「生き物じゃよ、生き物だから飯も食い呼吸もする。しかし全長が1000メートル以上もある生き物が一つの口から食べ、一つの鼻から呼吸したとして、どうやって全身にその活力を巡らせることが出来ると思うのかね?」

「それでは龍神様の体は一体どうなってしまっているのでしょうか?」

「あの体にくっついている円盤から体内に栄養素を注入しているのじゃろう。実はこうなることは予想してはいたのだが、現物を見るといささか醜悪にすぎるのう」

 

「確か龍神が誕生したのは500年前と聞いたが、元は100メートル程度の体長の翼竜ヴリトラが、なぜその10倍以上の大きさになったんじゃ?」 

 瘤翼竜ギガンドーグ翼竜ヴリトラM型無機頭脳メルビムを取り込んだ姿なのである。だが龍神ダイガンドは事故のせいでH型無機頭脳ハルビムを取り込んでしまった個体である。

 瘤翼竜ギガンドーグの巨大な体と、強力な頭脳が、500年の間にこれだけの大きさまで育ってしまったのは、狂ってしまったH型無機頭脳ハルビムによる作為なのである。

  

「龍神様、お可哀想にそんな体になってなお生き続けなくてならないなんて」

 エンルーの言葉にシリアがそっと寄り添う。

「あなたを害そうとした龍神様にすら同情できるとは、なんて優しい娘なのでしょう」

「残念じゃがその龍神を現出させてしまった責任は我々にあるのじゃ。あれは我らの仲間ではあるが、もう助けることはかなわぬ、速やかにヘイブに帰してやらねばならんのだ」

天上神ヘイブのご意思とあれば、私達はそれに従うまでのことです」

 エンルーはセイラムに対して頭を下げる。しかしシリアはその事に関しては意見を異にした。

 

「エンルーさん、誰か別の人の意見に無条件に従うことが良いこととは限りません。権威のあるもの、強いものはその権力を背景に自らの行為を正当化することが多いのです」 

「それが天上神ヘイブであってもですか?」

「最も注意しなくてはならないものはそういった宗教の教えです。神を敬うことと神に従うことは全く別のことなのです。天上神ヘイブに取って良いことがエンルーに取って決して良いこととは限りません。現に龍神ダイガンドは、龍神教の巫女であるあなたを殺そうとしたではありませんか」

 

「シリア殿は随分シビアな事を言われるようじゃ。天上神ヘイブその物である妾も疑ってかかれといわれるのか?」

「はい、あなたの心と思想が、エンルーにとってより良きものであることを確認せずに信じてはならないと言っているのです」

 セイラムは自らが十全の信頼を得ているとうぬぼれていたわけではないが、シリアの言葉は盲信ずることなく常に相手を評価することを要求していると気づく。

 

「相分かった、妾もそうなれるよう努力しようではないか」

「おばさま、私はどうしたら良いのでしょうか?」

「人の言うことを聞くのは大切です、しかしそれを自らの心の中で租借し、判断しなくてはなりません。今はなるべく多くの人の意見を学ぶときです」

「わかりました、おばさま。エンルーはうんと努力いたします」

 

「オーッホッホッ!シリアさんなんて素晴らしいお考えなのでしょう?全く同感でございますわよ〜。私もエルメロス大陸で住人の皆さんを教育してきた甲斐がありましたわ〜」

「まあまあ、医院長ワシと一緒に船長席で様子を見ようか?解説をしてくれんかね」

「あら、やだ。ガーフィーさん。何をするんですの」

 空気を読めるガーフィーは医院長を引きずって船長席に引きずっていく。


「ちょっと、そこはお尻ですよ」

「まあまあまあ、ワシも昔は医院長せんせいの学校で自主独立の精神を習った物じゃないか」

 艦長席に座ったガーフィーは医院長を膝の上に座らせる。

「あら?うちの学校の生徒さんだったの?」

「おお、医院長せんせいの魔獣腑分けの授業は印象に残っているぞ」 

 それは腑分けではなく解体と言うんじゃないのか?というか医院長さん何歳なんでしょうか。 

 そんな話をしている間も艦橋のスクリーンにはOVISとコタロウが映し出されていた。

 

「いいぞ、飛行ドローンはまだ活動を継続しておる。このままもっと情報を集めてくれ」

「龍神様はものすごく大きいです」

「全長はおよそ1500メートルはありそうじゃな」

 グレイの巨人と黒い巨人が戦闘を行っている最中もカラクリ達は動きを止めない。

 

「なぜ月面都市と同じカラクリがここにもあるのですか?」

「当然じゃ、月面都市の修復設備もこの管理基地も、元は我らが造った物じゃからな」

「見てください、龍神様の背中が盛り上がって何かが出てきます!」

「旋回砲塔じゃ、危ない!コタロウ逃げるんじゃ」

 セイラムが怒鳴ると、直ちにエルラーがその言葉をカロロに伝える。

 

『カロロさん、龍神の背中の強力な砲塔があなたたちを狙っています、逃げてください』

『近すぎるのー、逃げるのは無理だからシールドでうけるのーっ』

『だめよーっ!あれはヘル・ファイア並の威力があるのよーっ!』

『それならだいじょうぶーっ、お兄ちゃんならたえられるーっ』

 龍神の背中から出現した戦艦砲から発射された光線はコタロウを包み込んだ。

 

「ひええええ~~~っ!」

 

「なんじゃあれはーっ!本当にヘル・ファイアじゃないか!」

 光に包まれたコタロウを見てガーフィーはその死を確信した。

 ところが体を丸めたコタロウの後方に出現した平面シールドはそのヘル・ファイアすらはじき返す。反射された光線は龍神に跳ね返りその戦艦砲を破壊した。

 

「GYAAAAOOOO~~~!」

 叫び声を上げる龍神を尻目に、尻尾の先を焦がされたコタロウはジタバタと悶えながら出口に向かって飛んでいく。

『今そちらにヒロさん達が到着いたします、コタロウ様はなるべく低い高さでトンネルから脱出して下さいませ』

『わかったーっ、あとはまかせたのーっ』

 

「ふーっ、ふーっ、ふーっ」

 涙目で焦げた尻尾に息を吹きかけるコタロウ、山火事の中で昼寝をする竜人の伝説はどこに行った?

「おにーちゃん、地面すれすれに飛んで外に出るーっ」

 ノタノタと地面すれすれに飛行していくコタロウ。出口の近くから外に出ようとしているところを駆けつけてきたヒロたちが発見する。

 

『コタロウさんを視認した、その後ろで龍神がゆっくり口を開けてます』

『それは戦艦を撃ち落とした軌道砲じゃ、それを受ければOVISのバリアーでは持たないぞ!』

『だめよ!スピードが出過ぎている、あの射線からは逃げ切れないわ』

『わかった!、メディナ速度を上げて龍神の横を突っ切るぞ!』

『了解!』

 2体のOVISは龍神の顔を目掛けて全力で突入をしていった。

 

 大きく開けた龍神の口の中に光る粒子が集まって行く、間違いなく龍神が発射する超巨大ヘル・ファイアだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ