冒険者ギルドに到着~エリンの濡れ場
あとからギルドの受付の人に聞いた話だ。
「成功」「繁栄」「健康」「幸福」「旅の安全」。
それが青緑の宝石――『ターコイズ』の石言葉だった。
残念なことに、ゾアのセンスは親友のボクにしか知られていない。
「活かしどころがあると思うんだけどなぁ」
と、小さくぼやくものの、それは誰にも拾われることはなかった。
◇
「ようやく、第一歩だ。少しずつ努力してきたんだ。僕ならやれる。始まる前から躓いちゃいられないさ! じゃないと、いつまで経ってもこの領地から出られない」
ゾアと別れた後、すぐさま決意表明し、エリンは息せき切ってギルドに向かったのだが、あいにく、かなりの人で賑わっていた。
「行列に並ぼうかどうしようか」
少し悩んだ末に、自分の格好があまりにもあまりだと気付いたので、「一度、汗を流して着替える必要があるね」と、一旦家に戻ることにした。
出鼻を挫かれた訳では無い、好意的な解釈も時には必要であると学んだだけだ。
夜露と朝靄と興奮で全身をぐちょぐちょに濡らしたエリンは、急ぎ家路についた。
◇
三十分ほどの全力疾走の末、少し閑散とした郊外の我が家にたどり着いた。
湖の畔にある大きな赤い屋根の家だ。ここには家族四人で暮らしているが、エリンを始め、家族の朝は早い。
父と兄は、玄関に掛けた外套が無いので、仕事に出掛けたようだった。
母は、昼食用の食材を狩りに出掛けていると思われた。
玄関に立て掛けられた、大剣やら色々な装備品が無かったのだ。
皆、留守のようだった。
不在を確認するやいなや、エリンは裏庭に飛び出して、井戸の水をひっかぶった。
濡れ鼠ならぬ濡れエリンは後先など考えていられなかった。
全身はビショビショ。拭くものなど何も用意されていない。
水を含んだプラチナブロンド頭髪は、いつもより少し癖が強くなった。にも関わらず、頭頂部のひと束だけが、ぴょーんと重力に逆らっていた。
伸びたアンテナを合わせてようやく、同い年の親友と同じくらいの身長だ。
ゾアが高身長というわけではない。
エリンの身体があまりに小柄すぎるのだ。
ゾアの変声期を羨ましいと思ったのは、自身の成長があまりに遅かったからだが。
「――そんなことよりも、美少女よりも遥かに整ったエリンの顔立ちこそズルい」
とは、いつかのゾアの談である。
水に濡れたゆるやかな癖っ毛はこの時間に限っては月色から、朝日の輝きへと変化していた。
月夜には月の女神を思わせたが、今のエリンは、水の女神か太陽の女神の如し。
今は家族全員が出払っていた。
だから、誰もそんな感想を持つものは居ない――はずだった。
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