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夜の指名依頼はもうやめて!~淫魔王・羞恥王・愚賢王のマルチジョブ無双~  作者: norikurun~のりくるん~
第2章 エリンとゾアの誕生日プレゼント~出発までの下準備
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親友から贈られたもの。瞳色の宝石。

 ◇


 エリンは少しエモくなりすぎていた。

 冷静になると少し……。


 なので、さらに気を落ち着かせようと、持参した水筒に口をつけた。

 その途端、その口をへの字に曲げた。

 青と緑の入り混じったきれいな瞳が少しだけ潤む。

 

「母さん、またすり替えたね、はぁ……」


 呟きとため息が漏れても、苦味と辛味は居残ったままだった。

 だから、舌と喉を焼く謎の液体とツブツブを洗い流そうと水辺に向かった。


――その途中、遠くの方から何やら声が聞こえてきた。


「……おおおい……エリ――ン、……朝が早いなぁあああ――!」


 最近になって耳に馴染み始めた親友の“低い声”が「おはよう」と言っていた。


 その声に表れる『一足早い成長の兆し』が少し羨ましかったが、やっかむ気持ちは毛頭なかった。取り急ぎ声のする方へ視線を向けた。


 すると、


――数十頭もの羊を率いた『カラフルなミノムシ』が目に飛び込んだ。


 モンスターや珍獣の類いではない。

 『ドウデモイイ』が服を着て歩いていたのだ。

 いや、ゆっくりと遠くから近づいてくるソレは、『傑作』に身を包んだ親友のゾアだった。

 

――『ドウデモイイ』情報だが、周囲から『傑作』と呼ばれるソレの概要は次のとおりだ。

 そこらにある布を、とりあえず穴が塞がれば良いとばかりにツギハギし続けた“ズボラ意識”の末に生み出された『上下一体の装い』。よく見なくても『作者の意図』がよくわかる逸品。

故に周囲から…………。


 当時、それを聞いたエリンは心底どうでも良いと思った。



 ちなみに、親友ゾアの『首から上』は焦げ茶色の癖っ毛に覆われている。

 『首から下』とはずいぶんと対象的で、地味な色合いだ。

 それなのに全然おとなしくなく、クルンクルンに暴れ放題だった。

 引き連れた羊の毛と大差がない……いや、刈入れ時はとうに過ぎていた。


 エリンは心の中で謝った、羊に。


 そんな相変わらず『天辺から爪先まで無頓着』が代名詞のゾアは、まだ十一歳だ。


 なので、エリンが若干お兄さんだった。

 だが、頭一つ分はゾアのほうが大きかった。


――納得がいかない!


 とうに通り過ぎた葛藤が何故か再燃し始めたが、射程圏内にゾアが来たのであわてて声をかける。


「ゾアーーッ、おはよーーッ! ゲフッグフッゴフッ」


 羊たちの鳴き声と蹄の音にかき消されないようにと声を張り上げたのがいけなかった。

 母の特製『~~~~』が思いの外喉の限界を引き下げていたのだ。


 母の特製は飲み物とは言い難く、色々としつこかった。


 むせている間に近づいたゾアが背を擦ってくれながら、祝いの言葉を掛けてくれた。


「誕生日おめでとう。今日だったよな?」

「ありがとう、ゾア。そうだよ、今日だ。ボク、いや、オレは冒険者になる」

「おお、いきなりオレ様発言とは強気でかっこいいな、もう惚れちゃいそうだ」

「そうやってまた簡単にからかおうとする」

「いや、娯楽が少ないんだからお前で遊ばないとやってられないんだよ」


 どんな時でも他愛の無い軽口を叩きあえる、それがエリンとゾアの関係だ。

 兄弟のように育ち、時には喧嘩し、時にはふざけ合ってきた。

 互いに本当の兄弟もいるのだが、ソレはまた追々のお話だ。


「あ、そうだ、誕生日プレゼント。お前にやるよ」


 ゾアはニヤニヤしながら『傑作』の右の方――どこがポケットなのかは素人目には判断できない――に手をつっこんだ。


「え、早く帰って休んだほうが良いんじゃない?」

「いらねぇのかぁ。そうかそうか、そいじゃお達者で――」

「あーーーっ! 嘘っ、嘘だからっ!」


 もったいぶりながらも、モゾモゾ身体を弄っている。

 それに、そっけない口調だが、こちらの反応を気にする素振りは隠せていなかった。


 声が変わってもゾアはまだまだ子供なのだと安心するエリンだったが、まだ見つからないようで、そちらの方面で不安になった。



 しばらくして、ゾアはようやく何かを探り当てた。

 何かを「ほらよっ!」とこちらに放り投げる。


 軽く投げ渡されたが、そのモノを見て、エリンはすぐさま驚嘆の声を上げた。


「何コレっ⁉ むちゃくちゃキレイなんだけどっ!」


 キレイ過ぎる青と緑のマーブル模様の小石だった。


 目にした途端、童心が飛び出し、今しがた戯れに放り投げたブーメランに正面衝突した。


 エリン(おこちゃま)が大人ぶるのは少し早いようだった。


「良いだろ。ターコイズって石だぜ、安いながらも宝石だ!」

「…………ちょっ、まさか!」


 宝石を贈られたことで、イケナイ兄弟愛が頭を過ったが、ゾアも熟れていた。


「お前こそ、早く家帰って寝込んだほうが良いんじゃねぇか?」


 間も置かずに当て擦ってきた。


「いや、ごめんってば。……これさ…………めちゃくちゃ気に入った! ちょっと穴開けて、ネックレスにしてもいいかな?」


 こちらもこちらで、焦らそうとタメを作ってみようとはしたものの、まったく抑えきれなかった。いま思いついた『イイコト』を、すぐさま披露しくなったからだ。


「おう! さすがゾア様だろ? まぁ、面と向かってはちょっと恥ずい……宝石言葉はお前で勝手に調べてくれや!」

()()()()()()、ありがとう! 柄にもないことしてもらって気味が悪いけど、大切にする!」

「まぁ、俺の時はその十倍返しでいいからよ、楽しみにしてんぜ?」

「ま、ただの羊飼いの子供には少々手が届かない、大人なプレゼントをご用意いたしましょうかね!」

「言ってろよ。ぶははっ」

「ぷっはははは」


 互いが互いに大人ぶりたい年頃なのだった。


この度は私の作品を見に来てくださってありがとうございます(o^―^o)

少しお願いなのですが、1回だけでいいので!


↓の★★★★★を押して応援してください!


それだけで、がんばれます! よろしくお願いします!


ちなみにカクヨムの方で先行して公開しております。

良ければそちらにも遊びに来てください(o*。_。)oペコッ

https://kakuyomu.jp/works/16817330648256954539/episodes/16817330648373744485

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