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夜の指名依頼はもうやめて!~淫魔王・羞恥王・愚賢王のマルチジョブ無双~  作者: norikurun~のりくるん~
第3章 ギルド登録
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~お昼休憩:お昼寝~


 思いの外、体力は消耗していなかった。


 ただ、初めて受けた魂への侵食がどの程度のダメージだったのか……。

 エリンは自身の内面に問いかける必要があった。


 ……そっと胸に手を当てる。


――拍動は異常なさそうだけど、ちょっと胃がもたれてる……か。


 母ルティアには本番の直前で、色々と詰め込んだ「ありがとう」を投げかけた。

 お返しとばかりに「はい、あ~ん」で、エリンの胃袋にありえない量のモンスターを詰め込んでくれた。


――晩ごはんクラスの覚悟と準備が無かったから、過去一番の苦戦だったよ。


 さすがはSランクモンスターかつ髑髏マーク✕7だった。

 そんなことを思いつつ、胸から手を離そうとした瞬間――


「……クッ!」


 胃袋が鷲掴みにされる感覚が去来した。

 途端に胃の内容物が逆流を始める。

 口内に血の味が広がる。


 根菜の血ではない、内蔵損傷特有の喀血だ。


「……粗……相は……出来ない!」


 内側から攻められることを、過去にも体験していた。

 魂への侵食攻撃が原因だとしても、肉体的なダメージであれば耐えられた。


 全身の筋肉をフル稼働させる。そして痛みを全身に分散させる。

 そして、押し戻した。


「……ふぅ」


 根菜からの不意打ちだったが、既知の攻撃だった。

 そんな物には遅れを取るエリンではなかった。


――そんなヤワなご飯はここでは出てこないからね!


「あら、エリン、汗がすごいわ?」

「……母さん、『魄毒』って何?」


 母ルティアは歴戦の勇士だ。その戦歴は数え切れない。

 実際、アークバッファローとこの根菜をあっさり捕まえてきたのだ。

 当然、この二体の凶悪なモンスターと対峙している。


 だからこの不可思議なスキルを学びたかった。

 現場の視点で。


「『魄毒』っていうのは、こう、ぎゅ~って心が締め付けられる、恋みたいなものよ」

「…………へ?」

「エリンにはまだ早かったわね! その時がきたら、ちゃんとママに報告するのよ!」

「……う……ん。わかったよ」


 最高ランクの特殊攻撃を『恋』の一言で片付ける母ルティアは、恐らく世界でも最強クラスの実力者だ。そう思わざるをえないエリンだった。


 結局、今のが最期の悪あがきだった。

 以降は胸に手を当てても何も異常は感じなかった。

 克服できたはずだ、二度と遅れは取らないと固く決意した。


「エリンは、この後どうするの?」

「……どうしようかな、割と体力の消耗は少ないね。こんなのホント久しぶりだよ。……あ、ジェイコブさんに伝言って言ってなかったっけ? 走馬灯見てて意識が曖昧何だよ。確か聞いた気がしたと思ったんだけど」

「あ~……手紙で伝えるから良いわ。今から行くの?」

「そうしようかな?」


「じゃあすぐに準備するから、ちょっと待ってて!」

「うん。ちょっと寝転んどく。本格的に寝てたら、起こして」

「起こせるかしら……期待しないでね」

「うん、添い寝は……もうだめだよ、今日からボクは大人なんだから」


 母ルティアはエリンが最後に言い放った言葉に胸を押さえた。

 何かが彼女のハートを射止めたようだったが、そそくさとその場を後にしたエリンはその姿を目にしていない。そして、相変わらず口に馴染んだ子供な一人称には気づかなかった。


 ◇


 母ルティアのお言葉に甘え、二階の自室に移動した。


 階段を上がってすぐのところがエリンの部屋だ。

 奥が兄グルーノの部屋だが、そちらとは違って相変わらず殺風景な部屋だった。


 趣味は読書だが、その本もあまり読む暇がないのだ、数か月はそのラインナップに変化がなかった。そちらはひとまず置いておき、スカスカの本棚から日記帳を取り出す。


 日記帳は、最初の数ページに大きな文字で当時の戦闘記録が記されていた。

 途中からミミズが這うような文字になって、枠の外にはみ出す線が一本伸びた後は空白が続いていた。今から少し再開しようかと思ったが、それを見て気を削がれた。


 エリンは少し完璧主義なところがあるのだ。

 そっと本棚に戻してベッドの上に転がり込んだ。


 今日は朝からいろいろあって本当に疲れていた。

 少しでも体を休ませる必要があったのだ。


 だが、少しだけ前半戦を振り返ることにした。

 といってもほぼジェイコブ戦のおさらいだ。


――ジェイコブさん、ほんと強かったなぁ。こっちは、一振り一振りが全力なのに、全っ然当たんないし。フェイント混じりに気を飛ばして反撃してくるから全部気が抜けなかった。ボクもフェイン……ト…………。


「……むにゅぅ……す~……す~……」


 ベッドに横になって数秒だった。

 エリンほど寝付きの良い子はなかなかいない。

 それに、今日は輪をかけて体力と肉体と魂を削ったのだ。


 体と魂が休息を欲していた。


 それに、これは防衛本能からの肉体への命令だった。

 この家ではいつ何時、何が引き起こされるか分かったものじゃない。


 だから、休める時に休むことが、何よりも大事だった。

 それが命を守る行動に直結しているのだ。


 母ルティアと共生するのは、常在戦場の覚悟が求められた。

 ある意味、プロ意識が骨の髄まで叩き込まれているエリンだった。


 スースーと可愛らしい寝息だけが部屋にこだましていた。

この度は私の作品を見に来てくださってありがとうございます(o^―^o)

少しお願いなのですが、1回だけでいいので!


↓の★★★★★を押して応援してください!


それだけで、がんばれます! よろしくお願いします!


ちなみにカクヨムの方で先行して公開しております。

良ければそちらにも遊びに来てください(o*。_。)oペコッ

https://kakuyomu.jp/works/16817330648256954539/episodes/16817330648373744485

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