~お昼休憩:本戦~ 4
◇
アークバッファローはお弁当にするしか無かった。
Sランクモンスターである『ヴァリアントマンドラゴラ』は巧みだった。モンスターと言えど、スキルを自在に操れるか否かが、AランクとSランクの確固たる差なのかもしれない。
エリンはその歴然とした格差を胃袋で感じていた。
「ぐっふぅ」
「エエエ、エリン! 大丈夫? ちょっとお塩が利きすぎたかしら?」
「だ、大丈夫だよ。ちょうどいい。塩加減が、うまく浄化してくれてる。特にこの白い塊が、すごくイイよ!」
――塩の塊のお陰で、若干だが邪悪度合いが軽減され、目が少し見えるようになった。若干、塩分濃度が高すぎてむせたのと、暴れのタイミングが重なっただけだ。
「エリン、どうする? パンとかいるかしら?」
「母さん、できれば洗礼済みのパンとか……うちには無いよね?」
「……ないわ……」
――恐らくだが、自己再生のスキルが死後もパッシブで発動される仕様だ。先程から食べても食べても増え続けている。それに、今まで純白だった塩の塊が全体的に黒ずんできた。
――何か別の……呪詛系のスキルがすごく胃を締め付け始めたので、極力聖浄飲料水か聖なる付け合せがほしいところだった。
「母さん、この根菜、根性がすごすぎて、アークバッファローの方はまた明日に取っといてもいいかな? できたら氷結系で保存をお願いしたいんだけど……できれば鍋ごと。味変とかはしないでっ……ぜひそのままの状態で!」
いかに強靭な胃酸を有するエリンとて、なかなかの歯応えと根性を見せつけるSランクモンスターの暴走を抑えつけるのは容易ではなかった。母ルティアとの会話と並行しながら極力、ヴァリアントマンドラゴラにダメージを加え続ける。回復値を上回る様に、少しずつでも終わりに近づけていく。
「わかったわ。じゃあちょっと冷やしてくるわね。明日は……そうね……晩御飯の方で力を入れるわ! 楽しみに待っててね」
本来は二対一、弱い方から攻め立て、数的有利を潰すのが常道だ。この場合はアークバッファローの方が弱い。だが、根菜の特殊能力がそうさせなかった。
「母さん、ありがとう……手抜きでいいから。ボク、いや、オレも早く帰れたらなるべく料理手伝うから、いや、素材のままで置いといてくれると助かるよ」
エリンは『魄毒』というコモンスキルを最警戒すべきと書かれてあったのを思い出せた。恐らく、リソースが途中で足りなくなり、情報遮断に割く分を延命に回した結果だろう。このタイミングでは少し遅いかった。
「んまぁ! エリン、あなた、あなた、なんて嬉しいことを。母さん、すごいの獲ってきてあげるから、楽しみにしてて! 明日はどこにお出かけしようかしらぁ~ラララ~」
――判断基準としてはその辺の毒草が髑髏マーク✕1、呪詛で塗り固められた暗殺者のナイフの毒が✕3、Aランク上位のアークマンドラゴラの毒がそこに並んでいる。ヴァリアントマンドラゴラから二つぐらい下の下位種に当たる。
「うん……、なるべく、柔らかめの素材をお願いするね。明日の腕力がどこまで残ってるか未知数だから……あ、明日は適性検査するんだ!」
――本題のこの根菜は、未知数の最高評価:髑髏マーク✕7だ。これまで✕6までは味わったことがあったが、✕4以上は記憶が飛んで思い出せなくなるレベルだった。
「あら、エリン。宗教は駄目よ。絶対駄目!」
「母さん、心得てるよ。ギルドの略式って言ってたから、多分教会のそれとは関係ないと思うんだけど、何か知ってるかな?」
――同列のものとしては、幻のモンスターである毒蛇系のウロボロスやエクスペディスヒュドラ、蜘蛛系の未確認モンスター……これらは恐らく神獣と呼ばれるレベルのモンスターの想定値だ。
「ギルドのねぇ……そういえば一度だけ受けたことあるわ。十年以上前だから、いまは結構、技術革新されてるんじゃないかしら。けど、延長線上にはあると思うから、うん。あれなら大丈夫よ。特に何するでもないものだから、気軽に受けてきなさい……ジェイコブに伝言お願いできるかしら?」
――毒というよりも、根源的な汚染とかなんとか書いていたから、当時は全くイメージが沸かなかったけど、身をもって体感した。何か体の奥底が……身体じゃなく魂の方が冒涜されるイメージだ、うん。これは味わってみないと表現でき……な…………
エリンは『魄毒』を甘く見ていた。決して会話の片手間で処理できるようなスキルではなかった。意識はクリアだが、こみ上げる衝動が徐々に精神を侵食していった。
この度は私の作品を見に来てくださってありがとうございます(o^―^o)
少しお願いなのですが、1回だけでいいので!
↓の★★★★★を押して応援してください!
それだけで、がんばれます! よろしくお願いします!
ちなみにカクヨムの方で先行して公開しております。
良ければそちらにも遊びに来てください(o*。_。)oペコッ
https://kakuyomu.jp/works/16817330648256954539/episodes/16817330648373744485




