冒険者ギルドにて~瞳の見据える先
◇
自然乾燥を終え、少しだけシックな装いでギルドに再登場したエリンは、受付までの行列に並んでいた。
今日は人生の門出とも言える日だ。どうせならカッコつけた方がいい。
冷水を頭から被って、今日の装いを考えて、今ここに至る。
ターコイズブルーの両の瞳で、改めてこれからの目標を見据えた。
(目標は、三年後に騎士になること。今は、冒険者になることだ)
農民の子は農民なこの世の中、長男なら必然的に家長を世襲するものだ。
エリンは農家の次男坊で、本来なら婿に入る相手を探す必要があった。
だが、エリンはそれを良しとせずに冒険者を志した。
農民の子が職人や商人に弟子入りすることすら、大反対されるぐらいだ。
冒険者など以ての外だった。
口に出そうものなら、当然、周囲の軋轢を生む。
時折、無謀と言われた、家族以外から。
誰からも愛される、華奢過ぎるエリン故に、それを慮ってのことだったが当の本人は一切取り合わなかった。
いくら訓練を重ね、どんなに鍛錬を積んでも、この細腕は太くならず、腕立て伏せすら満足な回数こなせなかったのだ。
自身の非力さは、自分が一番承知していた。
冒険者は好んで選ぶような職業では無いというのが世間様の常識だ。
命の危険に常に晒され、切った張ったとかなり殺伐とした世界だ。
当然、冒険者人口は少ない。
周囲の人間でその道を選んだのは、母ぐらいだった。
かつては誰もが母を無謀と誹ったと聞いた。
自身に掛けられた言葉も、その類いだろうとエリンは聞き流した。
実際のところは全然ちがうのだが、血気盛んな年頃のエリンには受け止められなかったのだ。
むしろ、いつかそんな周囲を見返したいと思う気持ちも僅かながらにあった。
それに、心の奥底で『前世の記憶』が囁くのだ。
「その小さな背には、この国の未来がかかっている。早く王城に行け」と。
夢か現か幻か、たまに走馬灯の中で過去の自分を知る。
ハッキリとは認識できないが、多くの人臣に囲まれた王だった。
本当に小さな頃、今の自分とは違う自分がいたことをやんわりと覚えていた。
だが、いつの間にやらいなくなった。
エリンの深層心理の奥の方に紛れてしまったのか、どこかの死線でこぼれ落ちてしまったのかはわからなかったが、今でもそんな風に本当に細やかにだが心を駆り立てるのだ。
(――それがなくても、冒険者になろうとしてたけどね、きっと)
何故か今日は人が多かったから、無駄な考えで時間を潰すこととなった訳だが、ようやくお声が掛かるのだった。
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