はじめてのエルフ
一向に終わらない終わらない攻防、私はただ話かけるしかないので情に訴えかけてみる。
「話をしましょう、さもないとあなたの故郷が消し飛ぶことに…」
その瞬間、目の前のそれの頭を弓矢が貫いたのだった。矢に貫かれたそれは力なくその場に倒れ間もなく息絶えた。弓矢からは微かに魔法で強化されていた痕跡が残っている。
「大丈夫かい、危ないところだったね怪我はないかい?」
弓を持った美しい女性がこちらに駆け寄ってくる。美しい金色の長髪に長く尖った耳、それにすごくスレンダーだ。もしや、エルフというやつか?
「もしかして、エルフの方であられますか?」
「おかしなことを言うね、エルフに決まっているだろ?」
来ましたしたよエルフ!!私の世界には居なかったら話にしか聞いたことがありませんでしたがこれがエルフ!!つまり、ファンタジーってやつですね!!
「それよりもゴブリンに襲われていたけど思ったよりも平気そうね」
「これゴブリンだったんですか」
これも話でしか聞いたことがありませんでしたが、ゴブリンだったとは。ものすごくファンタジーってやつですか、テンションあがりますね。
どおりで話が通じないわけですよ、さすがに人間ではありませんでしたね。
「あの、助けていただいて申し訳ないのですがこのあたりに街なんてありませんかね?道に迷ってしまいまして」
「あんた迷子だったのか、ここから近いとこだとエルフの里があるよ」
エルフの里、なんて面白そうなとこなんだ是非行ってみよう。
「でもタイミングが悪かったね、今は人間たちとの戦争のために準備してるところだから雰囲気はあまりよくないよ。それでも良ければ里まで案内するが」
「全然気にしないので、案内よろしく!」
「分かったよ、ところで自己紹介がまだだったね。私の名はララティア・テイラ、よろしく」
名前か、本名を言ってもいいがここは知らない世界、未知の文化、私の名前が悪用される可能性も……ないな。だがしかし、意味はないがとりあえず反抗しておこう。ということで偽名でいきます。
「私の名はサトウ、よろしくララティア」
こうして私は、ララティアの案内のもとエルフの里に向かうことになった。