174故郷
翌日、オーウェル様に元帝都の領主を受ける事を報告する。
併せて、今後も色々相談したい事や、定期的にウル様にアドバイザーとして来て貰うよう依頼もしておいた。
ウル様がいれば、大抵の問題は解決できそうだったからだ。
さらに、俺が領主になる話が公にできるようになった時点で、モンスター部隊の仲間にも今後の希望を聞いて行く。
ウィル・ゼル・アリサの俺の元手下は俺と一緒に元帝都に来てくれるようだ。
さらに、ダガンとヤヨイ隊長も俺の所に来てくれたのは予想外だった。
ウィル隊・ゼル隊・アリサ隊の中からも多数のメンバーが俺の所に残ってくれる事になったのは嬉しかった。
エルモンドでは結構乱暴も働いたりしたが、意外と俺にも人望があったらしい。
数日後、アリサが無事出産をした。
お腹の大きさから2匹だろうと予想はしていたが、雄と雌が1匹ずつの2匹だった。
予めアリサと相談していた通り、姉にダーマ、弟にヴォイテクと名付けた。
ダーマは見る限りやんちゃだ。逆にヴォイテクの方はおとなしい。
対照的な2匹だが、元気に育ってほしいと思う。
さらに数日後、連合国の部隊がレオグラードから帰って行くことになった。
俺はレオグラードに残り、オーウェル様や兄貴・ウル様・スレイルさん・アウルスさん・そしてブランタン達帰っていく連合国のメンバーを見送った。
その後、ピュートル公から俺のために多数の人員を用意して貰えたので、1人1人と色々打ち合わせを行う。
そして、帝都の復興のための準備を1つずつ進めていく事になった。
その中に、エルシア商人のブライアン・フィロソフィーが入っていたのは心強かった。なんでも、フィロソフィー商会はエルシアの政治から手を引き、今後は新たな帝都となるレオグラードを中心に活動していくらしい。
ピュートル公の教育係だったセバスチャン元執事が、俺に領主について色々教えてくれることになった。
なんでも帝王学とか言う学問らしい。
俺は領主について何も分かってないからな。ちゃんと勉強しよう。
俺はエルモンドやハイネを離れ、今後は復興する元帝都が自分の故郷になる。
領地の統治は様々な問題が起こるだろう。
俺は新たな故郷を守るため、仲間と一緒にどんな困難でも乗り越えて進んでいこうと新たに誓うのだった。
熊王伝(完)
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後日談で聞いた話だが、
オーウェル様はノリクの娘のローゼリア姫と婚約したそうだ。
結婚式には俺にも出てほしいと言われたので、その時は俺もエルモンドに行く事になった。
そして、エルモンドでは俺のテレポート用の小屋を用意してくれたそうだ。
この場所は俺以外誰も使わず、俺がテレポートしやすいように管理してくれているらしい。
普通は自分の町の中に直接テレポートで入ってくる事にいい顔はされないにもかかわらず、俺のためにそこまでしてもらってオーウェル様には感謝でいっぱいだ。
俺も忙しいので、当日テレポートでさくっとエルモンドに行けるのは助かる。
ダガンの部下たちは開放されて元帝都に戻ってきた。
既に帝都は廃墟だけどな。家族を失ってショックを受けていた者も多かった。
今後の希望を聞くと大部分は再度ダガンの部下に戻ってくれるようなので、元帝都の復興のために働いて貰う事になった。
パワーの兄貴はエルモンドでモンスター部隊の大将をしつつ、グレアスさんの補佐として衛兵隊の取り纏めもしているそうだ。
と言うか、兄貴が衛兵隊長のグレアスさんを顎で使う姿しか想像できないけどな。
さらに、ブランカさんを五島諸島から呼びよせて、アツアツの新婚生活を送っているらしい。
娘のどちらかをヴォイテクの番にどうだと手紙が来たが、気が早すぎだろ。
まだお互い赤ん坊だぞ。
とは言え、無下にはできないので、ある程度の歳になったら会わせてみようと返事はしておいた。
アドバイザーのウル様は、オーウェル様が紹介した相手と番になったそうだ。
なんでも、オーウェル様がウル様の番候補を100匹近くも集めて大騒動になったらしい。
オーウェル様も何をやっているんだか。オーウェル様の意外な一面を見た(聞いた)気がする。
帝国北部のモンスター対策で、ウル様が年に4回は新帝都に来てくれるらしいので、その時に詳しく話を聞くか。
ドンロンに戻った★5キリンのスレイルさんはついに★6ホウテンコウに覚醒したそうだ。
どうやら、これまで満たしていなかった条件は、人間並みの知恵だったらしい。
人間の言葉と魔法を習得して、最後の条件を満たしたのだろう。
同じように、★5ナイトメアのアウルスさんも★6アムドゥシアスに覚醒したそうだ。
★5ペガサスのローランさんだけは覚醒できなかったらしい。
本人は結構落ち込んでいたようで、魔法の習得に燃えていたそうだ。
その代わりと言う訳ではないが、兄達がレオグラードに行っている間に★4テンマのユニーと番になっていたそうだ。
ローランさんもすみに置けないな。
まあ、兄弟仲良く、幸せそうで何よりだ。
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おまけというかお遊び
本編終了時(174話)能力評価
(ドルカンは死亡時)
ガイン パワー ウル
統率 A B C
戦術 B A B
知謀 C B S
交渉 C C B
行動 A B B
決断 C A B
人望 B B C
ドルカン ウィル ゼル
統率 C C B
戦術 B C B
知謀 C B D
交渉 C C D
行動 A B B
決断 B C B
人望 C C B
※基本A-Eの5段階評価。Sは特別。
こんなもんかなとざっと割り振りました。
登場するメンバー(熊5狼1)から言って、作者の好みが出まくってますが。
称号の移り変わり(一番上が登場時で、一番下が最終称号です)
ガイン
・ハイネの荒くれ者(登場前)
・エルモンドの乱暴者
・モンスターの指導者
・限界を超えし者
・魔王を倒せし勇者
・旧帝都領主
パワー
・要駆除害獣
・ウルの僕
・モンスターの指導者
・魔王を倒せし勇者
ウル
・レンディールの僕
・モンスター使い
・メキロ家軍師
・ローゼリアのペット
・ミューゼル家軍師
・連合国軍師
熊王伝もようやく完結までこぎつけることができました。
熊王伝は、これだけ多くの作品が公開されているにもかかわらず、私にぴったりする作品がほぼないので、自分が読みたい作品まっしぐらで書いた作品です。
私自身が展開を楽しむため、予め先の展開を決めず、各々の登場人物が現在の状況から何を考えるだろうかと思いながら続きを書いていきましたので、展開が二転三転して読みにくい所があったかもしれません。
特にウルが問題児で、何度もぶっ飛んだ作戦を思いついて実行しようとするので、既にオーソドックスな方向で書きかけていた続きを没にされたことが何度もあります。それがあって、途中で主人公を扱いやすいガインに変更しようと思いついたわけなのですが。
そのような内容でしたが、最後まで楽しんでいただけたのであれば幸いです。
最初に決めた設定上で最強の存在である魔王も倒し(封印し)、世界は平和になりました。
そして、主人公のガインは、パワーなど一部例外を除きほぼ世界最強の存在になってしまいましたので、これで区切りをつけようと思い完結することにしました。
その後の外伝的展開として、ガインが元帝都の領主として悪戦苦闘する領地経営編も頭をよぎりましたが、勢いがのることがなければ、書くことはなく、このまま完結になると思います。
それでは、熊王伝を最後までお読みいただきありがとうございました。