失望と絶望
医者は無慈悲に、感情のこもっていない雰囲気で言った。
「残念ですが、手術をしてもどうにもなりません。」
残念な表情はしていなかっただろう。
声色で分かる。
両親はその言葉を聞いて、僕の肩に手を置いた。
僕は、自分の出来損ない度が更に増してしまった事に絶望した。
目の違和感を感じたのは、『 軽い』事故にあったあの日から、四日程経った頃だった。
梅雨が明け、太陽が本領を発揮しているはずのこの時期に、日光は弱く、日暮れが段々と早くなっている事に気付いた。
症状の進行がゆっくりで気が付かなかった。
裏を返せば、気付いた時には、周りとの視力の差は大きなものになってという事で、手遅れだったという事だ。
まぁ早期に発見したとこれで、結果が変わっていたとも思えないが。
僕はコミュニケーションが苦手で、人と関わることを避けて来た。
そのせいで、学校の休み時間は持て余す。
その時間を潰すために始めた『 読書 』は自分に思いの外僕に適していたようで、『 暇つぶし 』から『 趣味 』に昇格した。
読書は楽しかった。軽く頭を使い、とても時間を使う。
しかも、読書中は人に話しかけられない。
最高だった。
家でも本を読み漁った。
まさに没頭という言葉が適当だろう。
家族も初めて出来た僕の趣味に、何か言う事はなかった。
むしろ協力的で、欲しいと言えば本を買ってくれた。
初めて自分から欲しいと口にしたからだろう。
僕は人間らしさが欠如していた。
両親はそのことを心配していた。
自分も心配していた。
このまま、『 普通 』のことが何一つ出来ない大人になってしまうのではないかと。
そんな心配を軽くしてくれた『 本 』と『 読書 』は僕に欠かせないものになっていた。
生き甲斐になっていた。
しかし、目が見えなければその生き甲斐さえも、奪われてしまうのだ。
数少ない『 人間らしさ 』まで失ってしまうのだ。
こんな拙い文章をここまで読んでくださり本当にありがとうございます。
更新が本当に久しぶりで、緊張しています。
更新するのは、毎週『 金曜日と土曜日 』などと謳っておきながら、更新ペースがガッタガタで本当に申し訳ないです。
これからは、投稿ペースを整えて、定期的に更新いたしますので、よろしくお願いします。
ここまでこんな拙い文章を読んでくださり、本当にありがとう御座いました。
宜しければ、次話も宜しくお願いします。




