AIice 02.森の中で二人きり
「アリス〜、ボク飽きたよ。うん、飽きちゃったよ」
俺の回想は暢気な声にかき消された。いや、まあ結局分からなかったんだけどさ。
「ね、アリス。森もいいけど、海もいいよね。うん、海にはチシャちゃんも女王様もいるもんね」
「両方いいんじゃないか」
俺の返答は投げやりだったにも関わらず、女の子はすごい勢いで頷いていた。小学生一年くらいの年だろうか?小学生だろうが幼稚園児だろうが思い出せない以上ここがどこだとかコイツに聞くしかないんだが……ふ、不安だ。不安になるだろ、このしゃべり方?!
「なあ、えっと」
名前が分からずどう呼ぶべきだろうか。いや名前を聞けばいいんだよな。俺が俺自身にまず不安を覚えるな。
「名前、何て言うんだ?」
唐突かもしれないが、思いつかなかたんだ、他に!幼女をナンパなんてしたことないし!
「やだなぁ、アリス。また忘れたの?うん、アリスは忘れん坊だよね。ボクの名前はシロウサギだよ」
「は?」
「シロウサギだよ。うん、チシャちゃんはシロって呼ぶし、ミツキちゃんはシロちゃんって呼ぶよ。女王様は犬っぽいからポチって呼ぶんだよ。思い出した?」
名前なのか?何より最後の女王様が誰か知らないがポチはないだろ!?
「あ〜、シロ?ここがどこか分かる?森とかじゃなくてさ、もっと大きい範囲で」
「ここは森だけど、おっきく言っても森だよ?うん、ここは不思議の国の森だよ」
「不思議の国?」
不思議の国、シロウサギ、アリスの繋がりを俺は一つしかしらない。知っているが、どちらかと言えば当たって欲しくないが…
「不思議の国のアリス…なのか?」
名前しか知らないが…夢なんだろうか。その可能性を初めに考えるべきだった。夢だ。じゃなきゃ、こんな事になるはずがない!
「アリス?ボク、知ってるよ。うん、アリスが悩んでいるときに行く場所はいつも同じだよね」
シロは俺の手を引っ張るともう片方の手で指差した。
「アリスは行かなきゃ。うん、お茶会に行かなきゃだよね」
「行かなきゃいけないっていうなら案内してくれ」
「案内するよ。うん、もちろん案内するよ。だってそれがシロウサギのお仕事だもんね」
シロに引っ張られるまま、俺はお茶会とやらに行くことにした。自棄になっている気もするんだが…。