AIice 00.プロローグ
俺の話をしよう。
自分でいうのもアレだが、普通の男子高校生……のはずだ。ちょいと高めの背と髪の色素が薄いせいかハーフとか思われるけど、日本人。本当にそれくらいしか言いようがない。俺の説明終わり。簡潔でいいだろ?
………。
あとは、そうだな。俺が住んでるのは、都会だ。決してこんな緑が一面に広がる場所じゃない。はあ…いい加減現実を見るべきかな。
「無事でよかった…」
目の前には緑…いやもう大自然でいいよな。あとは鼻に微かな潮風を感じるけど、まあ何よりも俺の上に乗っかっている女の子は誰だ?
「皆心配してるよ。きっと女王様は遅いって怒るね。うん、昨日もチシャちゃんが会いに来たから余計怒るね。八つ当たりだね」
白い兎の頭を模している帽子なのか長く垂れた耳のような部分がゆらゆらと揺れている。重くは無いんだが、内臓を抉られてる気分だ。
「なあ…お前さ、退いてくんない?」
俺の言葉にピタリと動きを止めたかと思うと、ジャンプをしやがった。踏み台はもちろん俺だ。
「っ〜〜〜!」
なんとも言えない叫びを発しながら、俺は腹を押さえ、痛みが過ぎ去るのを待った。相手は子供だ。相手は子供。確かに退いたが、跳び跳ねるか、普通?!
「アリス、大丈夫?」
心配そうに覗き込んでくる。原因はお前なんだけどね。そう心配されると怒れない。…俺はロリコンじゃないぞ!
「アリス?」
痛みとロリコン疑惑が過ぎ去ったところで、俺は疑問に感じた。
今、ここには俺とコイツしか居ない。
「やだなぁ、アリスはアリスだよね。うん、アリスはアリス以外に居ないよね」
女の子は繰り返しながら、くるくる回る。俺を見てアリスだと言う。
「お帰り、アリス」
なあ、ここは何処だ?