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異世界で何をする?

12/28 部分変更しました

 5人は談話室のソファーに座って出された紅茶を飲んで一息ついていた。


「じゃあ話の続きをしようか?」


 と久遠に話を促され、ようやく自分達のこれからのことを考え始めた。


「まずはこれから何をするかを決めないといけないのかしらね?」

「そうだろうな。」

「でも、なにしたらいいのかな?」


 姫菜が悩みながらもこれから先どうするか疑問を口にした。

 久遠は姫菜の言った事にうなずいた。

 それを聞きながらアリスはう~んと悩みながら何をすればいいのか分からないと口に出す。

 アリスの言葉に全員が確かにという顔をして、また悩んでしまった。

 異世界転移をさせたノートが答えをくれるわけがなく、今のこの状況が物語として文字になっていくばかりだった。

 その状況に姫菜はちょっとイラっとする。


「まったく、異世界転移させるなら何か使命とかないのかしら?異世界転移しといて放置とかありえないわよ!」

「うん。確かに姫菜の言う通りだよ。私かよく読む本でも異世界転移したら何かあるもの!例えば、ありがちなものなら勇者になって魔王を倒すとか!冒険者になって世界を旅するとか!この世界のこと分からないとどうしたらわかんないよね!」


 人見知りであんまり話すことがないアリスがこっちに来てからものすごくしゃべっているのを姫菜はポカーンとした顔で見る。


「な・・・なにかな?姫菜?」

「えっ?めずらしくアリスがいっぱい話してるな~って思って。」


 姫菜の言葉に自分らしくないことをして恥ずかしくなり顔を赤くして下を向いてしまう。

 そんなアリスが可愛くなって姫菜が頭をよしよしと撫でる。

 頭を撫でられて余計に恥ずかしくなって手で顔を覆ってしまう。


「ふふっ。アリスは可愛いわね~。」


 穴があったら入りたいって感じのアリスに姫菜はますます可愛いと頭を撫で続ける。

 若干涙目になりかけてるアリスが姫菜に恨みがましい目を向ける。

 余計庇護欲をそそられる姿に他の4人が微笑ましい目でアリスを見る。

 穏やかな空気が流れるが、これから先の事も考えなくては現実世界に帰れない。

 気持ちを切り替えて姫菜が話を切り出す。


「まずは自分達の事を決めないといけないわね?拠点はここでいいとして、何をやるにしても自分達の事が決まってないとずっとここで暮らすことになっちゃうものね。現実世界に戻る為にもこの世界の人達よりも弱くちゃ話にならないだろうし、アタシ達が最強ってのは必須事項よね!」

「花宮の言う通りだな。まずこの島を調べるとしても今の俺達じゃ最悪死ぬ事もありえるだろうからな。」

「マジかよ!」


 姫菜の言うことに同意した久遠の「死」という言葉に総司が驚きの声をあげる。

 総司だけでなく他の3人も驚いた表情を浮かべる。

 そんな4人を見て更に言葉を付け加える。


「最悪を想定してだ。この島は誰も入ることは出来ないと書いてあったが、こうして俺達はここに転移させられたんだ。他にも転移させられていることがあるかもしれないしな。何が起きても不思議はない。それにいつまでも誰も来ないとは限らないんだ。敵が来る事も想定しておかないといけないだろうな。それも含めて自分に何が向いてるか考えた方がいいかもしれないと思うがどうだ?」


 先の事まで考えられた久遠の言葉に4人はうなずくしかなかった。

 それを見て久遠は一旦席を外してどこかに行ってしまう。

 残された4人は久遠から言われた自分に向いてる事を考え始めた。

 たいした時間もかけずに戻ってきた久遠の手にはノートパソコンとメモ帳とペンがあった。


「とりあえずこのノートパソコンにもこの世界の資料が入ってるみたいだから持ってきた。こっちのメモ帳とペンはこれからのことを決める為に持ってきた。そのままそのノートに書いたら何が起きるかわからないからな。」

「さすがね。そこまで気が回らなかったわ。」

「しょうがないだろうな。いきなり異世界転移させられたんだ。すぐに気づかなくてもおかしくない。」


 褒める姫菜にいずれは気づいただろうと言う久遠。

 ノートパソコンを開き、メモ帳とペンをそばに置くと4人を見る。


「何か聞きたいことはあるか?」


 4人を見ながら聞く。

 初めに質問したのは談話室に入ってから今まで一言も話さなかった水都だった。


「この世界にはどんな職業って言えばいいのかな?があるんだ?」

「簡単に言えば、剣士、戦士、格闘家、魔法使い、プリースト、精霊使い、ビーストテイマー、錬金術師とか色々だな。」

「今簡単にって言ったけど結構細かい職業とかもあるの?」


 水都の質問に答えた久遠に更に質問するアリス。


「ああ。この世界は結構細かく分かれてるみたいだな。まあそれぞれの最強クラスは大体決まってるみたいだが。」

「ならその最強クラスをそれぞれに当てはめたらいいんじゃないか?」


 久遠の言葉に総司が簡単じゃんって感じに言う。

 それにため息をつく。


「な・・なんだよ。オレなんか変なこと言ったか?」

「変じゃないけど短絡的すぎるわよ!もうちょっと考えなさいよ!」

「考えてもわかんねーよ!久遠に任せた方が早いじゃんか!」

「ホントに馬鹿なんだから!人任せにしないで頭使いなさいよ!」

「めんどくさい。頭使っても疲れる。」

「アンタね~!・・・」

「夫婦漫才はそれぐらいにしてくれ」

『誰が夫婦だ(よ)!』

「ふふっ。ホント2人は仲が良いね。」


 言い合いをする総司と姫菜に久遠がツッコミを入れ、同時に言い返した2人にアリスがトドメを刺す。

 アリスに言われたら言い返す事も出来ず、2人は撃沈する。

 そんなやり取りを無視して久遠は考え込み、メモ帳に何か書き始める。

 水都とアリスが興味深そうにメモ帳をのぞき込む。

 そこにはそれぞれの職業が書き込まれていた。

【花宮 姫菜・・・テイマー、サモナー、ヒーラー】

【芹沢 総司・・・ソードマスター、バトルマスター】

【月詠 アリス・・・マジカルスター、エレメンタルマスター】

【桐生 水都・・・魔法剣士、トリックスター】

【如月 久遠・・・錬金術師、ガンナー、パラディン】


「とりあえずこんな感じだと思うが、必要なら後から追加しても大丈夫だろう。どうだ?」


 メモ帳を皆に見せて意見を求めるが、異論があるはずもなく皆うなずくだけだった。


「女性陣は後方支援担当で男性陣は前衛担当って感じにしたがいいよな?」

「言うことないわ。それでいいわ。」


 久遠の言葉に姫菜が代表して答える。

 全員の了解を得たところで名前の空欄にメモ帳通りの職業を書き込んでいく。

 装備等も詳しそうな久遠に最強の装備をついでに決めてもらい書き込んでもらう。

 書き込みが終わると全員の来ているものが書き込まれた装備に変わる。

 最強の実感は薄かったが、一番変化が確認できたのはアリスだった。

 ぼーっと周りを見回して何かを指差すように手をあげるとふふっと笑う。


「どうしたのアリス?」

「えっ?見えない?ここに可愛い精霊がいるんだけど。」


 エレメンタルマスターになったことで精霊が見えるようになったらしい。

 精霊と戯れてるらしいアリスは放っておいて今後どうするかを話し始めた。


「とりあえず一度島を巡って見たいわね。私達でも危ないのか見極めないと、それとなにか資源とかあるのか見てみないといけないわ。」

「その意見に賛成だな。俺達自身の力も知っておきたいから試す意味でもすぐ戻れるようにしながら行くべきだろうな。」


 姫菜と久遠の意見に総司と水都も同意する。

 とそこに話を聞いていないと思っていたアリスから声が掛かる。


「島のことならこの子達が案内してくれるって言ってるよ。」

「え?なに?」

「もう姫菜ってば!ちゃんと聞いててよ!精霊達が案内してくれるって言ってるの。」

「聞いてなかったわけじゃないわよ!いきなり言い出すから理解が追いつかなかっただけよ!」


 どうやら精霊達が島の案内をしてくれるらしい。


「月詠、精霊達に俺達が腕試しが出来るような魔物か魔獣がいるか聞いてくれ」

「うん。いるらしいよ?」

「なら案内を頼めるか?」

「大丈夫だよ!皆話を聞いてたみたいだから、お手伝いしてくれるって!」

「そうか、わかった。ありがとうな。」

「うん!」


 アリスと久遠であらかたの話を進めてしまう。


「とりあえず森に入るのは明日だな。」

「そうね、今日は疲れたわ。今日はゆっくりして明日から動きましょう。」


 と久遠と姫菜で今日の話をしめる。

 が姫菜は何か思い出したのか4人に提案を持ち出す。


「アタシ達は今日文芸部の仲間になったばかりで異世界転移させられたけど、これから現実世界に戻れるまでずっと一緒にいるんだし、苗字で呼んだりするのはよそよそしいと思うのよね?これから皆名前呼びにするわよ!いいわよね!」

「ええ~っ!姫菜~私無理だよ~」

「無理でもするの!命令よ!これからどんな事があるかわからないもの!名前で呼んでいた方がいいかもしれないしね!」

「まあ一理あるな。わかったそうしよう。」

「久遠がそう言うなら僕は反対じゃないよ!僕も名前呼びの方が仲良くなった気になるし、いいと思うよ。」

「オレは元から名前呼びしてるからどっちでもいいぞ?」


 アリス以外の全員賛成で名前呼びが決まった。


「皆がそう言うなら頑張る。」


 ちょっと落ち込みながらアリスがそういう。

 頑張れとでもいうかのように姫菜がアリスの頭をぽんぽんと撫でる。

 5人はちょっと冷めた紅茶を飲みながら落ち着いてると外からコンコンとノックの音がする。

 どうぞと声をかけると執事が入ってくる。

 どうやら夕食の用意ができたらしい。

 リビングに移動して食事をし、それぞれの部屋に行き、今日1日を終えるのだった。


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