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始まりの始まり

もうちょっと現実世界の話です。

 5人が見たのは一面に真っ白なホコリをかぶった室内だった。

 以前文芸部が使っていたというその部屋は、机や椅子、本棚、本棚に詰め込まれた本、ホワイトボードなどすぐに使えそうではあったが、ずっと使われていなかったためかホコリが積もっていて掃除が必須な状態であった。

 姫菜は扉近くの掃除用具入れから必要な道具を取り出して他の4人に渡していく。


「まずは掃除が必要みたいね。やるわよ!」


 姫菜の言葉を合図に他の4人も動き出す。

 アリスがバケツに水を汲みに行こうとしたところを久遠がさえぎる。


「俺が水汲みに行ってくるよ。」

「あ・・・ありがとう。」


 アリスからバケツを受け取って水汲みにさっと行ってしまった。


「へー、あいつなかなかいい奴じゃない!じゃあアリスこっちの掃除任せたわよ!」

「姫菜はどこに行くの?」

「顧問とか生徒会に色々と頼みに行ってくるわ!その間お願いね!男子共をこき使っていいからね!」


 そう言って颯爽とその場から立ち去ってしまった。

 入れ替わりに水を汲みに行っていた久遠が戻ってきた。


「花宮がなんか言ってたみたいだな?」

「うん、掃除の方はお願いって、自分は生徒会と顧問に話があるからって」

「そうか。じゃあ掃除早くやって終わらせないとな。やるぞ!」

「はい!」


 そう言って2人は部室の中に入っていった。


「じゃあ俺と水都で本棚とか高いところを掃除するから総司と月詠はそのほかのところを頼む。」


 と部室にいる3人に指示を出して掃除を始める。

 掃除を始める前に全部の窓を開け放ち、4人で部室の大掃除に取り掛かった。

 すごいホコリの多さに時折咳き込みながら、黙々と掃除を進める。

 黙々と進めた成果が出始めた頃に姫菜が戻ってきた。


「すごいわね!来た時と大違いね!」

「お前なぁ!人に掃除押し付けてどこに行ってたんだよ!」


 戻ってきて感心したように言う姫菜に対して掃除でクタクタになった総司がくってかかる。


「顧問と生徒会に行ってきたのよ!これからの活動に必要な物の申請にね!」


 と、くってかかった総司をあっさりとはねのける姫菜。


「ちょっと総司!手伝ってほしいことがあるからついてきてちょうだい。3人はもうちょっとだけ掃除お願いね。」


 そう言って総司を連れて何処かへ行ってしまった。

 残された3人は一瞬ポカーンとしたものの、掃除を再開した。

 1時間ほどであらかたきれいになり、残された者たちは一息ついていた。

 アリスは2人を置いて部室を1回出て行きすぐに戻ってきた。

 そして2人にペットボトルを渡した。


「ホコリっぽかったからミネラルウォーターにしたけどよかったかな?」

「ありがとうアリスちゃん!助かるよ~」

「ああ、ありがとう月詠。」


 ニッコリと笑うアリスに2人も笑って答えた。

 ほんわかとした空気がそこに流れていたのだが、戸を叩く音に3人がビクッとする。


「おぉーい!誰か~ここを開けてくれ~!」


 と総司の声に久遠が扉を開けに行く。

 扉を開けるとそこにデスクトップパソコン一式を器用に抱えた総司がいた。

 扉を支えつつ総司の持ってるものを少し持つ久遠。


「わりぃ!ありがとな!久遠!」


 ニカッっと笑って持ってきたものを机に置くと


「ついでにもう1回持ってこなきゃいけないから久遠と水都も手伝ってくれ。」


 そう言って2人を連れて行く総司。

 姫菜はまだ戻って来ておらず、暇になったアリスはふら~っと吸い寄せられるように本棚へ向かった。

 本棚には色んな種類の本や文芸部があった頃に作ったのであろう部誌があった。

 その中にあった黒いハードな表紙のノートぐらいのサイズの物を手に取った。

 本のように見えるが、表面にも側面にもその本の題名は書かれていなかった。

 表紙をめくってみるが何も書かれておらず名前を書く場所はあるが、そのほかは普通のノートのように何も書かれていなかった。

 不思議に思ったが、使えるなら部活の記録にでも使おうかとアリスは考えていた。

 そのノートがこれから起こることの前触れだとは気づいてもいなかった。

 本を眺めていると姫菜が戻ってきた。


「あれ?アリス1人?」

「他の人達は総司くんが連れて行ったよ。姫菜もミネラルウォーターでいい?」


 そう言って姫菜にペットボトルを渡す。


「ありがとういただくわ!ちょうど喉渇いてたのよ。ところでアリス何持ってるの?」


 ペットボトルに口をつけながらアリスの持ってる物を尋ねる。


「うん本棚にあったの。部活の記録用に使えそうだから」


 そう言って姫菜に渡す。

 渡された姫菜はパラパラとページをめくって中をざっと見るが特におかしなところはない。


「いいんじゃない?前の文芸部の人達が使おうとしたものかもね。」


 そんな話をしていると外が騒がしくなり始めた。

 総司達がもどってきたのだ。

 アリスは扉を開けて3人が入ってこれるようにする。

 3人はノートパソコン数台やプリンターなどいろいろなものを抱えて持ってきていた。

 机に一旦それらを置くと久遠がセッティングに取り掛かった。

 どうやらそういうことに一番詳しいらしい。

 こき使われてクターっとなっている総司にもミネラルウオーターが入ったペットボトルを差し出すアリス。


「サンキュー!アリス助かる~!」


 そう言って一気に飲み干してしまう。

 そしてアリスに尋ねる。


「悪いもう1本あるか?」

「うんあるよ。どうぞ。」


 そう言って多めに買ってきていたペットボトルを差し出す。

 差し出されたそれも半分ぐらい飲み干してしまう。


「まったくもう!あれぐらいの作業でへばるなんて男でしょ!」

「お前なぁ!そう簡単に言うなよ!重かったんだぜあれ!」

「総司君お疲れ様!」

「姫菜お前もアリスぐらい優しい言葉かけられないのかよ!」

「ふん!どうせアタシは優しくないわよ!」

「夫婦漫才はそれぐらいにしてくれ。終わったぞ。」

『誰が夫婦なんだよ(のよ)』


 と姫菜、総司、アリスの3人が会話している間にも着々と久遠が水都に手伝ってもらいながら次々とパソコンを接続し立ち上げ終わっており、久遠が3人の会話にツッコミを入れた。


「そういうところだろ?」


 と2人にトドメを刺す。

 ガックリとうなだれる姫菜と総司。

 そんな2人をオロオロと見るアリス。


「アリスちゃん。そんなに気にしなくて大丈夫だよ。その2人そんなに気にしてないよ振りだけだからさ!」

「そうなの?桐生君」

「そうそう!時間が経てば元に戻るから」


 と水都がアリスにそっと教えてあげる。


「今日はもう終わりでいいのか?なら帰るぞ?」


 という久遠の言葉にピクッっと反応する姫菜。

 椅子からバッっと立ち上がると仁王立ちして言い放つ。


「これで終わりなわけないでしょ!第1回目の部活なのよ!これからに決まってるでしょ!」


 そう言ってアリスが見つけたハードカバーのノートを取って広げ名前を書く箇所に自分の名前を記入する。

 他の4人にもうながして名前を書き込ませる。

 5人の名前が書き込まれた途端にノートから目を開けていられない程まばゆい光が部屋一面を包み込んだ。

 光が消えた後には部室には何も残ってなかった。



やっと異世界転移します。

次の更新は18時頃の予定です。

お読み頂きありがとうございます。

次もよろしくお願いします。

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