プロローグ
初書き初投稿作です。
初めてちゃんと書く小説なので、拙いところがあると思います。
最後まで読んで頂けたら幸いに思います。
よろしくお願いします。
高校に入学してから3週間が経とうとしている。
月詠アリスは憂鬱な日々を過ごしていた。
高校に入学したことは満足だった。
制服は可愛いし、校舎も比較的綺麗でこれから始まる授業は楽しみだった。
これからの高校生活にどんなことが起こるのか胸に希望を抱いていた。
ところがこの高校は必ずどこかの部活に所属しなければならないという規則が存在していた。
けれどもアリスはどの部活にも所属する気になれず、先生から早く部活を決めなさいと促されていた。
昼休みに入る前にもそのことを言われたばかりだった。
(文芸部があればよかったのに・・・)とアリスは密かに思っていた。
アリスは読書中毒と言っていいほどの読書好きで、休み時間や昼休みにも本を読み、時に寝食を忘れるほどの読書好きだった。
そして読書好きの彼女らしく大人しくて控えめな優しく気の利く女の子だからか、暗めの図書委員のような感じを想像しそうだが、アリスは容姿も悪くはなかった。
背は低めなのを本人は気にしているが、それを補うかのようにパッチリとした大きな目にすっと通った鼻筋、小さめの唇はウルツヤで腰まである黒く長い髪を緩く編んで肩から垂らしている様子は男子には密かな人気があった。
(これから部活どうしようかな?)そんなことをアリスが思っていた時だった。
アリスに声をかけてきた女子生徒がいた。
アリスとは中学時代からの親友で同じクラスで同じく読書好きの花宮姫菜だった。
姫菜はアリスとは正反対の性格の持ち主で、活発でちょっと勝気でちょっとツンデレな運動神経も良くて格好良く、茶髪をポニーテールにして、ちょっときつめだが大きな目にちょっと高めの鼻に大きく厚めの唇で背は普通の女子にしては高めの女の子で一部の男子と一部の女子からコアな人気があった。
「アリスお昼一緒に食べるでしょ?」
「うん!もちろんだよ」
そして2人で持ってきていたお弁当を食べながら話し始めた。
「アリス!部活決めた?」
「ううん。まだ決めてないよ。入りたい部活がなくって困ってるの。」
姫菜の問いかけに困った顔で返事を返すアリス。
困っているアリスは姫菜に同じ質問を返す。
「そう言う姫菜は入る部活決まったの?」
その質問に姫菜も困ったような顔をする。
「実はアタシもまだ決まってなくてさぁ・・・。先生に早く決めろって言われてるんだよね。」
「ええ!?姫菜ならどんな部活でも歓迎してくれるじゃない!」
まだ部活を決めていないという姫菜にアリスは驚く。
スポーツはあんまり得意じゃない自分ならまだしも運動神経の良い姫菜がまだ部活を決めていないことが信じられないでいた。
「姫菜なんで?」
信じられない気持ちからつい疑問が口をついて出てしまう。
そんなアリスを苦笑いしながら見て答える。
「体を動かすのは好きだけどね。部活で毎日やるのはちょっとしんどいかなって。」
「ふふっ、姫菜らしいって言ったほうがいいのかな?」
「でしょ?アタシは体育系の部活より文化系の部活がいいのよ!」
その言葉に2人で笑い合う。
そしてアリスは笑顔のまま姫菜に文句を言う。
「もう!姫菜ってば贅沢ものなんだから!私は入れそうな部活がなくて困ってるのに!」
「そんなことないでしょ!ってアリスはどんな部活に入りたかったのよ?」
その姫菜の言葉がこれから先に起こることのきっかけだった。
「私、文芸部に入りたかったの、でもこの学校の文芸部はなくなっちゃったって言われて、どうしようって困ってて・・・」
このアリスの一言が決定打だった。
「・・・アリス!ナイスアイディアよ!それよ!なんで思いつかなかったのかしら!これから文芸部作るわよ!」
有言実行、即行動の姫菜にかかれば部活を1つ作ることは簡単なことであったらしい。
昼食を急いで終わらせた姫菜は、まだ昼食をとっているアリスに「ちょっと行ってくる」と一言言ってどこかへ行ってしまった。
お昼休みギリギリに帰ってきた姫菜に声を掛けることができずに授業が始まり、次の休み時間も姫菜はどこかへ行ってしまい、話を聞くことができたのは放課後になってからだった。
「姫菜ずっとどこに行ってたの?」
自分の言ったことからなにか思いついて行動に移したのは間違いない。
けれどどこで何をしてきたのかさっぱり分からなかった。
「ちょっといろいろなところに行ってきたのよ!まあ説明すると長いんだけど・・・」
姫菜はアリスの「文芸部があれば」という一言に文芸部を作るぞ!とやる気が出てしまい、まず担任のところへ行き、部活を作るのに必要なことを聞き出し、顧問をやっていない先生を聞き出してその先生に直談判をして顧問になる承諾を得ると、部員が最低5人必要と聞き、まずは別のクラスに居る幼馴染の芹沢総司に話を持ちかけ、部活に本入部していなかったところを説得して確保、次の休み時間にもう一度総司のところへ行き、同じクラスで本好きという共通点を持って総司と仲良くなった如月久遠と桐生水都を説得・確保して、今アリスを最後の部員として確保しようとしているところだったのだ。
「と言う訳で、アリスここに名前を書いて頂戴!」
「どこから話が繋がってるかわかんないけどここに名前を書けばいいのね?」
姫菜に渡された紙を受け取って名前を書く。
「よし!これで部員は集まったわ!これを生徒会に提出して・・・」
受け取った用紙を持ってまた飛び出していく姫菜。
訳も分からずに唖然とするアリス。
そこに姫菜が戻ってくる。
「アリスまだ帰っちゃダメだからね!アタシが戻ってくるまで待っててよ!」
そう言い残して颯爽と行ってしまった。
アリスは仕方なく持っていた文庫本を読み始めた。
最近のアリスのお気に入りの剣や魔法に無双やチートが入り混じったファンタジー小説だ。
姫菜のことはちょっと忘れて小説の世界に入り込み始めた。
「・・・・り・・・あ・・す、アリス!!」
「・・・ふぇ?」
「ちょっとアリス!戻ってらっしゃい!」
「あれ?姫菜?」
小説に没頭しすぎて現実の声が聞こえていなかったらしい。
今もまだ小説と現実の狭間にいるような感じだ。
「あれ?じゃないわよ!しっかりしてちょうだい!行くわよ!ちゃんと荷物は持ってくのよ?」
「え?どこに行くの?」
アリスの言葉にニヤリと笑って答えず荷物を持ったアリスの手を引っ張って連れて行く。
姫菜が歩いていくのは教室がある本館から中通路を通って様々な部活の入った部屋がある別館だった。
疑問符が飛び交っているアリスを連れて別館の奥の方に入っていく。
ここらへんは部活の入れ替わりの激しい部室が多いエリアである。
そこの角部屋の前に3人の男子が立っていた。
「え?え?なにどういう事?ひなぁ~?」
何も知らされずに来たアリスは姫菜の後ろに隠れて腕の横から顔をだして男子3人を見た。
1人は見知った人物だが2人も知らない男子がいて混乱しているアリス。
姫菜はそれを分かっていてアリスを後ろから前に引っ張り出した。
若干アリスは涙目になっているが、そんなことで許してくれる姫菜ではなかった。
「ほらアリス自己紹介して。」
その言葉にアリスは一瞬姫菜の顔を見て観念したように自己紹介を始めた。
「月詠アリスです。よろしくお願い致します。」
そうしてペコリと頭を下げた。
男子からまずは芹沢総司が自己紹介を始めた。
「オレのことは知ってるよな?姫菜の幼馴染の芹沢総司だ。よろしくな!」
短めの髪にスポーツを得意としているような顔立ち背は姫菜より少し高いぐらいのさわやか系男子だ。
姫菜とは腐れ縁で幼稚園のころからの幼馴染だ。
続いて自己紹介を始めたのは桐生水都だった。
「僕の名前は桐生水都だよ!部活に悩んでたから誘ってくれてありがとね!これからよろしくね!姫菜ちゃんにアリスちゃん」
明るめの茶髪はいい感じに切り揃えられていて某男性アイドル事務所にいてもおかしくないルックスの持ち主で、明るくて気が利く人気者で身長もそこそこ高く女子の人気はけっこう高い人物である。
最後は如月久遠、彼は高身長で学力も高く、さらに運動神経もよく、人当たりは悪くないのだが黒髪を長めにして顔を隠すようにして黒縁眼鏡をかけているために威圧感があって人があまり近寄ってこないが実はフェミニストで人には優しいのだがそれは唯一小学校時代からの幼馴染で趣味が合って仲の良い水都しか知らなかったりする。
髪が邪魔なのか髪をかきあげながら顔がわかるようにしてなおかつ女子達に視線を合わせるようにして自己紹介をする。
「如月久遠だ。よろしく」
「さ!これで自己紹介は終わったわね!じゃあ私達の部室に入るわよ!」
そう言って鍵を持った姫菜が部室の鍵を開けて扉を開ける。
扉の先に見える部屋の様子に5人は絶句した。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
次の更新は2月1日の12時更新予定です。
しばらくは2日以内に更新をしていきたいと思っています。