第7話 デルタ密林
あれ?
2週間は書けないと思ったんだけどな
書けたので更新です。
デルタ密林。
帝国から北に4kmの場所にある迷宮である。
全長ははっきりとは分からないが少なくとも38km以上。
様々な種類の敵が出現するが、入り口の方が弱く、深部の方が強くなっている。
ランクB以上推奨。
そんな所に来ています!
いや、分かりますよ。流石の俺でもこんな危険そうな所には行きませんよ。
....この依頼が無ければ
コンコン
「すいませーん、依頼を受けたマコトと言います。納品に来ました!」
「私はゲラド・ベルヤードだ一緒に届けに来たぞ!」
こいつ....
いつの間にか俺の仲間気取りしてやがる。
こいつは、俺が此処にくる途中で
『マコトというそうだな。....私を仲間にしてくれ。見たところ仲間の一人も居ないようだから丁度良いだろう?」
とか何とかほざいていた奴だ。
俺がさっきギルドで眠らせた(物理的)奴。
俺の力を間近で見て感銘を受けたそうだ。
....嘘くせえ
もし本当だったらこいつマゾじゃね?
ともかく、そんな奴とは居られない。
『悪いな、仲間は募集してないんだ』
そう言って歩き出す。
テクテクテク....
(少し遅れて)テクテクテク....
テクテク、ピタッ
テクテク、ピタッ
『付いて来んなよっ!!』
『気にするなただ歩いてるだけだ』
いや、あり得るかっ!
クソっ、ああもう意地でも無視してやる!
こうしてこいつは此処まで付いてきた。
しぶとくね?
撒けば良かったか?
まあ、良いや。
話を戻そう。
で、俺たちが門で声を掛けていると、一人のメイドさんが出てきた。
「では、こちらに」
それだけ言うとさっさと歩き出してしまう。
慌てて俺たちも後を追う。
案内されたのは、応接間だった。
見るからに高級そうな家具が至る所に並べられている。
そのソファに一人の少女が座っていた。
「初めまして。私はマレータ・ギルバートと申します。この度は依頼を受けてくださりありがとうございます。」
艶やかな銀髪に抜けるような白い肌。
清楚な姿に整った容姿。
とても綺麗な少女だった。
「あの?どうかなさいましたか?」
しまった思わず見つめてしまっていた様だ。
仕事で来てるんだ。シャキっとしよう。
「いえ、なんでもないです。
それでこちらが預かってきた物になります。」
「ありがとうございます。....おや、こんなに軽いのですか?
私が頼んだのは『フローズンフロッグの核』なのですが?」
え、そうなの?
よく分かんないけどあの爺さん勘違いしてたんじゃないよな?
全く何やってんだか
マレータさんが箱を開ける。
そこから出てきたのは一枚の手紙だった。
『拝啓、ギルバート殿
〈氷結核〉が入って無くてビックリしたじゃろう。すまんが儂らでは入手出来なかったのじゃ。そこで今回届けに行った奴に取って来させると良い。これ位出来る奴に儂は頼んだじゃろうからな。
では、これを読んでいる冒険者君。
....世の中に届け物だけで銀貨が貰える依頼なんかあるわけないじゃろう?これに懲りたらもうこんな破格の依頼には手を出さぬよう。
追伸、まあ、依頼受けたんだから責任もってくれよのう。
グレム・ランダーズ」
あんの糞爺!
道理で美味い話だと思ったよ!
そうだよな、届け物だけで銀貨なんて貰える訳無いよなあ!
....覚えとけよ。
「すいません、祖父が失礼を」
え⁉︎あの爺さんマレータさんのお爺様だったの⁉︎
でも苗字が違う様な?
こちらの疑問が顔に出てたのかマレータさんはこう続けた。
「母がこのギルバート家に嫁いで来たので、私はギルバート家の人間なのですよ」
納得。
そういうもんだよな。
「それにしても祖父が失礼を
なんとお詫びしたら良いか...」
あの爺さんはともかくマレータさんが気にやむ必要は無い。
こっちも依頼として受けたからもう引けないしな。
「良いですよマレータさん。
俺がその氷結核とやらを取って来ますよ。
確か『フローズンフロッグ』から取れるんでしたよね?特徴さえ教えてくれればすぐに取ってきますよ」
「無論私もだ」
最後要らない奴も何か言ってた気がするがスルーで良いだろう。
「フローズンフロッグは氷属性の大蛙です。
攻撃で厄介なのは、氷結弾と舌による範囲攻撃です。
特に氷結弾は当たると一時的にスタン状態になるので注意が必要です。
ですが、本当に宜しいのですか?
これは、依頼とは方向性が違いますが?」
無論大丈夫だ。
方向性といっても俺は闘う方に適正があるので(おそらく)全く問題無い。
「勿論です!」
「そうですか....
ならば報酬に上乗せして、刀【叢雲】をつけましょう」
ん?叢雲?
何か強そうな剣、いや刀だな。
そう思っていると、
「何っ⁉︎『銘付き』の刀だと?
これはとんでもない逸品だぞ」
何とレア武器らしい。
流石マレータさん。マジ天使。
「ところでフローズンフロッグが出るところってどこなんですかね?
俺、此処に来たの最近何でまだ分からないんですよね」
「フローズンフロッグはここから北に3kmの所にある『デルタ密林』にいますよ」
ふむ、デルタ密林か
凄く強そうなモンスターが出てきそうだな。
とにかく準備するか。
とりあえずこんなもんか。
後はデルタ密林に行くだけだ。
「じゃあ、行ってきますね」
「ああ、待ってください。
デルタ密林まで送っていきます。....馬車の準備を!」
こうして俺はマレータさんと馬車に乗る。
マジか美少女と二人きりだよ!
テンション上げ上げなんですけど!
「うむ、では出発するとしよう」
こいつさえ居なければ....
クソ、せっかくの美少女と密室なのにこの煩いのがいるせいで台無しだよ!
そして、『大迷宮 : デルタ密林』へと俺たちはやって来た。
何というか
「でっかい森だなあ」
っていう感想しか出てこない。
流石異世界。
じゃあ早速浸入しますか。
「期限は4日後の午後2時までです。
気をつけてくださいね」
「ああ、任しとけ!」
「言われるまでも無い」
こうして俺とゲラドは密林へと向かう。
「いや、ゲラドは来なくて良いよ。
マレータさんと待っといてよ」
ここまでこんなダルい奴に付いて来られるのはまっぴらごめんだ。
「だが、私はフローズンフロッグの弱点やその他危険種の生息地域、そして多少ながら料理も出来るぞ?」
「ったく、早くそれ言えよな?
宜しく、相棒(暫定)!」
そんなことを言い合いつつ森へと入る。
暗いな。
「《松明》」
おおっ
ナイス、ゲラド君!
森の攻略開始だ!
次回こそ1、2週間後になります。