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異世界でスキル王になるっ!  作者: 黒色鮎
第2章 12星魔獣編
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閑話 俺たちのクリスマス

勢いでやった。

後悔はしていない(・ω・)ノ

 クリスマス。

 毎年聞く地獄の響き。

 非モテ(なかまたち)リア充(にくむべきてき)の血で血を洗う聖戦。ジハードだ。

 そこかしこでハートを周囲に撒き散らしながら笑いあうカッポー。

 そこに突撃する我らが実行隊長、"まあまあイケメンなのに何故かモテない眼鏡" の称号を持つ俺の親友、貴章だ。

 え? 俺は何をしてるのかって?

 それはこの手にあるライフル(対リア充専用空気砲)を見れば分かるだろう?

 隊長の援護さ!


「行くぞマコト一等兵! 敵は元親友、"裏切りのモテ男" だー!」

「了解です隊長!」


 信じてたのに……。

 残念だよ、白山。


 ――我らの首級として相応しいから良いけどね!


「「誰だよそのお姉さんはよおおおお!!」」


 俺たちの憎悪と殺意と悲しみを混ぜ合わせたような叫びを奴は、白山は――


「え? 誰ってそれはい「仁矢(じんや)君の彼女でーす!」……!」


 ――肯定しやがったので惨たらしく惨殺してやろうと思います。


 もはや無表情で引き金に手をかける俺たち。

 引き攣った顔をしているスカした糞野郎が目の前にいる。

 躊躇うことも無いだろう。


「「発射(ファイア)ーー!!」」


 何回も引く。

 単発式だけど、もう空気が補充されてないから何も出ないけど何回も何回を撃つ。

 となりを見ると貴章も同じことをしていた。

 終いには銃をほっぽりだして殴りかかる俺たち。

 それには不味いと思ったのか白山の彼女(ちッ!)は慌ててそれを止める。


「あー! ごめん、それ嘘! 私は仁矢君の従姉(いとこ)だよー!」

「「え?」」


 その言葉の意味をたっぷり10秒かけて吟味する。

 頭の中にある辞書から最適解を導き出す。


 ふぅ。

 なんだそういうことか。


「「だったら始めから言えよな! 白山!」」

「言おうとしたよ……!」


 憤怒の表情で立ち上がる白山。

 それを見た俺たちは流石にやり過ぎたか、と思う。

 だから――


「「ごめんちゃい☆」」


 ――全力で謝った(笑)


 いつもいつも思ってたけどモテ過ぎなんだよ、このクソボケが!


 身体は心を映す器だ。

 これは俺の名言。

 実際その通りだと思わない?

 今の俺らを見れば分かるよね?


「お〜ま〜え〜ら〜!」

「「悔しかったら捕まえてみろよ、女ったらし!」」

「……絶対殺す」


 弾かれたように走り出す俺たち。

 白山を追い詰めていた奴の家のリビングから同時に飛び出す。

 そして履きやすいように(・・・・・・・・)紐を緩めておいた靴に足を通す。


「――あっ! クッソ!」


 ふっ。引っかかったようだな。

 お前が怒って追いかけてくることなんて簡単に予想できんだよ!

 予めキツく締めておいた白山の靴を横目で見ながら玄関を開け放つ。

 いつも通り毎年違う女とクリスマス一緒に居る白山をおちょくり、怒った白山から逃げ回る。

 子供は女とイチャコラしてないで外で遊ぶのが正解なんだよ。

 これで結局白山も毎年俺たちと過ごすことになる。


「ふふっ」


 俺の口から笑が溢れる。

 ふと隣を見ると貴章の奴も同じように笑っていた。

 見つめ合って、破顔すると靴を履くのに手間取ってる白山を見て、


「「……ざまあ(大草原)」」


 中指を上に突き立てて扉を閉める。

 そして俺たちは家から飛び出した。


 ――ぴとっ。


 ん? 俺の鼻頭に冷たい物が……。


「雪か……」

「雪だな」


 町内を走りながら二人で呟く。

 いつの間にか雪がふってきていたようだ。

 さしずめ、ホワイトクリスマスか。

 ……吹雪になってしまえば良いのに。

 そうすれば憎き怨敵(リアじゅう)達も生まれないはずなのにー!

 あ、そうだ。

 俺は一つ考えを思いつく。

 なので隣を走る貴章に話を持ちかける。


「それいいな!」

「だろ?」


 俺たちは昏い笑みを浮かべながら奴――白山(ターゲット)が来るまでに準備を整えるのだった。





「待てー! どこ行きやがった」


 それから2分後白山の馬鹿がノコノコと現れやがった。

 ハンドサインを送り一斉に隠れていた塀の上から飛び出す。


「――な、お前らどこから……!」


 俺たちは白山が来る前に寒いのを我慢して雪を被っておいたのだ。

 ハリボテのように白山側からだけは見えないようにね。


「はっはー! お前の負けだ白山!」

「くっ! い、一体何を!」


 白山の服を脱がしていく。

 先ずは俺がコートを奪い、貴章が靴を奪った。

 白山が動揺している隙に上着だけを盗んでいく。

 そして即効で奴は下着だけになった。

 歯をガチガチと言わせながら必死に服を取り返そうとしてくる。


 なのでコートを着せてやる。


 そして叫んだ。


「「うわぁー! この寒い中下着にコートを羽織ってる裸足の変態がいるよー!!」


 呆然とする白山を置いてダッシュ!

 後ろから「え? 何不審者?」「し、白山君! これは一体……」「ちょ! ちょっと待ってこれは誤解で――」「変態だわ! 警察を呼ばなきゃ!」「や、止めてー!!」「キャー! 寄って来ないでぇ!」とか聞こえてくる。


 よかった。

 親友を変質者にして社会的信用を失わせることが出来た。

 これであいつもモテなくなることだろう。

 良い非モテの反逆の日(クリスマス)になった。

 だから俺たちは満面の笑みで笑いあう。


「「メリークリスマス!」」


……すいませんでした。

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