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異世界でスキル王になるっ!  作者: 黒色鮎
第1章 帝国編(序章)
4/51

第3話 影

最初の視点は主人公では有りません。

 


**************


 男達は音も立てずに日が暮れる直前の道を疾走していた。


「お頭。そろそろ帝国に着いちまいますぜ。襲撃した方良いんじゃないですかい?」


 そう隣にいた黒いフードを被った男に問いかけたのは、こちらも黒いフードを着た男。隣にいる黒いフードの男よりは少し太っている。


「まだだ、もう少し油断させてから殺る。....お前らまだ手は出すなよ。」

「了解〜」

「分かってますよ。お頭の言うことは絶対だ」


 問い掛けた男にそう返した男....アリオスは他の男達にも声を掛ける。


 彼等は盗賊。盗賊団”影”の構成員である。

 頭にアリオスを据え、副団長に太っている男である、タザンを置いたこの辺りでは有名な盗賊団である。

 彼等の狙いは前方の馬車。おそらく商人のものであろう。


 もう、舗装されている道路に到着する。あそこに入られたら武装している兵士達も居るので手出し出来ないだろう。


「....良し、殺れっ‼︎」


 男達が馬車に向かって更にスピードを上げて走り出す。


**************


 外でそんな物騒な事が起こっているとも梅雨知らず話込んでいた俺達。

 話込んだ甲斐あって新情報がかなり入った。

 まず、これから訪れる帝国について。

 帝王はレイヴァン・サーヴァイス。齢18にしてこの国を纏め上げた辣腕な男らしい。何でも魔物の群れを自ら前に立ち撃退したとか、荒れていた国内情勢を3日で立て直したなどとか色々な事をした人らしい。こんな人が俺の1つ上の年だなんて到底信じられない。

 次に帝国では実力主義であるらしい事が分かった。なのでよく下剋上が起こるらしい。下位貴族が上位貴族を武力で破るといった事などだな。

 ここまで聞くと凄い野蛮な国だと思ってしまうだろうが、負けても一定以上の礼を尽くすことや下剋上を夢見て研鑽に励む(下位貴族の話で、逆もまた然り)事で国内の経済が活性化しているということがあるのでそこまで野蛮ではないだろう。

 あと、ガインさんのスキルも見ちゃった。テヘペロ★

 それによると


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:ガイン・カーリッジ

 種族:人間

 持ち物:短剣(攻撃力10)×3、金貨、銀貨、銅貨、鉄貨、商人の心得(スキル《商売》の効果アップ)

 装備:少し高価な服(防御力3)

 称号:大商人

 スキル:商売(LV3)、格闘術(LV2)、投擲(LV2)、力強化(LV2)、空間拡張(LV2)

 攻撃力:125

 防御力:93

 魔力:25

 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺よりも圧倒的に強かった。

 いや、おかしいでしょ!ガインさんって商売人なんだよね⁉︎どうしてこんな強いんだよッ⁉︎

 ....妬むのはこれくらいにして、スキルを何個か頂かないかな?と俺は今思っている。

 この《格闘術》っていうのが欲しい。あと、《投擲》も欲しい。どうにかして貰えないかな?

 そこで俺が、どうにかしてスキルを貰おうとしているときに馬車に揺れが走った。


「うおッ⁉︎....痛って〜、ったく何なんだよ?」

「確かにな。今のは何かおかしい。何だ?」


 俺達が不思議に思っていると馬車が停止した。

 ゆっくりとではなく、坂道で急ブレーキを踏んで前につんのめる感じだ。


「ヒイィ、止めてくれ!俺は何も....」


 御者台の男の悲鳴がした。


「何事だ!」

 ガインさんが問いかけるも御者台の男の返事は無い。

 これはヤバイかもしれん。

 今すぐに逃げた方が........


「はぁーい、何処に行くの〜?」


 俺が腰を浮かしかけた時、すぐ側から声が聞こえた。反応する間もなく足を刈られ地面に組み伏せられる俺。


「マコトっ‼︎」


 ガインさんが俺を助けに行こうと前傾になった瞬間、突如としてガインさんの身体が傾いた。そのまま地面に倒れると動かなくなる。


「ガインさんっ⁉︎」

「大丈夫だ、意識を奪っただけだからな」


 そんな声がガインさんの後ろから聞こえてくる。

 見ると一人の真っ黒な男が立っていた。


「失礼、俺達は”影”。ここの荷物を奪いに来た。抵抗しなければ殺しはしない。だから黙ってそこで見ていろ。」


 何だと?こいつふざけてんのかっ!

 俺は怒り狂い俺を抑えつけている細身の男を弾き飛ばそうとする。

 だが、一向に弾き飛ばせない。それどころか更にきつく締められてしまう。


「お頭〜?こいつ暴れるんで殺しちゃっていいですか〜?」

「まあ待て、お前が負けないと判断するまでは生かしておけ。....お前なら負けんだろう?」

「当然です〜」


 クソッ!クソッ‼︎

 《力強化》を発動させても動かない。

 馬鹿なっLv2だぞっ⁉︎


「おうおう、力強くなってんじゃーん。そのまま頑張ってみ〜」


 なっ⁉︎まだ余裕だと⁉︎

 こいつどんだけ強いんだ?

 そうだっ!ジン君!こいつのステを見してくれっ!


『了解しました。』


 今気づいたが、ジン君の口調が大分人間のものに近づいて来ている。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:ラオス

 種族:人間

 持ち物:ロングソード(攻撃力27)、金貨、銀貨、短剣(攻撃力7)×5、頑丈な縄、回復薬×3、快復薬

 装備:獣皮装備一式(防御力48)

 称号:盗人

 スキル:剣術(LV2)・投擲(LV3)・力強化(LV3)・防御強化(LV3)・奪取(LV4)・身体能力強化(LV2)・格闘術(LV3)

 攻撃力:165

 防御力:150

 魔力:56

 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺より遥かに強かった。

 スキルの質でも基本の身体能力でも負けている。《身体能力強化》と《力強化》と《防御強化》で底上げしているのだろう。


 でもっ!それでも!

 話していて通じ合ってこの世界の親友とも呼べるガインさんを攻撃されて黙っていられるわけがない!

 先ほどまでより腕に力を込める。

 重いっ!でも、まだだ‼︎

 更に力を込める。腕からぶちぶちと、筋繊維が切れる音がきこえてくるが無視する。


「うおおおおっ‼︎」

「更に強くなるのか〜。油断出来ないねえ〜。」


 そんな俺にラオスはしゃべりながら俺に加える圧力を強くする。

 ....それが俺の狙いなのに。

 俺は奴の攻撃(押さえ付け)を受けている。そして、奴の持っているスキルの名前も知っている‼︎

 まず、奴が見せてくれた中で、持っているスキルを全てコピーする。すると、元々持っていた《力強化》がLv4になる。

 なるほど持っているスキルをコピーするとそのLvぶんの経験値(熟練度)を貰えるのか。


「ん?どうしたんだ〜?抵抗は終わりかな〜?」


 ああ、終わりだよ。貴様がな‼︎

 《力強化》と《身体能力強化》の力をフルで発揮し、奴の身体を横に押し倒す。


「何っ⁉︎」


 そのまま奴が驚いている隙に腰にぶら下げてあったロングソードを奪う。

 奪った側から流れる様に抜刀。抜刀時の勢いを殺さず奴の足を狙う。

 だが流石に奴も黙ってはいない。すぐさま足を引くと同時に拳を放ってくる。

 なるほど流石《格闘術》。早い。

 その一撃を俺は腹にくらう。


「調子に乗んなよ〜!」


 今の一撃を自分で当てたと勘違いするラオス。

 はっ!慢心しやがって

 今のも俺がわざとくらってやったっていうのに。


 勝負は次の段階に移行する。

 まず、奴の剣で奴自身を攻撃する。その攻撃を短剣でいなすラオス。すぐさまその短剣を俺に投げてくる。それを紙一重でかわすと、奴が間合いを詰めてくる。

 まあ、ラオスは短剣では《剣術》を扱え無いはずなので(剣術は長い剣専門)十中ハ九間合いを詰めてくると思った。


「食らえっ」


 いつもの口調はどうしたんだと思いたくなる掛け声だな。

 ラオスが気合いと共に放った正拳突きを腹に力を集中させることで受け止める。そしてそのまま腕を掴むとコピーを発動させる。

 よしっ、上手く取れた。

 さて、他にも欲しいスキルはあるがそろそろ決着を付けよう。


「セアアアッ‼︎」


 声と共に腕を捻り上げる。


「うああああッッ‼︎‼︎」


 折れる腕。舞う血飛沫。

 それらを影に痛みに苦しんでいる、ラオスの背後に回り込むと、そのまま一息に心臓を貫く。



 こうして俺とラオスの死闘は幕を閉じた。

 今までで一番強かった。....まあ、ゴブリンとしか戦って無いけど。

 戦利品はくみ伏せられているときに取った《力強化》(熟練度のみ)、《身体能力強化》(Lv1)先ほど取ったばかりの《格闘術》(Lv1)と《投擲》(LV1)である。


 ピロリロリーン

『レベルがアップしました。Lv4になりました。新しくスキル《物質錬成》を入手しました。』


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 スキル:模倣(LV2)・剣術(LV2)・力強化(LV5)・身体能力強化(LV2)・格闘術(LV3)・投擲(LV2)・物質錬成(LV1)

 攻撃力:182

 防御力:113

 魔力:38


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 ヤバッ!全部レベルアップした!

 しかも新しいスキルまでゲットしたぜ‼︎


「....喜んでいる所悪いが潰させて貰う。」


 ヤバイっ何か来る⁉︎俺は取り敢えず全力でバックステップする。


 ゴガアッッッ‼︎‼︎


 それは今まで俺がたっていた床を粉砕する音だった。



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