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異世界でスキル王になるっ!  作者: 黒色鮎
第2章 12星魔獣編

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第25話 襲撃

これから出来るだけ毎日投稿します!

 


「おうおう、本当に勝ちやがったぜ」

「……驚くほどでは無い。……手助けも入ったようだしな」

「でもあそこから勝ったのは素直に凄いと思いませんこと?」


 スコーピオンの死骸から数十メートル。

 高い崖の縁に立ってマコト達を眺める影があった。


 最初に言葉を発したのはガラの悪いヤンキー。

 髪型もリーゼントという完全なDQNだ。

 次に話していたのは20歳くらいの何処にでもいるような普通の男性。

 良くも悪くも特徴が何一つ無い。

 最後に話していたのはお嬢様っぽい女の子。

 ショートカットの美少女だ。


 彼らの手には双眼鏡が握られている。

 それらが見つめるのはスコーピオンーー彼らの主の手駒である12星魔獣を倒した者達。


「でもあん中で警戒すべき奴ってあの火の奴(しょうすけ)槍持ってた奴(マコト)くらいだろ」

「……そうだな。……だが、(シャーラ)の方も《王の力(キングスキル)》持っているようだが?」

「はっ。あんなの雑魚だろ。使い方も悪いしな」

「………それよりも、指令がきましたわ」


 女の一言で言い争いを止める二人。

 それほどまでに彼らの主ーー魔王は恐れられているのだ。


「彼等のうちの一人を攫ってこいですって」

「……一人だけか?」

「まあ、何人攫っても良いんじゃないですの」

「……そうか。……ならば俺が行く」

「おいおい、大丈夫なのか? 殺しちまうんじゃねえのか?」

「……加減は知っている。……今まではしなかっただけだ」

「本当か? 連続殺人犯の廟堂(ひょうどう) 善作(ぜんさく)さんよお」


 そう。

 この中では最も普通なこの男は地球にいた頃、殺人の罪で処刑された前科を持っているのだ。


 地球、というように此処に居るのは全員転生者だ。

 転生後もれなく魔王に拾われた者達である。


「ですが、善作さんの《唯一の力(ユニークスキル)》ならば捕らえる事も可能ですわ」

「でもよお、俺のユニークスキルでもよお」

「我々はサポート。善作さんのカバーです。……納得いかないなら彼等を何人か殺しても良いですから」

「……良いのか?」

「ええ。殺すなとは言われて無いので」

「……それ本当に大丈夫なのかよ……」


 二人が言い争っている間に彼は上位スキルの一つを発動させる。

 そして、崖から飛び降りる。


「ちょ、早!」

「ま、待って下さいまし!」


 二人も慌てて同じスキルを唱えて崖から飛び降りる。


 彼等が自らにかけたスキルは《衝撃緩和》。

 《堪体》の進化スキルで、落下ダメージや攻撃による吹っ飛びダメージを大緩和するスキルだ。

 それを3人とも持っている事からも彼等が相当な実力者だと分かる。


 かくして、殺人鬼が野に解き放たれる。


 __________________





「で、これどうする?」


 俺たちの前にあるスコーピオンの死骸を見ながら祥介に問いかける。


「そうだね……兄さん。《空間拡張》は使える?」

「当然だ! レベルは3だけど」

「じゃあ、僕と兄さんで運ぼうか。僕はレベル6だから僕が多めに運ぶよ」


 さらっと自慢されてぐぬぬ、となる。

 兄としての威厳が……。


 そうこうしてる間にも祥介はスコーピオンの死骸を切り分けていた。

 ああ、何故スコーピオンの死体を運ぶのかというと、結構良い素材になるからだ。

 それはもう余すところなく使える。

 身体は蟹のような味がするらしいし、甲殻は防具や盾の素材と、毒は薬にも使える。

 毒と薬は紙一重だからな。

 地球でも猛毒が薬になった例もある。

 ……確か。

 無くても俺を責めないでねっ!


「はい、兄さん」

「おう」


 《空間拡張》っと。

 そういえばコレ初めて使ったな。

 中とかどうなってんだろ?

 《空間拡張》は使うとワープゲートのような物が空中に出現する。

 その中に物を収納するのだ。

 好奇心で中を覗く。

 ………何も無いね。

 真っ白い空間が続いているだけだ。

 大きさでいえばマンションのワンルームくらいの大きさだ。


「まあ、良いか」


 祥介に渡されたスコーピオンの一部をドンドン入れていく。

 悪ふざけで赤嶺を入れてみようとしたが、入らなかった。

 量的な問題では無く、なんというか……スキルに断られた感じだ。

 《空間拡張》では生物は入れられないらしい。


 そんなこんなで陽が落ちた。

 スコーピオンと闘っている時でさえ夕暮れだったのに、回収作業まで入ったらそりゃあ陽の一つは暮れる。


「もう回収するのも無いね。じゃあ帰ろうか」

「え? 何処に?」

「決まってるだろ、兄さんがお邪魔してる所にだよ。僕今日の宿見つけて無いんだよね」

「いやいや、今まで居た所に戻れよ。何処かで寝泊まりしてたんだろ?」

「そうだけど昨日がチェックアウトだったからさ」

「え? ならお前倒した後の事とか無計画で来たの?……っていうか、何で俺たちがスコーピオン倒しにいってるって分かった?」

「そういうのも宿でするからさ」


 はあ、とため息が出る。

 まあ、案内するのも問題無いけど。

 でも無計画で来たのは呆れる。

 ……いや、流石祥介だ。

 ちゃんと抜けてるところはしっかりと遺伝されている。


 ピクリ。

 その時、俺の《生命感知》と《熱源感知》が反応した。

 数は3。

 3人の人間が俺たちの元へ高速で移動している。


「……祥介、シャーラ」

「うん。気付いてる」

「3人よね」


 《王の力(キングスキル)》持ちにも言っておく。

 二人とも既に気付いているようだ。


「まだ、様子見だね。僕らに危害を加えるつもりがあるのか否か。そこだけでも把握しておきたい」

「え? 何の話?」


 何も分かっていない赤嶺は置いといて俺もシャーラも祥介の意見に賛成する。


「だから何の話なの?」


 意識をどんな攻撃をされても対処できるように鋭敏に研ぎ澄ましておく。


「ねえねえ……、!」


 赤嶺も気付いたようだ。

 つまり、敵(まだ分からないが)がかなり接近しているということ。

 ここは移動中で森の中。

 鬱蒼と立ち並ぶ樹々が暗鬱とした雰囲気を醸し出している。

 俺たちは武器を取り出した。

 俺は幻月 ”爆” を構えた。

 祥介は刀を、シャーラはナイフを構える。

 赤嶺は ”アセンション” というあの剣を構えている。

 俺たち4人で背後をカバーし合う。

 背中合わせにくっ付いたのだ。

 これで背後からの奇襲は避けられた。

 まあ、俺は全方位見えてるから問題無いけど。


 ガサガサ。

 草が揺れる。

 ……おかしい。風も吹いていないのに。


 まさかっ!?


 ザワッ。

 突如として襲いかかる強大な威圧感。

 冷や汗が止まらない。

 この威圧感からしてスコーピオンよりも上の存在だ。

 こんな暗闇では不味い!

 俺はというより俺たちはこの息苦しさから逃れようと全力で走った。

 走っていると全力疾走したからだろうか目眩が襲ってくる。

 気持ち悪さを堪えつつ走っていると違和感を覚えた。


 変だな。

 あいつらの気配が無い。


 いつの間にか仲間達の姿が無かった。

 どうやらはぐれたらしい。


「……え? 俺ぼっち?」


 みんなー、何処ー!

 また俺森の中でぼっちかよおおお!


 人生2度目の森の中ぼっちを俺は経験した。


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