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異世界でスキル王になるっ!  作者: 黒色鮎
第2章 12星魔獣編
23/51

EXTRA ② 魔獣 ”白牙”

ゲラドとケンゴpart2です。



 パァン


 光の粒子となって消えた魔物には目もくれず更に攻めてくる巨大なカブトムシの角での突きを両手に持っていた剣をクロスさせて防ぐ。


「ぐうっ!」


 とんでもない重さが私に襲いかかる。

 腕が軋む音が聞こえる。

 だが、私は一歩も引かない。

 そのままクロスした両手の剣を左後ろに逸らすように動かす。

 たたらを踏むカブトムシ。

 その崩れた隙を私は見逃す程お人好しでは無い。


「ハアア!!」


 右の剣を奴の甲羅の隙間にねじ込む。

 左の剣で片方の目を潰す。


「ーー!!」


 声にならない悲鳴をあげるカブトムシ。

 更に右の剣に力を入れる。

 左の剣は別の隙間に入れる。

 右の剣は押し込み、左の剣はテコの原理を利用して甲羅を押し上げる。


 ベコンッ!


 激しい音がして甲羅が、その下の羽をも巻き込み剥がれる。


「ーー!!!」


 更にのたうちまわるカブトムシ。

 ガラ空きになった甲羅の下の皮膚に向かって左の剣を振り上げる。


「『脳直波斬』!!」


 剣が人はおろか、魔物にも見えない速度で振り下ろされる。


 スパンッッ!!


 何の抵抗もなく肉に入り、そのまま肉を突き抜け地面を叩く。


 こうして、私が闘っていたカブトムシは左側に大きく損傷を負った。

 もはや、虫の息。

 まあ、虫だが。

 私はカブトムシに向かって魔法を唱える。


「『炎地獄』」


 ーー『炎地獄』

 ”陽魔法” の進化系魔法、”炎魔法” のLv4の魔法、それが炎地獄だ。

 これは自分を中心に半径7mを炎で焼き尽くす範囲攻撃魔法だ。


 どんなに甲羅が硬くとも熱には勝てない。

 甲羅をドロドロに溶かしながら焼け死んでいくカブトムシ。

 全てが終わった後に残っているのは地面に残る灰だけだった。





 静寂を取り戻したその場所ーー49階層のとある部屋にて私は剣をようやく下ろした。


 ーーコツコツコツ


 そんな私の耳に人の足音が聞こえてくる。

 ここにくるのはもう一人しか居ない。

 私はその人間ーーケンゴを待った。


「よっ、そっちはケリが付いたのか?」

「無論だ。ということはそちらもか?」

「当たり前だろ、早く終わり過ぎたから少し探索もしちゃったぜ」

「むっ」

「階段見つけといたぜ。だからさっさと行こう!」


 むう

 私より先に倒し終わるとは・・・。

 確かケンゴの所にいった魔物の数は私の所にきた魔物の数よりも多かったはず。

 それらを直ぐにいなすとなると圧倒的に私より強者だな。

「剣銃」の力か?

 いや、扱ってるケンゴの力か。

 一度私も剣銃を使ってみたが全く扱えなかった。

 撃った途端、とんでもない反動が私の身体に襲いかかり後ろに倒れてしまったのだ。

 《身体強化》Lv5を持っている私を倒したのだ。

 凄い力が掛かったのが分かるだろう。

 それをケンゴは両手に持ち、何発も連続で撃っているのだ。


 全く、やはりまだまだか。

 最低でも今のケンゴを超えられる位強くならなければマコトの足手まといになるだろう。

 だが、立ち止まっている暇は無い。

 こんな所で挫折していたらマコトやケンゴはおろか、街じゅうの人に笑われてしまう。

 まだまだ私は強くなる!

 そう心に決め先に行こうとするケンゴの後を追う。





 着いた先に有ったのは一つの巨大な扉だった。

 扉には白い虎のような絵が書いてある。


「何だ?これまでとは違うパターンだな」

「そうだな。だが、進むしかあるまい」

「まあ、それしか無いけどな」


 言いながらケンゴが扉を一気に開く。


 そこに居たのは一体の白い虎。

 丸くなり台座の上で寝ている。

 周りには柱が立ち並び、松明が辺りを明るく照らす。


「これは・・・?」

「さあな?・・・それよりゲラド、あの白い虎起きようとしてないか?」


 見ると確かに白い虎が目を開いていた。


「ーーよくぞここまで来た人間よ。

 ここから先を通りたくば我を倒して行け!」


 じっと見つめていたら白い虎が喋った。

 ・・・しゃべった?


「!?、魔物が人族の言葉を!?」


 思わず声を上げてしまう。


「訂正が一つあるぞ人間。我は魔物では無い。

 我は ”魔獣” ぞ!」


 ?

 聞いた事が無い。

 魔獣?

 魔物とは何が違うのか?


 その時、私に悪寒が走った。


 これは・・・《鑑定》?

 まさか私は《鑑定》されているのか!?


 咄嗟に私も白い虎を《鑑定》してしまう。

 今の私は《鑑定》のレベルは7。

 この迷宮内で色々な物を調べたのでかなりレベルが上がったのだ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 名称 : 白牙(はくが)

 種族 : 白虎

 称号 : ”滅びを招く者”

 スキル : d@mptd・鋭爪術Lv9・破壊(ブレイク)Lv8・堅守(プロテクト)Lv7・改変(ハイチェンジ)Lv6・瞬歩(ハイスピード)Lv10・隠身(ハイド)Lv9・鑑定Lv10・気配察知Lv8・立体機動Lv9・高速演算Lv5

 耐性 : 全魔法耐性Lv6・上位魔法耐性Lv2・痛み耐性Lv8・状態異常耐性Lv9・混乱耐性Lv10・硬直(スタン)耐性Lv7・破壊耐性Lv6


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 何だ?このスキルの量は!?

 しかも全てが上位のスキルだと!?

 しかも、何だこの文字化けスキル?

 この文字化けスキルに二重鑑定をかける。


『現段階では鑑定不能』


 鑑定不能!?

 私の《鑑定》はレベル7なのにか!?

 上位スキルの更に上。

 という事は・・・


「最上位スキル持ち・・・」


 そう、最上位のスキルを持っているという事だ。

 またはそれに準ずるスキルを持っているという事。


「何っ!?」


 隣でケンゴも叫んでいる。

 おそらくケンゴも私と同じく《鑑定》を使ったのだろう。

 そして、見たのだ。

 あの化け物のようなステータスを。


「ふむ、人間よ。お主は ”最上位スキル” いや、”王の力(キングスキル)” について知っておるのだな。だが、安心せい。我が持っているのは最上位スキルではなくその一つ下の『絶対の力(アブソリュートスキル)』だ」


 最上位スキルの一つ下だと!?

 やはりとんでもないスキルを持っていたか。

 では、どうする?

 おそらくこんな化け物には勝てない。

 私は死にかけた体験から慎重に行動するようになっていた。

 逃げるべきか?

 そうするべきだな。


「ケンゴ!ここは一旦引こーー」


 ダッ!


 なっ!?

 私が言い終わる前にケンゴが白い虎ーー白牙に向かって飛び出していってしまった。

 あいつはとてもでは無いが私やケンゴでは倒せない。

 それなのに何故?

 ・・・悩んでる暇は無いか。

 私はケンゴに続き白牙に向かって駆けていく。


 こうして、二人だけの絶望の戦闘が開始された。



次回は1週間後かな?

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