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異世界でスキル王になるっ!  作者: 黒色鮎
第2章 12星魔獣編

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第18話 ”蠍座”

 結論から言うと何も起きなかった。

 いや、起こそうとしなかった。

 寝るときにシャーラから笑いながら


「一緒に寝る?」


 と言われたけど丁寧に断っておいた。

 え?

 臆病者(チキン)

 いやいや、俺はシャーラを気づかっただけだって。

 決して俺に度胸が無かったとかじゃないぞ!


 シャーラにベットを譲った俺は床で毛布だけをかけて寝た。

 凄いゴツゴツしてたが何とか寝れた。


「ふあーあ。背中痛え」


 一階の食堂に向かう俺。

 因みにシャーラは起こしてない。

 だって超気持ち良さそうに寝てんだよ?

 起こせるわけ無くね?

 俺は優しい人間だからね!



 階下から騒がしい声が階段まで聞こえてきた。

 こっちは寝起きなんだが。

 頭に響くからもう少しボリューム落としてくれないかな。


「おい!大変だぜマコト!」

「ん?朝っぱらから何だよ」


 宿屋の主人が俺に話しかけてきた。


「『12星魔獣』が動き出したってよ!」


 は?

 何それ美味しいの?

 すると俺が不思議そうな顔をしているのが伝わったのか主人が説明してくれる。


「ああ、12星魔獣ってのは12の星座を司る魔獣のことなんだ。一匹一匹がそこらの魔物より格段に強い。確か、昔『勇者』が討伐にいったのに逆に負けてボロボロになって帰ってきたってのがあったな。スキルも優秀なのを何個か持ってるらしいぞ。

 そんで、そいつが目覚めたんだよ!噂では『魔王』が目覚めさせたとかいってたな。

 しかも、そいつがこの町への道の途上にいるらしいんだよ!

 そして、此処に向かってるんだよ!

 だからみんなで大変だ!って騒いでたんた」

「マジで?」

「大マジだ!」


 はああ!?

 そんな化け物がどうして此処に向かって!?



「そんな・・・」


 え?

 目をやるとシャーラが立っていた。

 それも顔を青ざめさせて。

 まあ、無理ないか。

 そんな化け物が此処に向かってるって言われたらそうなるよな。


「おい、シャーラしっかりーー」

「いけない!!早く行かないと!」


 そう言うと二階へと勢い良く上がっていくシャーラ。


「少し落ち着け!慌てると危ないぞ!」

「そんな悠長な事言ってる暇無い!私が行かないと!」


 ??

 シャーラが行かないと?

 何故だ?

 だが、シャーラ一人じゃ危険過ぎる。

 いくら王の力(キングスキル)があるっていっても危険過ぎる。

 クソっ!


「・・・俺も行くぞ!お前一人じゃ危ない!」

「いらないわ。そもそも貴方レベルじゃ死んでしまうわよ?」

「へー。俺が王の力(キングスキル)を持っていてもか?」

「!?今なんて・・・」


 シャーラは俺に向かって ”王の眼” を使っていないはずだ。

 王の眼は《鑑定》と同じで視られると背中に少し寒気が走る。

 だから《鑑定》されると人や魔物はそれを察知する事が出来るのだ。

 そんな感覚はシャーラからは向けられていない。

 つまりシャーラは俺の持つスキルを知らないのだ。


 まあ、逆説的に俺がシャーラを視たことは既にバレてるんだけどね。

 たぶん、シャーラは俺が《鑑定》をしたのだと思ったのだろう。

 《鑑定》では『王の力(キングスキル)持ち』のステータスを視る事は出来ない。

 そう思って俺の好きにさせたのだろう。


「何で、あんたが、王の力(キングスキル)を、?」

「色々あってな・・・さて、どうする?貴重な戦力である俺を置いていくのか?」

「っ!!・・・良いわ。付いてきて」


 ふっ!この女落ちたな。

 じゃあどんな12星魔獣が来てるのか話を聞くか。


「で、どんな奴が?」

「あ、ああ。此処に向かってるのは12星魔獣が一匹、 ”蠍座” 『スコーピオン』だ!」


 ふむ、蠍座か。

 蠍ってことは尾に毒針が付いててカニみたいな鋏を持ってる奴だよな?

 ってことは、《毒耐性》いや《猛毒耐性》が必要か?

 でも俺どっちも持ってないぞ。


「!!、蠍座!」


 ん?

 何かシャーラが凄い反応してるんだけど。

 何かあったのか?


「おいシャーラ。お前そいつと何かあったのか?」

「・・・親の仇」

「・・・あー、その、何だ?悪かった」

「良いわよ。もう吹っ切れたし。

 でも、あいつは絶対に許さないし私があいつを殺す」


 そりゃそうか。

 親の仇なら自分の手で取りたいもんな。





 そうこう言っているうちに準備が整った。

 俺はSPはかなり多いのだが節約の為、刀【村正】、槍【幻月 ”爆”】と回復薬×5と快復薬×5に携帯食料を持っていく事にした。

 シャーラは俺が見た限り、光輝く短剣と脇差、回復薬を15個程持っていた。

 でも、腰にアイテムポーチを付けていたので何が入っているか分からない。


「じゃ、行くか?」

「ええ、そうね」


 最低限の会話で意思疎通する。

 俺もシャーラも嘗て無いほどに緊張している。

 シャーラは親の仇だから。

 俺は初めての ”魔獣” との闘いだからだ。



 ”魔獣” と ”魔物” の違いは大きく分けて2つある。


 一つは名前が付いていること。

 これは種族の名前では無く、その個体に付いてる名前の事だ。

 そう、俺たち人間に付いてる名前の事だ。

 ”人族” では無く、”山岸 真” というように。


 もう一つは自我がある事だ。

 魔物はただ機械的に生きているものを襲い、捕食している。

 だからただの、死にたくないから食べる。生きたいから食べるというような動物のような思考をしているのだ。

 その点魔獣は違う。

 彼らは『考えて行動』する事が出来るのだ。

 ただ食べるのでは無い。

 選別してからより良い物を食べるのだ。

 ただ襲うのでは無い。

 より強い者に作戦を立てて挑むのだ。

 その結果魔物では倒せない者達を撃破する事が出来るのだ。


 つまるところ、魔物の上位存在といったところか。

 魔物よりも知恵が回る、更に強きもの達。

 それが魔獣なのだ。



 そんな奴と俺たちは闘おうとしている。

 生きるか死ぬかの闘い。

 これまでもそうだったが、今回はレベルが違う。

 確かに、アリオスや爺さん、龍は強かった。

 だが、アリオスは人間だし、爺さんは魔物の中の最上位の存在だ。


 スケルトンキング。

 最上位の魔物。意思があり人の骸なので一応名前もあるが、強さから魔獣には届かない。


 調べたらそうでていた。

 龍も、

 最上位の魔物。龍の上である炎龍や水龍などは魔獣に分類されるが、進化前である龍は魔物に分類される。


 と、出ていた。

 つまりこれが俺の現段階での最強との戦闘なのだ。

 今回は俺一人では無い。

 シャーラもいる。

 安全に戦わないと。


 ・・・でも凄い楽しそうだなあ。



 こうして、俺とシャーラは『スコーピオン』に向って進み始めるのだった。


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