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異世界でスキル王になるっ!  作者: 黒色鮎
第1章 帝国編(序章)
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第10話 デルタ密林(4)

チラっ(−_−;)

 扉を開けた先に待っていたのは小さな研究室だった。


 机の上に乱雑に置かれた書物。

 床の上に散らばった様々な実験器具。

 戸棚の中に入っている怪しげな薬品。


 いかにもな所だ。

 簡易寝床も設置されている。

 だが、最近人が来た痕跡は無い。


「マコト、周りを見てくれ」


 ゲラドに言われて辺りを良く見渡すと石で出来た壁に絵のような物がびっしりと書かれている。


 これは......

 セフィロトの樹か!

 通りで見覚えがある訳だ。

 この手の類ならアニメやラノベで腐るほど読んだ。



『セフィロトの樹』


 ユダヤ教の神が作った世界で神からの恵みを受け上位存在になろうとする、ユダヤ教の思想に基づいて作られた物。


 確かこんな意味だったはずだ。

 ...うん、間違いないセフィロトの樹だ。

 ならその隣に描かれているのは『クリフォトの樹』だな。


 ーークリフォトの樹


 神が作ったセフィロトの樹が育たなかった場合の邪悪な樹。


 しかし、何故こんな所に『セフィロトの樹』と『クリフォトの樹』が?


「む?何か分かったのか?」


 ゲラドが問いかけてくる。

 一応俺は異世界の”地球”出身だとばれないようにしている。

 だって異世界人が出てきたら皆んな度肝抜かれるもんね。

 そんなだるいことお断りだ。


「ああ、見覚えがあるかと思ったが見間違いだったみたいだ」

「そうか......これは樹だな?

 だが何故作物などが実っておらず代わりに文字が書いてあるのだ?

 しかもこの文字見たこと無いぞ」


 文字が書いてある?

 どれどれ、

 おおっ!本当だ!

 ん?これ日本語じゃね?なら俺読めるぞ


『セフィロトの樹


 ケテル

 コクマー

 ビナー

 ケセド

 ゲブラー

 ティファレト

 ネツァク

 ホド

 イェソド

 マルクト』



『クリフォトの樹


 バチカル

 エーイーリー

 シェリダー

 アディシェス

 アクゼリュス

 カイツール

 ツァーカブ

 ケムダー

 アィアツブス

 キムラヌート』



 と、書いてあった。

 で、これがどうしたって?


「私が読めるのは......

『これらは最上位のスキルであり、......と...である』

 の所か。ほお、これらは最上位スキルなのか」


 グッジョブ、ゲラド!

 つまり、この2つの樹に書かれている20個の単語がスキルの最上位互換なんだな


 更に有益な情報は無いものかと書類に手を伸ばす。


『スキルの書』


 何かあからさまに、これだ!っていうのが置いてあるんだけど

 ...少し見ていくか


『最上位スキルとなるこれら2つの樹の言葉だが、私はこのうちの3つのスキルの進化前を見つけた』


 おおっ!良いページ開いたな

 分かっているのは3つか、少ないが分かっているだけ良しとするか。


理解の王(ビナー) : 進化前スキル《読解》

 説明 : この《理解の王(ビナー)》の能力は“未来予知”と”超演算”、”思考超加速”であり非常に優秀。進化の仕方は《読解》をレベルマックスにし、その上で《瞬歩(ハイスピード)》を入手している事。』


醜悪の王(カイツール) : 進化前スキル《憧憬》

 説明 : 《醜悪の王(カイツール)》の能力は“短期封印”、”完全変身”、”闇祈祷”である。

 ”闇祈祷”は狙った相手を異形の化け物に退化させる能力。

 進化の仕方は《憧憬》をレベルマックスにし、その上で《隠身(ハイド)》を入手している事。』


物質の王(キムラヌート) : 進化前スキル《物質錬成》

 説明 : 《物質の王(キムラヌート)》の能力は“完全錬成”、”高速組立”、”無錬成”である。

 ”無錬成”は材料無しでも自分が考えた物へと錬成できる能力。

 進化の仕方は《物質錬成》をレベルマックスにし、その上で《改変(ハイチェンジ)》を入手している事。』



 なるほどね。

 あるスキルを元として、上位スキルである『ルビ付スキル』を組み合わせる事で最上位スキルへと進化するという算段か。


 それにしても......

 俺《物質錬成》持ってんだけど?

 て事は、後ハイチェンジを入手すれば進化できるって事?


 目的追加、スキル《改変(ハイチェンジ)》の入手。


 でも、ハイチェンジって何のスキルの進化後だろう?

 ゲラド君に聞いて見るか


「ゲラド!

 お前スキル《ハイチェンジ》って知ってる?」

「ハイチェンジ?......何故それを聞く?」

「いやね、ハイチェンジについて書いてる所が有ったからさ」

「そうか、

 《改変(ハイチェンジ)》は私が持っている(・・・・・・・)スキルの1つで《変身》の進化スキルだぞ。

 幻術の類で、持ち物や動物を自分の任意の物に姿を変えさせることができる。という能力だ」


 ......ん?

 こいつ今『私の持っている』って言ったよな?


 えっ?

 ゲラドって《変換(ハイチェンジ)》持ってんの!?


 好都合

 コピーさせて貰おう!


「ゲラド君、ちょっとハイチェンジやってくれないか?」

「?......分かった。ハイチェンジ!!」


 突如、ゲラドの姿が霧で覆われ始めた。

 そして完全に姿が見えなくなる。

 おいおい、大丈夫か!?

 心配は杞憂だったようだ。

 すぐに霧が止みゲラドの姿が見えてくる。


「ったく、失敗したのか?

 自分のスキルなんだからちゃんと成功ーー」


 言葉を失った。

 そこに居たのは『クイーンホーネット』だったのだ。

 しかも先ほどの個体よりも格段にデカイ。


「くっ!何故こんな所にあいつが!?

 でも、やるしか無い!行くぞっ」


 俺はクイーンホーネットに向けて剣を振り上げる。

 ただでさえ狭かった研究室が更に小さく見える。


「うおおおお!......ってあれ、ゲラド?

 あれ女王は?」


 振り下ろす直前に女王のいた場所にゲラドが立っているのに気付く。


「あのクイーンは私だ!だから直ぐ剣を引きたまえ!

 今のが、スキル《改変(ハイチェンジ)》だ。

 私の姿と見ている人間の認識を誤魔化したのだ。」


 だからか

『ゲラドがハイチェンジを使う』と言ったのを今の今まで忘れていたのは。

 これは強いな。

 認識まで誤魔化すことが出来るのはかなり使い勝手が良さそうだ。


「なーる、これは強いな。

 ああ、そうだゲラド。こいつを見てくれ。凄い事が書いてあるぞ」


 そう言ってさり気なく肩を組む。


 ......成功!

 進化スキルを取っても進化スキルのまま手に入るんだな。

 俺は《改変(ハイチェンジ)》を手に入れた

 っし!後は《物質錬成》をカンストするだけだ!



 ゲラドに本を手渡す。


「ふむ、これは先ほどの樹?について書いてあるのか。

 ほお、最上位スキルの事まで書いてある!

 ビナー、カイツール、キムラヌートか。

 で進化前スキルは《読解》に《憧憬》......!?

 《憧憬》だと!?」


 何かゲラドが興奮してる。

 まさか、持っているスキルでもあったのか!?


「おい、ゲラドお前ーー」

「私の持っているスキルが最上位スキルになるとは......後は《隠身(ハイド)》か。

 ”ハイド”という事は隠系スキルの進化系か」


 はいっ!持ってたよ、こいつ持ってたよ!!

 《隠身(ハイド)》となると《醜悪の王(カイツール)》か!

 この野郎、俺に並ぶとは...

 さっさと《物質錬成》をカンストさせてこいつより早く最上位スキルゲットしよう、そう心に決めた。





 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 その後しばらく研究室を見て回った。

 めぼしい物はちょっと貸してもらうことにした。

『スキルの書』、『剣【村正】』など色々な物を盗ってきた......もとい、貸して貰った。

 ホクホク顔で研究室から出ようとする。


 ーーゴゴゴ


 そんな音が扉の反対側の壁から聞こえてきた。


 これって、俺たちが「侵入者」でここから物を「借りて」出ようとしたから発動する罠だったりーー


 ピシッ


 壁に亀裂が入った。

 亀裂を見ているとそちらからもこっちを除く赤い目と目が合った。


 そして、そのまま甘い雰囲気に......

 ならない。

 だって彼方さん殺気放ってるもん。

 しかも絶大な。


「ゲラドっ!逃げるぞ!!」

「それがいい!」


 直ぐに扉を開ける。

 勢いそのままに来た道を全力で走る。


 ドガンっっ!!

 ウオオオオ!!!


 やべえ!

 出てきた!


「ハイスピード!!」


 ゲラドを手で掴み《瞬歩(ハイスピード)》を発動させる。



 洞窟を飛び出る。


 ズサア!


 地面にヘッドダイブで突っ込む。

 後ろを向く。

 良かった、まだ奴は来てないようだ。

 このまま逃げーー


 ズドンっ!


 ーーよう......

 追いついて来たー!

 不味い、近くで見るとこいつ更に強い!

 奴は洞窟の天井を突き破りここまでジャンプしてきたようだ。

 このジャンプ力だ。100%、上位スキルを持っているだろう。


 どうする、どうする?

 俺は硬直してしまう。

 だが、直ぐに硬直している場合じゃなくなる。


「ーーうおお!」


 ゲラドが奴に突っ込んで行ったからだ!!


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