第9話 デルタ密林(3)
時間が有ったので書けました。
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名称 : 山岸真
種族 : 人間
持ち物 : ショートソード(攻撃力12)、携帯食料×3日分、エアホーネットの角×3、女王の羽根×2、クイーンホーネットの堅角、イワーンの黒石×4、回復薬×3
装備 : 黒マント(防御力+5)、獣皮装備一式(防御力48)
称号 : 女王殺し
スキル : 模倣Lv5・破壊Lv1・鑑定Lv7・剣術Lv6・防御強化Lv8・身体能力強化Lv6・速度強化Lv7・格闘術Lv5・投擲Lv4・物質錬成Lv4・記憶Lv2
耐性 : 痛みLv2
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これが今の俺のステータスだ。
この世界に来た頃より格段に強い。
もう、ゴブリン相手に苦戦していたあの頃が懐かしい。
では、順を追って見ていこう。
先ずは持ち物から。
持ち物は、最初から持っていたショートソードとギルド内で買った携帯食料と回復薬以外に武器の強化に使えそうな物だけを取ってきたつもりだ。
エアホーネットからは硬い角。
クイーンホーネットからは羽根2対と堅角。
イワーンと呼ばれる石で出来た狼からは心臓を守るように付いていた黒い石。
この辺りが硬くて武器強化に使えそうだった。
《鑑定》でも
『武器の強化、合成用素材』
と、書いてあるのを取ってきたから間違いは無いだろう。
続いて装備だが、これはあの盗賊達の装備だ。
後、ギルドで『黒マント』という魅力に逆らえずに買ったマント。
総合すると防御力53くらいだ。
中堅の冒険者くらいの防御力だ。
この称号は『クイーンホーネット』を殺したから手に入れたのだろう。
おそらくゲラドも手に入れているはずだ。
ああ、俺の《鑑定》ではまだ他人の称号までは見れない。
そして大注目のスキル。
先ず全てのスキルのレベルが上がっている。
中でも《模倣》がレベルアップボーナスで上がってくれたのは嬉しい。
レベルアップのお陰で死んだ相手にまで《模倣》を使えるようになった。
但し、死んだ相手からうばえるのは1つだけだが。
なら早速試そう。
善は急げだ
俺は女王の死体に近づく。
うおっ
近くで見ると結構グロいな......
生理的嫌悪を払いのけ意を決して死体に触れる。
(うーん、どうしよう?
どのスキルを取ろうかな?)
心の中でも迷う。
良しっ決めた!
固有スキルは取れないから(実証済み)《速度強化》の経験値を貰おう!
......成功!
『速度強化がLv10になりました。
速度強化を瞬歩へと進化させます。』
やった!
速度強化もカンストして進化した。
ふむふむ
瞬歩か...
どんな効果なのかな?
ん?
《鑑定》に『二重鑑定』というのが出てるぞ?
スキル《鑑定》が進化して覚えた効果のようだ。
それによると
『瞬歩 : 速度強化の進化系。
0コンマ1秒で7mを駆け抜ける。
さらに、思考加速も可能となる。』
......え?
0コンマ1秒って0.1秒の事だよね?
つまり0.1秒で7mを進むってことでしょ?
チートじゃね?
チートだよ!!
『思考加速』っていうのもアニメで良くある、『演算能力を上げる』ってやつだよな?
っしゃ!壊れスキル3個目ゲットだぜ!
因みに3つの内一つは《模倣》でもう一つは《破壊である。
ーー破壊
『破壊 : 力強化の進化系。
巨大な岩を一撃で粉砕出来る。』
そう、《模倣》は言うに及ばず《破壊》もクソ強い。
この2つ以外で気になるのは、やはり《物質錬成》と《記憶》だろう。
スキル《物質錬成》。
素材を用意すれば、それをくっつけたり、切り離したり、混ぜたりといったように自由自在にする事が出来る。
これには先の戦いでも活躍してもらったスキルの一つだ。
クイーンホーネットの羽根を切り離した”鏡”を利用した一撃
その鏡を作ったのが《物質錬成》だ。
ゲラドが持っていた短剣×5個を数枚の鏡に変換させたのだ。
今はレベルが上がって更にコストを少なく物質を作る事が出来るようになった。
これもかなり使えるスキルだ。
そして、《記憶》。
これは、俺自身の記憶を思い出させるスキルのようだ。
俺は”地球”で学んだ知識などは覚えているのだが、俺自身については少ししか思い出せていない。
名前、性別、年、俺が高校2年である事
これしか俺自身については覚えていない。
だが、今回《記憶》Lv2を入手した事で俺の趣味や家族の名前、何処に住んでいたかなどを思い出した。
俺はオタクの男子高校生で、北海道の札幌市に住んでいた。
家族は6人居て、祖父、祖母が別の地域で、俺、妹、母、父が札幌で暮らしていた。
(っ!......駄目だ俺を殺した奴は分からん)
まだ、そこまでは思い出せないようだ。
でも収穫もあった。
俺の趣味を思い出せたことだ。
俺はラノベ、漫画大好きの銃器オタクだった。
趣味での知識は『学んだ知識』には入らないようだ。
趣味を思い出したお陰で俺が大好きな銃器達の”仕組み”を思い出せた。
...これで『銃』を作る。
俺に新たな目的が加わった。
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俺たちは女王を倒した後、”標的”を見つけた。
ーーフローズンフロッグである。
ようやく発見出来た。
ったく、誰のせいでこうなったんだか。
まあ、それは置いといて
フローズンフロッグに出会った。
マレータさんの素敵な笑顔の為にさっさとこいつを倒して『氷結核』を回収しよう。
「ゲラド!
速攻で倒すぞ!お前は右から回り込め!
俺は左から行く!」
そう、早口に巻くし立てると返事も聞かずに左側へ走る。
そこにフローズンフロッグが舌の範囲攻撃を仕掛けてくる。
それを屈んで回避すると、戻る寸前の舌に向けて剣を切り上げる。
なるほど『思考加速』の力で舌がゆっくりと見える。
肉を断つ感触。
切り落とされる舌。
カエルは自分の舌が半分しかなくなったのを見てキョトンとした後
「ゲゴッッ!!」
と、痛みと驚きから身じろぎしながら声を上げる。
......そこが致命的な隙なんだよっ!
俺は剣の切っ先をカエルに向ける。
「剣突!!」
直後弾かれるように飛び出す。
以前ゲラドが放っていたこの技より速さが段違いだ。
おそらく、剣に《瞬歩》が乗っているのだろう。多分《破壊》も。
半分になった舌を潜り抜け、同時に振るわれた前足の間をすり抜ける。
そしてそのまま......
ドスッッ!
フローズンフロッグの身体を真っ二つにしてなお進み続け、木々も切り倒す。
予想通り《破壊》も乗っていたようだ。
こうして、ターゲットが一番呆気なく倒された。
「暗くなってきたな、早めに森を抜けるぞ」
「了解した」
さっきの戦い(蹂躙)に参加する隙が無く少しやさぐれているゲラドが返事をする。
こうしてやや急ぎ足で木々の間を歩いていると、右側に洞窟が見えた。
「今日は此処で寝るか?
...もう、日が暮れてるから危ないだろうし」
「そうだな。日が暮れると午前中よりもかなり強い魔物が出てくるからな。
依頼の期間もまだあるしそうするか」
洞窟へと足を向ける。
今日は此処で野宿だな。
洞窟の内部はかなり暗かった。
入り口からでは奥が見えない。
「「『松明』」」
2つの明かりが洞窟内に生まれる。
因みに『松明』は『陽属性魔法』の初級呪文だ。ゲラド君にコピーさせて貰った。
「ん?
奥に何かないか?」
「...確かにな。何か有る」
俺たちが松明の明かりを使って奥まで行くと、そこにあったのは黒い扉だった。
思わず顔を見合う。
こんな辺境の洞窟に何故扉が?
まあ、良いや。
入れば分かる。
罠?
だったらどんと来い!
意を決して2人で扉を開ける。