プロローグ
書いて見ました。温かい目でご覧下さい。
俺は今白い世界を漂っている。
何故かって?……そんなの俺が聞きたいわっ!
何か気づいたらこの世界に居た。それだけなのだ。此処に来る前後の記憶が全く無い。……何それ! 怖い!!
と、俺があたふたしていると頭上から声が聞こえてきた。
「気がつきましたか?」
聞こえてきた声は女のそれだった。
「ええ、……あの〜、此処ってどこなんでしょう?出来るだけ詳しく、それでいて簡潔に教えてくれないですか?」
「……ふふっ、面白い方ですね。ともあれまずは自己紹介から始めましょう。私の名はフラン、女神フランです」
……どっちが面白い人なんだよ。俺はこんな自称女神とかいう人よりはまともだと思っているぞ。だがこんな丁寧? に自己紹介されたら俺もしないわけにはいかない。
「えーと、俺、いや僕の名前は山岸 真といいます。」
「はい。知っています。……では先程の話の続きをしましょうか。この世界は[白無]という死後の動物が来る世界です」
……自分で言ってはなんだが、簡潔すぎね? いや簡潔にとは言ったよ? でもさあ一行でまとめられるとは思わないよね ……まあ分かったから良いけどさ。
と、俺は混乱していた。だって死後の世界だってよ!? 俺って死んでたの? 何で何で!?
「死後の世界ってどういうことすか!俺って死んでたんすか!?」
「そうですね、貴方は死んでいます。....因みに死因とか知りたいですか?」
俺はやや食い気味に答える。
「当然です‼︎俺は何で死んだんですか⁉︎」
「……貴方は、ある人に殺されたのです。死因は刺殺。心臓に一突きでほぼ即死でした」
絶句した。俺は誰かの恨みを買う行為をやった覚えはない……はずだ。俺は学校でも(因みに高校2年生。これとかは覚えてた)ぼっちでずっと影として生きてきた……と思う。彼女はおろか親しい友人も片手で足りるくらいしか居ない。そんな俺がどうして?
「っ! 何でですか!? 俺は何故そいつに殺されたんですか!?」
「……その人は貴方の資質に嫉妬していました。恐らくはそれが原因かと」
資質?何のことだ?だが、それは今はいい。問題は……
「…………誰だ?」
敬語も忘れた短い問い。相手から僅かに伝わる躊躇い。そして答えは、
「……すいません。機密情報があるので話せません。あそこまで話したのは、貴方が被害者であるが故ですが、相手の名前をだすのはいくら被害者といえどできかねません」
クソッ 誰だ? 嫉妬ということは………駄目だ全然分からない。どうする? ていうか、此処って何するところなの?
「ここはですね、魂の次の行き先を決めるところですよ」
ふーん、てことは、俺の様に死んだ奴らが天国に行くか地獄に行くかってのを決める所な訳か。
「まあ、それもですけど転生とかそんな感じもですね」
なるほど。よくある感じの転生ってやつもなのね。………っていうか何でフランさん(俺がかってに呼んでる)俺の考えていることが分かってるの!?
「それはですね、スキル《読心》を使ってるからですね。あとフランさんと呼んでもらっていいですよ」
っ! 息が止まるかと思った。今スキルって言ったよね!? ねえ言ったよね!?
心とは別に極めて落ち着いて俺は問いかけた。
「フランさん、今、スキルって、言いました、よね?」
「何でそんなにゆっくり話してるんですか?....まあ、言いましたね」
キタコレっ!「スキル」って言ったってよ!ってことはこの世界? にはスキルが存在するんだよね。
「スキルの使い方を教えてくれませんか?女神フラン様!」
ザ・土下座☆。さあ返答や如何に⁉︎
「スキルは自分で覚えるものなので教えられませんよ。更に言えば貴方の元の世界である[地球]ではスキルを覚えられませんよ。」
絶望した。俺はもう未練も何もない。早く天国、地獄連れて行くか、転生させて欲しい。……転生?そういえば転生って地球じゃなくてもいいんじゃね?ものは試しだ。
「すいません、転生って地球じゃなくてもいいんですかね」
「……ええ可能ですよ。ですが本当に良いんですか?住み慣れた故郷の方がいいと思いますが」
良いんですかだって?
あんな何もない糞みたいな世界に未練なんてない。
あまり覚えていないけどくそつまらなかったというのは覚えている。
更に続けてフランが言う。
「確かにあちらの世界はスキルがありますが、簡単には取れませんし、取れたとしても使いこなせるかは分かりませんよ。なら命の危険のほとんど無い地球の方がいいと思いますが」
まあ、俺はその危険のほとんど無い地球で殺されたんだけど。
「貴方の場合は特別ですよ。ですが次は大丈夫でしょう。転生したら全て変わるので。その境遇も、感情も、あと容姿も変えられますよ」
あと容姿って何だよ!喧嘩売ってんのか!……まあ買わないけどね。何となく勝てなそうだし。
あっ、いい事思いついた!上手くいけばこのままスキルのある世界に行ける!
「あの〜、俺あの人とやらに殺されたんですよね。ならそいつに復讐したいんですけど。なので、スキルのある世界にこのまま連れて行ってくれませんか?」
「それは駄目ですよ。いくら別の世界の人間があなたをスキルで殺したといっても……」
「別の世界の人間」が「スキル」で殺しただと? なら刺殺の原因はそいつのスキルなのか? ますます引けなくなったな。なら切り札をきるか。
「別の世界の人間がスキルで何もできない勿論スキルも使えない一般人の俺を殺すのって明らかに卑怯ですよね。で、殺されたのにさっさと地球に転生するか、天国か地獄に行け(フランさんは言って無いけどこれを入れても別に変わらない)という。あまりにも酷過ぎませんか?」
フランさんは歯切れ悪そうにいった。
「……明らかに規約違反ですね」
「ならその規約に免じて俺をこのままスキルの使える異世界に連れて行ってくれませんか?」
「……はあ、もう何を言っても意味ないですよね。分かりました。ですが本当に良いんですか?」
「愚問ですね。当然です」
「……そこに貴方を殺した人が居てもですか?」
念を押してきたのはこのためか。だがこれも愚問だ。というより……
「むしろウェルカムですよ!」
「……ではそんな貴方に選別を」
俺の身体が淡い光で覆われる。その瞬間、何かが俺の身体の中に入ってくる感覚があった。
「では、ご武運を」
間違いなど有りましたら、やんわりとご指摘下さい。