第十六章 「語られる真実」
〈語られる真実〉
「んんん~あっ」
目を覚ますと、ベッドの上にいた。
そこは、カーラスの部屋だった。
そうだ、私は気を失って・・・それから・・・どうしたんだっけ?
何も覚えていない。
気を失ったこと。ただ、それだけをはっきりと覚えていた。
「おや、お目覚めですか。リーダー」
その声は、カーラスか?
「随分と長い睡眠でしたね。あなたは、眠らなくても生きていける身体なのに」
「えっ?そうだったのか?私は、全然知らなかったぞ!」
「気がつかなかっただけですよ。きっと」
カーラスは、普通に笑っていた。
いつもと何も変わらない、笑みを浮かべて私を見ていた。
私は、身体を起こして立とうとした・・・が、足がすくんで立つことができない。
それに、身体も少しだるい。
「おい、カーラス。お前、私にいったい何をした?」
私は、気を失った前後を覚えていない。
だったら、それまでに何があったのかを直接聞くまでだ。
「少し、能力を分けてもらいました。あなたの不老不死の能力をね」
「私の能力を奪って、どうするつもりなんだ」
そう聞くのは、ダメなことだと分かっていた。
でも、どうしても理由が知りたかった。
「何度も言っているでしょう。そのことに関しては、まだ話せないと」
カーラスから返ってきた言葉は、以前のものと変わらなかった。
私は、ついに怒鳴ってしまった。
「いい加減にしろ!!話したくないとかまだ話せないとか、なんなんだ!
都合の良い事ばかり押し付けるな!私は、お前の本当の姿が見たい!!」
私の表情にカーラスは、しばらくキョトンとしていた。
そして、不敵な笑みを浮かべて笑った。
「くくっ、ははは!何ですか急に怒鳴りつけて。怒りに狂うほど私の本性が知りたいのですか?」
「知りたいに決まってる!いままで、何も話してこなかった。いや、話すのを遠ざけてた。
そんなに知られたくないのか?知られたらまずいのか?」
私は、半泣き状態だった。
これまで、一緒に過ごしてきたのに、自分のことを何も話そうとしないカーラスに
いつしか怒りを覚えていたのだ。
カーラスは、私のことを知っている。なのに、私はカーラスのことを少しも知らない。
そんなことがあってたまるか。
頼む!教えてくれ。お前の本当の姿を。
カーラスは、私の顔を眺めると重い口を開いた。
「仕方ないですね。教えてあげますよ。私の本当の姿を、でも後悔だけはしないでくださいね。」
そう言うと、カーラスはゆっくりと話始めたのだった。




