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第十五章 「カウントダウン」

〈カウントダウン〉

今日もいつも通りの快晴。

このところ雨もろくに、降らなくなった。

「はぁー、風真は大丈夫なのだろうか?」

そんなことを呟いてみる。

勢いよく出て行ったきり、戻ってこない風真。

今頃、どうしているのかも分からない。

ユキトは、無事に復讐を終えたばかりで疲れているようだった。

ライアも自分の能力に満足しているようにみえる。

しかし、このところカーラスの様子がだんだん変わってきているような

気がしてならない。

ユキトの計画にもあっさり了承し、まるでいままで被っていた殻を破ったこのようだ。

そういえば、以前会った女性はいったい誰だったのだろう?

カーラスは、その女性をあっさり殺害してしまった。

いや、死ぬ手助け?をしたと言っていた。

何かカーラスとの繋がりがある人物なのだろうか?

それに、カーラスがあの女性から吸い取った物も気になる。

「確かめてみるか」と私は、カーラスの部屋へと足を運んだ。

「カーラス、いるか?少し、話したいことがあるのだが」

と私が、ドアノブに手を掛けた時ものすごいオーラが私を襲った。

「な、何だ?これは、カーラスのオーラか?」

こんなオーラは、いままで感じたことがない。

まるで、私を受け入れていないように部屋の側から遠のくように

私を誘う。

そのオーラは、私をどんどん部屋の側から遠のけようとする。

「カーラス、私だ!扉を開けろ!話したいことがあるんだ!」

私が必死に叫ぶと、急にオーラが退いた。

そして、扉がゆっくりと開いた。

本当にゆっくりと、少し警戒しているかのように扉は開いた。

私は、ゆっくりと部屋の中に入った。

中に入ると、カーラスの不気味な顔が目に入った。

私には、気がついていないようだった。

ならば、扉は誰が開けたのだ?

不思議に辺りを見回していると、不意にカーラスがこちらを見た。

そして、いつもと変わらない笑顔を見せた。

それが、なぜか怖かった。

いつもと変わらない、何一つ変わらない笑顔。なのに・・・

なのに、なんでこんなに怖いのだろう?

「リーダー、いたんですか。すみません、全然気がつきませんでした」

「い、いや、それはいいんだが。カーラス、話があるんだ。時間空いてるか?」

私がそう聞くと、カーラスは少し考えて答えた。

「ええ、別にいいですよ。それで、何ですか?話というのは」

そう言って、カーラスは私に近づいて来た。

私は、少し後ずさりをしてしまった。

カーラスは、そのことに気がついてはいないようだった。

「お前の話が聞きたいんだ。私には、何も教えてくれないし少しは知る権利は

 あると思うんだ。それに、この前会ったあの女性のことも気になってな」

私がそういうと、カーラスは不気味な笑みを浮かべてこう言った。

「そのことに関しては、まだ話す気にはなれません。そんなことより、リーダー。

 私に少し手を貸してくれませんか?今、少し実験をしてまして、あなたの能力が

 必要なんですよ。」

そういうと、カーラスは私の額に手を置いた。

手を置いた瞬間、カーラスは私の中から何かを吸い取った。

身体の力が抜け、立っていられなくなった。

私は、その場に倒れてしまった。

意識はあった。

それがなぜか怖かった。

「まったく、手間がかかる人ですね。私の過去を知りたいとか、生意気なことを貫かしてくれますね。

 確かにあなたをリーダーにしたのは、紛れもなく私です。

 でも、リーダーだからと言って知っていいことと悪いことがあるんですよ。

 ×××さん」

最後の言葉が聞き取れなかった。

カーラス。

お前は、いったい何が言いたいんだ。

私には、分からない。

お前の口から聞きたいんだ。

いままでに何があったのか、そしていままでどんな感情を抱いて生きてきたのか。

ありのままの、お前の気持ちが知りたいだけなのに、どうしてこういつも

私は、カーラスに怯えているのだろう。

今、気がついた。私は、初めからカーラスのことを恐れていたのだ。

いつも、不思議なオーラがあるだとか人を簡単に殺せる残虐な奴とか思っていた。

でも、それより先に「恐怖」が私を襲っていたことに私は、たった今気付いたのだ。

私は、つくづくバカな化け物だ。


「さて、準備は整った。カウントダウンの始まりだ。この世界が一瞬で変わるさまを

 見るがいい。」

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