第十三章 「闇を持つ者Ⅲ」
〈闇を持つ者Ⅲ〉
「はぁー、これは面白いことになったものですね!ユキトも力を使ったし、
後は、風真の力を上手く利用するだけ。しかし、そう簡単には利用できないだろう。
彼もまだ、力の全てを制御できていないからな。」
部屋の中で私は、そんなことを考えていた。
リーダーや風真たちを仲間に入れて、2ヶ月が経とうとしていた。
実際、一緒に過ごしていて不思議なことがいっぱいあった。
私が知らないことや知っていても、隠しておきたいことなどいろいろあった。
それが全て、「楽しい」という気持ちにはならなかったが・・・。
私が彼らを仲間にしたのは、ただ力を「利用」するということだけ。
それ以上の感情なんて、持っていない。
そんなものは、あの時からすでにないのだが。
私はただ、彼らをどうやって利用するかだけを考えていればいい。
彼女に会わなければ、私は今頃どうなっていただろう?
彼女は、ボロボロになった私を助けてくれた。
そして、「人を利用する」ということを教えてくれた。
だから、私はこの憎い世界を自分の物にするために
彼らを利用する。
それが悪いことだということは、分かっている。
でも、こうするしか私の道は開けない。
「いいかい?君が人を利用すれば、その人は傷つく。でも、人を傷つけてこその君だと
思ってる。だから、利用した後は、どれだけ裏切ってもいいんだよ?
それさえ分かってれば、君はこの残酷で憎い世界を変えることができるからね。」




