第十一章 「それぞれの力」
〈それぞれの力〉
この組織に入って、1ヶ月が過ぎようとしていた。
私は、この組織にリーダーとなったが、未だに何もできていない。
いつもカーラスに任せてばかりだ。
「このままじゃいかんな」
私は、そう呟くと広間へと足を進めた。
広間へ入ると、何やら真剣染みたオーラが漂ってきた。
「どうした?何かあったか」と私が聞くと、
「リーダー、いや実はユキト君が学校に行くと言い出したんですよ」
カーラスが真剣な表情で言った。
ユキトが学校に行きたがっている。
そんなことを聞いたのは、初めてだ。
「行かせてください!お願いします!」
そう言って、ユキトが頭を深く下げる。
「何で行きたいんだよ。今更行ったって、何もないだろ」
風真がきつい顔でユキトに言った。
「僕、学校に行って復讐したいんだ。僕をこんなめに遇わせた、あいつらに!」
私は、ユキトのそんな顔を見て驚いた。
やはり、復讐する気か。
人間とは、こういう生き物なのだからしょうがない。
「それは、いい考えですね。あなたのその力、存分に見せ付けてやるといいですよ!
ねぇ、リーダー。」
カーラスにそう言われ、一瞬戸惑ってしまったが、
「そうだな。行って来い。ユキト」
私は、そう言ってユキトを見送った。
ユキトは、何度も「ありがとうございます!」と頭を下げた。
こういうところが人間の良いところなのだろうか?
「ところで、ライアはどうしたんだ?姿が見えないようだが」
私は、ライアがいないことにようやく気がついた。
「あぁ、ライアさんなら部屋にいるぜ」
風真がそう教えてくれた。
「そうか、じゃー様子を見に行ってくる」
私はそう言って、ライアの部屋へと向かった。
コン!コン!とドアをノックする。
「ライア、いるか?」
私がそう尋ねると、「はい。どうぞ」と中から声がした。
私がドアを開けると、目の前には1つの空間に入ったライアがいた。
「な、何をやっているんだ?」
私がそう尋ねると、ライアは笑ってこう答えた。
「静かな空間を切り取ったんですよ。この前行った、図書館の空間をお借りしてきたんです」
そう、あれは1週間程前の日曜日のこと。
その日、風真がどうしても本が読みたいと言ったので、市民図書館に行ったのだ。
私は、図書館というところに初めて行ったが、本がたくさんあってとても面白い場所だった。
そこで、ライアが一人でソワソワしているのが目に入った。
どうやら静かな場所を探しているらしかった。
そして、帰り際にライアがその「静かな空間」をお持ち帰りしたのだった。
以来、ライアはその空間を随分と気に入っている。
暇があれば、この空間で一人静かにしている。
「そんなにいいのか?その空間は」
「えぇ、とてもいい空間ですよ。ここなら、耳障りな音も音楽も聴かずに済みますから」
ライアにとって、この空間は安らぎの空間なのだろう。
「ライア。良い力を貰ったな」
私がそういうと、「はい!」とライアは笑って見せた。
広間に戻ると、風真とカーラスが真剣な話をしていた。
どうやら、風真の力についてらしい。
「俺、いつからこんなになっちゃったんですか?」
「生まれた時からですよ。あなたは、今も昔も変わりません」
「じゃー、なんで奏介は死んだんだ?俺の力のせいなのか?」
「そうですね。あなたのせいでもあると思いますが、正式には、その能力の
せいでしょうね」
「あの、カタロスって奴。何者なんですか?」
「今は、言えません。あなた自身で会ってみてはどうです?」
「そうします。」
話が終わると、風真は立ち上がりどこかへ行ってしまった。
「風真は、大丈夫なのか?」
私がそう尋ねると、「大丈夫ですよ。彼は、1人でなんでもやりますから」と
カーラスは笑って言った。




