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帰還

親父は強くたくましい男だった

俺は小さい頃からそんな親父のように、強い男になるべく日々訓練を怠らなかった


「なんだと!親父がやられた!?」



そんなある日、親父が刺客に重傷を負わされ倒れたと聞いた


最初は信じられなかった

なにものも寄せ付けぬ強さをもっていた親父がやられるわけない



しかし目の前でたくさんの管に繋がり、かろうじて命を保っている親父を見て愕然とした



「……っ!なんて様だ……親父……」


素人目から見ても親父が回復する見込みがないことがわかった



親父をやった奴らはとどめを刺すことなく逃げるように去っていったらしい


またいつ襲ってくるかもわからない

俺は以前にも増して訓練に励むようになった


幼い兄弟達にも訓練をつけた



もう誰も傷つけられたくない

大切な家族を守るために……




「兄上!父上さまが帰ってきたようですね!」



末弟のスフルが無邪気な笑顔で話かけてくる


「そのようだ。親父に会うのは初めてだったな、スフル」


俺はスフルの頭に手を置き親父が入ってくるであろう玄関に顔を向ける




玄関から入ってきたのは簡素な造りの棺とそれを担いだ使用人たち


こうなるであろうことはわかっていた


隣にいたスフルは状況がのみ込めないらしくただ呆然と棺を見つめている



「……親父が帰った。己の役目を終えて父親としてこの家に帰ってきたのだ。みなで温かく迎えよう」


長男として、この家を守るものとして俺は気丈に振る舞う



スフル以外の兄弟達は表情を変えることなく棺を見つめ、母はお疲れさまでしたと棺に語りかける



「兄上、父上さまは……父上さまは」


スフルは親父が死んだことを理解したのだろう

悲しそうな顔をして俺を見上げる


スフルは他の兄弟に比べて優しすぎる

戦闘訓練での実力は俺にひけをとらないほどなのだが、その優しさ故につめの甘さがのこる

だがその優しさは戦いで傷ついた世界の救いでもある



「さきに言ったとおりだ。こんなかたちだがお前も親父の帰宅を温かく迎えてあげてほしい」



スフルの頭から手をはなし親父の方へ行くように背中を軽く押す



今後起こるであろう相続問題でスフルが不利にならないように俺が目をかけておかないといけない

スフルはブラッドランド家に必要な存在だ




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