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携帯の着信メロディーで目が覚めた。




考えごとをしているうちに眠ってしまったようだ。




時計を見ると、午前2時。




こんな時間に誰だと思いながら携帯を手に取り、画面に表示されている名前を見ると、眠気は吹っ飛んだ。




『狭間コウスケ』




そう表示されている。




あまりいい話ではないだろうな。




「もしもし。こんな時間にどうしたの?」




コウスケは何も言わない。




電話越しでもコウスケの様子がおかしい事がわかる。




「コウスケ!どうしたの?何かあった?」



















「兄貴が…死んだ」



テツを監禁している倉庫へ行くと、コウスケがうずくまっていた。




「コウスケ…テツが死んだって…どういう事?」




あたしは、良くない事を想像していた。




暴れ出したテツをコウスケが殴り、そのまま意識を戻さなかったのではないかという事…




つまり、コウスケがテツを殺したのではないかと考えていた。




「兄貴…」




コウスケはゆっくり顔をあげると、小さな声で話し出した。




「自殺…したんだ。



俺が食い物買いにいってる間にやったみたいで…



帰ってきたらもう…



真っ黒になってた…」



「真っ黒って…?」











「自分で自分を燃やした」



いつもテツが座っていた場所を見ると、元々は人だったであろう物体が見えた。




その上には、コウスケの上着がかけてある。




あの黒い物体がテツなのだろうが、コウスケの上着をめくって確認する勇気はあたしにはなかった。




遺書らしいものはなかったけれど、あたしもコウスケもテツが自ら死を選んだ理由がわかっていた。




どんどん壊れていく自分を守ってくれているコウスケを助けたかったのではないだろうか。




解放したかったのではないだろうか。




確かな事はもう誰にもわからないが、そう思う事によってあたしたちも救われる気がする。




こんな形ではあるけれど、テツは最期に人間にもどれたのではないだろうか……




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