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悪夢
「なぁ、お前もやれよ」
派手な格好の少年が、同じく派手な格好の少女に言った。
「え?あー、あたしはいいや」
少女がそう答えると、少年は機嫌を損ねたような顔をした。
「何?お前、俺の事友達だと思ってない訳?」
「そんな事ないよ。でもさぁ…」
「大丈夫だからさ」
少年は少女に小さなビニール袋を差し出した。
中には半透明の粉が入っている。
少女は、その袋を渋々受け取った。
それは、魔法の粉でもあり、破滅の粉でもある。
使い方によって、様々に変化する粉……
少女はその袋を一向に開けようとしない。
それを見かねて少年が言う。
「お前は初めてだから、こうやってジュースに混ぜて飲めばいいんだよ」
少年は、少女が持っていた甘めのオレンジジュースを奪い取り、粉をサラサラと流し込んだ。
粉がジュースの底に沈んでいく様は、まるで夕焼けの海に雪が降り積もっているかのようだった。
その美しい光景を見ていた少女の顔はうっとりとしていた。
少年が、ジュースをゆっくりと少女に差し出す。
少女はそれを受け取り、ゆっくりと自分の口へと持っていった……