マルチフィールド①
『ピンポンパンポーン、只今より第197回異世界会合を始めたいと思います』
「あれ?俺は確か美沙に膝枕してもらっていたはずだが…」
「へぇ。そうですか先輩は私が疲れている時ですら他の人といちゃつくのですね?」
「それは当然!って何で夜月もいるんだ!」
『あーあー。聞こえるかな?僕の声?』
「誰だ?」
「先輩、気をつけてください。ここは私たちが知っている世界とは少し違う気がします」
『お!さすが九重夜月ちゃんだね。優等生という言葉に相応しいよ』
「それでお前は誰だよ」
『僕かい。そうだねぇ。この空間の管理人さ』
「管理人?」
『まあ。君たちをここに呼んだ張本人ってわけだ』
「はぁ…」
『まあ、君たち二人だと寂しいからね。色んな人たちを呼んだから楽しんで行ったよ』
「色んなってどんな人だよ…」
「あっあのぅ」
「どうした?夜月」
「あなたたちはどうしてここに居るんですか?」
「うわ!誰だ?」
「ちょっと艦長!変な所で会った人にまともな人なんていないわよ」
「えぇ。だってマチちゃん、私たちだけだと不安だし、どこなのか知っているかもだよ」
「先輩、あのマチちゃんって呼ばれている子ですが、彩花さんに少し似ていますね」
「そうか?」
「それであんたたちはここがどこなのか知っているの?」
「マチちゃん…」
「確かに…この初対面の相手に失礼な感じ…彩花とおなじだな…」
「本当に失礼ね」
「すみません。私は湊ヒナです。この子は潮原満智子ちゃんです。私の友達で一緒に今は父島に向かう準備をしていた途中でした…」
「えっと。湊さんだっけ?そっちも急に連れてこられた感じか」
『望月封魔くん、侵害だな。ここは君たちが楽しく暮らす場所さ』
「まあ、何回か同じような空間に行ったことがあるからな。なんか慣れてきたわ」
「先輩…」
『ははっ。さすが魔王だ!そうじゃなくちゃ』
「は?魔王?ってことはあんた、化け物ってこと?」
「本当に失礼だなお前は!」
「何よ!どうせそっちの女の子の体しか見ていないんでしょ!」
「は?夜月は俺の監視役なだけで、体を見るわけねえだろ」
「へえ。そうですか。異世界とか治癒するのかも知りませんが。やっても良いですか?」
「夜月!待ってくれ!ここで死んだらお前だけになるんだぞ!」
「まあ、私なら何とかありますから」
「た…確かに…」
「あなたもあなたなりに苦労しているみたいね…」
『封魔くん、同じような性格としてアドバイスをあげよう。女の子は優しくすると嬉しくなるから気軽に声をかけよう!』
「あんたみたいなアホがこのバカを調子に乗らせるのよ!」
「そうです!先輩は私が見ますので関わらないでください!」
『夜月は封魔くんのことをしっかり見ているんだね』
「はい。監視対象なので」
「即答って…怖い」
「え?そんなことないですよ」
「おい。夜月、湊さんは怖くて怯えているぞ…」
「あっ。私は…」
「最近は立派で、西之島の噴火にも怯えず、三〇人以上いる船員を元気付けたと言うのに」
『あぁ。確かに。あの時のヒナちゃんはカッコ良かったよ』
「なぜあなたが知っているのですか?」
『さぁ。何でだろうね。ね』
「腹立ってきた…」
「分かるわ。俺たちをバカにしていると言うか」
『バカにはしていないよ。君たちを眺めて楽しんでいるだけだよ』
「ゲス野郎!」
『はっはっはー。好きなように言いたまえ』
「それでよく俺と似ているとか言えたな」
「先輩、それは事実です」
「夜月?ここに来てから機嫌が悪くない…。どうしたんだ?まさか…トイレか?」
「最低です」
「死ね」
「当たり強くね?これでも心配しているだよ」
『おっと。また新しい人が来たようだよ』
「ここはどこだ?」
「げ…晴翔。何であんたもここにいるのよ」
「千佳。それはこっちのセリフだ」
「兄者よ!この空間の女子は私のために用意したのか!最高だな!」
「明里、はしゃぐな!」
「ねぇ兄者よ。お前さんそっくりな変態がいたぞ」
「おい…」
「あぁ。すまん。そいつは女に欲情する変態だから気にしないでくれ」
「ふっ。失礼な。これでもCカップのオッパイを持っている美少女だぞ!」
「自分を美少女って言っているやつに本物は居ねえから安心しろ。それと人前でそのテンションは良いのか?」
「おっと。すみません。私は飯塚明里と申します。こう見えてお兄さまとは仲が悪くて」
「ブラコン」
「は?誰がブラだ!私はキャミソールだ!」
「知るか!もう隠す気ねえのかよ」
「明里ちゃん、流石に女の子だから」
「だって〜。千佳姉のことが好きだから〜」
「おい。全く関係ないことを言う。それと千佳、そいつはお前の体を狙っているからな」
「やだ〜。お兄ちゃんがイヤらしい目で見てくるの」
『明里ちゃんが来てから少し年齢が上がっちゃったけど楽しそうでなりよりだ』
「異議あり!兄者が私を狂わせているだけだ!」
『はーい。同性の目の前で、ラインを軽く踏み越える人の証言を認めるわけにはいけないからねー」
「クソ。もっと際どい攻め方を知っていれば!」
「お前の反省点はそこかよ」
『賑やかで良いね。君たちは』
「あのさ。管理人」
『何だね。封魔くん』
「どうして俺たちをここに呼んだか教えてくれ」
『君たちの楽しい会話が聞きたかったからかな』
「何だそれ」
『君たちも息抜きになるだろ』
「それもそうだな」
「行き方とか戻り方とか教えてくれよ」
『簡単さ。戻りたかったら願えたら良いさ』
「簡単すぎるな」
『まあ。好きに暮らすと良いさ。僕はもう寝ようかな。あ!そう言えば、こっちの記憶はこっちだけに残るから気をつけてね』
「居なくなったか」
「それであの人は誰?」
「管理人」
「そうじゃなくて」
「別に良いだろ」
「そうだけど」
「マチちゃんは不安になるとすぐに怖がるよね」
「艦長が異常なだけです」
「そう言えば、聞きそびれていたが、そっちの変態…もとい痴女を持参した二人は名乗っていなかったよな」
「誰が歩く破廉恥製造機だ!」
「言ってねえよ」
「あぁ。俺は飯塚晴翔」
「私は安堂千佳。高一」
「俺たちは学校にいたが、急にここに来てな」
「あぁ。お前たちもか」
「私はトイレで…」
「オッケー。大丈夫」
「パチラごっこに勤しんでいた時に」
「暇人かよ」
「お前、外でもやべえのかよ」
「は?女子トイレは個室だから安心安全だが?」
「知るか…」
「あっあのぅ。管理人さんが居なくなってから来た子もいますね」
「え?」
「ここどこ?」
「あれ?一人で来たの?」
「はい…」
「何か…。儚げだ…」
「お嬢ちゃん!一緒におじさんとあそぼう」
「え!あっはい!」
「ぐっははぁ。兄者よ。このプリティーな少女の名前を尋ねてくれないか?」
「自分で聞けよ」
「あっはい。私は県立藤沢高校の木花さくらと申します」
「へえ。高校生…。私より年上…」
「良かったなぁ。お前が年下だが、老けて見えるぞ」
「それは禁句だ兄者…」
「あれ?今きたばかりなのにもう戻るのか?」
「あの。今、入学式をしていて。それに気になる子もいるから」
「気になる子!良し。またその子を誘って来てくれ」
「お前は誰だよ」
「ふっ。私はもうここに住むぞ」
「俺は帰るからな。学校が始まるしな」
「待ってくれ兄者!私は今、トイレ休憩しているんだ!」
「はぁ。じゃあまたどこかで」
「おう」
「また会いましょう」
「先輩も帰りますよ」
「え?」
「帰ったら色々説教ですから」
「俺、夜月に迷惑をかけたか?まさか美沙のことか?あれは本当に違うんだよ」
「先輩、私は帰っても覚えていませんから大丈夫です」
「そうか。良かった」
「艦長、私たちは帰ったら父島に向かう準備ですね」
「うん!マチちゃん」
「まずは人見知り直しましょう」
「うっ…うん」




