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千年時計  作者: ちゃぴ
第1章  第1幕 時を紡ぐ時計 

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--未来断章 :ハルヒ編


  〈ハルヒ VS “時間を失ったハルヒ”**〉


 戦場に静寂が訪れた。魔王城の最上階、

漆黒の闇と赤い魔力の渦が交錯する中、ハルヒは己の心臓の鼓動だけを頼りに歩を進めた。


 目の前に立つのは――己の影。それは、あらゆる時間の制御を失った存在、"時間を失ったハルヒ"だった。


「……俺か?」


囁くような声。


 影は完全にハルヒを模しているが、目は虚ろで、時間の流れをまるで理解していない。

 手にした剣の軌跡は不規則で、触れるものすべてを引き裂く。

 攻撃の意図はあるのか、ただ破壊を繰り返すだけなのか、区別がつかない。


 ハルヒは剣を握り直す。千年前の戦場で培った感覚、英雄たちと共に刻んだ戦術、そしてスキル極限操作――すべてが、この瞬間に試される。


「……俺は、俺の時間を守る!」


 影が突進してくる。通常なら考える間もなく斬られるはずの速さだ。

 しかしハルヒは“時間の刃”の応用で剣を空間の一点に固定し、影の攻撃をいなす。

 影も同じ技を使ってくるが、制御の精度が違う。ハルヒは瞬間ごとに空間を切り裂き、攻撃を分断し、反撃の軌道を作る。


「過去も、未来も……俺が紡ぐ!」


 影は叫び声を上げず、ただ虚ろに、しかし容赦なく襲いかかる。

 だがハルヒは思考を研ぎ澄ませた。


 影の挙動の微細なズレを感じ取り、瞬時にスキルを連携させる。剣の軌跡を反射させ、空間を切り裂きながら一歩、また一歩と距離を詰める。


「時間は止められる。しかし、俺の意志は止められない!」


 決定的な一撃を放つため、ハルヒは心中で“時の剣”を呼び覚ます。

 剣はゆらめく光の帯となり、影の前で時間の流れを極小に遅らせる。

 その瞬間、影の動きが鈍り、攻撃が止まる。ハルヒは隙を見逃さず、空間を斬り裂き、影の体幹を貫いた。


 だが影は崩れ落ちず、逆に嘲笑のような気配を漂わせる。「お前は……本当に俺か?」


 ハルヒは答える。剣を突き出しながら、影の瞳を見据えた。


「俺は俺だ!時間を失った存在にはならない!俺の意志が、俺の時間を守る!」


 言葉と同時に、ハルヒの剣から時空の光が迸った。影の体を貫き、時間の流れが一瞬乱れる。

 その隙に、ハルヒは攻撃の軌跡を逆転させ、影の剣を受け流し、完全に制御下に置く。


 影は最期の力を振り絞るようにうめき、そして静かに崩れ落ちた。

 残ったのはただの空気の揺らぎ――時間を取り戻した世界がそこにあった。


 ハルヒは剣を下ろし、深く息をつく。胸の奥で、失った時間の重さと、守り抜いた意志の重さが同時に押し寄せる。

 戦場は再び動き出した。窓の外、魔王城の赤い光が微かに揺れる。

 時間を取り戻した彼の背中には、次の戦いへ進む決意がはっきりと刻まれていた。


「さあ……次は、魔王との戦いだ。」


 空を裂く風の音。魔王城の最深部から、時を超えた魔力の気配が迫る――七人の英雄の戦いは、まだ終わっていなかった。



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