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千年時計  作者: ちゃぴ
第1章  第1幕 時を紡ぐ時計 

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--未来断章 :ガルド編


    〈ガルドvs 壊れた獣の未来**〉


 空気が震えていた。


 世界は巨大な石壁で囲まれ、まるで規格外の闘技場のようだった。

 地面には無数の亀裂が走り、中心には打ち捨てられた鎧と武器の山──戦場の残骸が転がっている。


「ここは……戦場か?」


 ガルドは低く呟き、警戒を深めた。

 その時、石壁の影から“異様な重圧”が迫る。


 黒い鎧をまとった巨躯。


 同じ筋肉、同じ顔つき、同じ戦士の構え──

 ただしその瞳には、理性がなく、獣のような狂気しか宿っていなかった。


「俺か……? いや、“壊れた未来の俺”か」


 影のガルドは、低く唸るだけだった。


「──壊す。すべて……壊す」


 斧を握りしめ、地面を踏み砕きながら突進してくる。


 ガルドは両腕を交差させて防御したが、影の一撃は重さも速度も異常だった。

 腕がしびれ、地面に叩きつけられる。


「ぐっ……!」


「お前は壊れる。仲間を守るために、限界を越え続けた結果……

 気づけば“守るために壊す獣”になったんだ」


 影の声は、ガルド自身の内側から響くようだった。


「守るために……壊す、だと?」


「そうだ。

 仲間を守れなきゃ自分を責める。

 自分だけ無事でいるのが許せない。

 だから戦う。

 だから壊す。

 だから壊れていく」


「バカな……俺がそんな……」


「あるさ」


 影は腕を広げ、狂気の笑みを浮かべた。


「お前は優しすぎるんだよ、ガルド。

 強さを求めすぎて、弱さを捨てた。

 その未来が──“俺”だ!」


 影が地面を蹴り飛ばし、凄まじい速度で迫る。


 ガルドも拳を握りしめ、迎え撃った。


 肉と肉、力と力がぶつかり合い、石壁が震え、地面が裂ける。


 だが、押し負ける。


 影の力は圧倒的で、ガルドの拳を打ち砕かんと迫った。


(やばい……力じゃ勝てねえ!)


「なあ、“未来の俺”。」


 ガルドは影に押し込まれながら、低く言った。


「確かに俺は仲間を守れねえと自分を責める。

 でもよ、壊れるのは違うだろ。

 守るために強くなるんだ。

 壊すためじゃねえ!」


「同じだ! 強くなるほど、お前は壊れる!」


「違えよ!」


 ガルドは吠え、その声で影の動きが一瞬だけ止まる。


「俺は壊れねえ。

 だって──」


 拳に力が戻る。

 折れそうだった心に、仲間たちの顔が浮かんだ。


「仲間がいるからだ!」


 封じていた渾身の力が爆発し、ガルドの拳が影を押し返した。


「俺は、一人じゃねえ!」


 拳が影の胸へ深く突き刺さり、黒い鎧が砕け散る。


 影は膝をつき、ガルドを見上げた。


「仲間……か……

 なら、お前は……壊れねえ……な……」


 影は満足げに笑い、光に溶けていった。


 ガルドは拳を下ろし、静かに深呼吸した。


「強さってのはよ……守りたい奴がいるから手に入るもんだ。

 壊れるためじゃねえ。

 俺は……壊れねえよ」


 まぶしい光が彼を包み、現実世界へと戻していく。



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