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千年時計  作者: ちゃぴ
第1章  第1幕 時を紡ぐ時計 

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55/102

--第55話 時の渦


 黒塔五層――静寂の間を抜け、七人は次なる試練の空間に足を踏み入れた。

 そこは、“時の渦”――無数の螺旋状の光と影が絡み合い、足元から天井まで絡みつく迷宮だった。


 光の渦に触れれば過去の記憶が具現化し、影に触れれば未来の可能性が破壊される。

 踏み間違えれば、時間そのものに呑まれかねない危険な空間。


「……ここが渦の中心か」

 ハルヒは剣先を床に向け、刻印の光を脈打たせた。

 リィナは歌声を低く保ち、光の波紋が渦の動きに干渉しないよう調整する。


 レオンが前を見据え、無言で剣を握る。

「注意しろ。影の具現化は、おそらく俺たちの“後悔”や“恐怖”を利用するはずだ」


 ガルドが低く唸る。

「……後悔か……俺は、まだあの戦いのことを忘れていない」

 彼の瞳には、氷雪の戦場で見た倒れた仲間たちの幻影が一瞬よぎった。


 ミリアは杖を握り直し、光のバリアを展開する。

「心を乱すな。迷いは渦を強化するだけ」


 渦の奥、巨大な影が立ち塞がった。

 黒い鎧に覆われた騎士――いや、七人それぞれの過去の記憶を模した“幻の自分たち”だった。


「――俺たち自身の後悔か!」

 ハルヒは剣を構え、刻印の光を波紋として床に広げる。

 リィナの歌が響き、光と旋律が渦の動きを抑える。


 影のレオンは剣を振り、現実のレオンと同じ動きをする。

 影のガルドは拳を振り、現実のガルドを追い詰める。

 過去の痛みが形となり、彼らに襲いかかるのだ。


「……俺たちは、後悔に縛られない!」

 ハルヒが声を張る。

 剣を振り、時間の渦を斬り裂くと、影のガルドが崩れ、消えた。

 リィナの歌が空間に共鳴し、渦の力を“正しい時間”に戻していく。


 セリアが弓を放ち、過去の王国の悲劇を象徴する影を貫く。

 ミリアは光の盾で仲間を守り、ユグノアは渦の形を読み、最適な進行ルートを指示する。


 一歩一歩、渦の中心へと歩を進めるたび、時間の歪みが徐々に整っていく。

 ハルヒとリィナは互いに目を合わせ、剣と歌の同期をさらに深める。

 光と旋律が渦の奥で絡み合い、逆行する時間が次第に正しい流れに戻っていった。


 そして、渦の最深部に差し掛かった瞬間――巨大な光の柱が現れ、空間全体を照らす。

 渦は静まり、影も消滅した。

 七人は無言で立ち、互いに呼吸を整える。


 ハルヒは剣を軽く振り、紋章の光を消した。

「……やっと、渦を突破できたな」


 リィナが微笑む。

「ハルヒ……二人で奏でた歌が、渦を止めたんだね……」


 レオンが口角を上げる。

「お前たちの力がなければ、ここで迷子になっていただろう」


 ミリアが杖を下ろし、深く息を吐いた。

「……これで黒塔中層の核心に近づいた。

  しかし、油断はできない。塔の試練は、まだ終わりではないわ」


 ハルヒは仲間たちを見渡し、決意を胸に握り締めた。

「次の階層――塔の核心で、俺たちは魔王への道を切り開く。

 七人で進む、必ず――!」


 七人の足音が、渦の中心に向かって響き渡る。

 光と旋律に導かれ、黒塔五層の核心へと歩を進める七人。

 試練の時間はまだ続く――だが、確かな絆が彼らを支えていた。



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