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千年時計  作者: ちゃぴ
第1章  第1幕 時を紡ぐ時計 

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54/103

--第54話 静寂の誓い


 黒塔の第四層――“静寂の間”に足を踏み入れた瞬間、七人は異様な静けさに包まれた。

 風も光も、音も一切存在しない。

 呼吸の音さえ消され、足音は床に届かない。

 まるで――時間そのものが止まってしまったかのようだった。


 ハルヒは紋章の光を手でなぞる。

「……ここが、時を止められた空間か」

 リィナが隣で肩をすくめる。

「止まった時……でも、どうやって進むの?」


 額縁や影の幻は消え去り、代わりに“時の流れ”そのものが壁や床に具現化している。

 時間は見えないが、触れれば波紋として返ってくるような、不思議な感覚だ。


 ミリアが静かに言う。

「ここでは、力だけでは前に進めない。

  “時の旋律”に身を委ねる者だけが道を切り開けるわ」


 セリアが弓を握り、光を放つ。

「旋律……歌?」


 リィナは小さく頷いた。

「私の精霊の歌――でも、この空間では魔力より“時”に共鳴させる必要がある……」


 ハルヒは剣を握り、紋章の光を増幅させる。

「わかった、俺と一緒にやろう。俺のスキルで時間の流れを読み、

  リィナの歌で波動を同期させる――二人で“時の旋律”を奏でるんだ」


 ハルヒが剣先で空間を描くと、刻印の光が床に映し出された。

 リィナが低く歌うと、静寂の空間に微かな振動が広がる。

 光と歌が共鳴すると、時間の波紋がゆっくりと動き始めた。


 影のような存在が現れた。

 黒塔に潜む“逆行する時の結晶”――動きが止まった時間の破片だ。

 それらは触れれば硬化し、道を塞ぐ。


 ハルヒは剣を振り、結晶の動きを読みながら切り裂く。

 同時に、リィナの歌が振動として波紋を広げ、結晶の方向を正しい時間の流れに戻す。


「これだ……!」

 ハルヒの目に、床に浮かぶ光の道が徐々に整っていく。

 逆行する破片も、歌と剣の波動によって一つずつ消滅していった。


 リィナが笑みを浮かべる。

「……時が戻ってる……ハルヒ、凄いよ!」


 ハルヒは軽く息をつき、肩越しに仲間たちを見た。

「七人が同時に迷わないよう、俺たちが先導する。

  二人の力で、この静寂を突破するんだ」


 ミリアが杖を高く掲げ、光を床に放った。

「……時を操るのは力ではなく、心ね。

  心が乱れれば、波紋も崩れる。集中を切らさないこと」


 セリアとガルドも前方を警戒し、足を進める。

 光と歌の波動に乗り、七人は迷わぬ足取りで静寂の間を進んでいった。


 そして、最深部には大きな時の渦が現れる。

 渦の中心は逆光と闇が入り混じり、先に進むための“鍵”が待っている。


 ハルヒはリィナに目を向け、軽く頷く。

「行くぞ、リィナ。二人で、未来の道を切り開く――!」


 リィナも微笑み、歌声をさらに高める。

 剣と旋律、光と歌――七人の力が、時間そのものを動かし、黒塔中層の核心へと続く道を照らし出した。




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