帰郷93
火内の友人の願いで連れて来た凛、自分では持て余すし、監視もしなければと思っていたが、こうしてシュライトが自然と相手してくれるのなら、余計な気を回さないで良いのかもしれない。
「……予定は変わって、今週中は暇になるか。休暇だと思って時間を過ごそう」
少々慌ただしく食事をしていた手を緩めて、スープを啜り始める。
地上に来てからずっと移動して、やっとフアニに着いたら、すぐに追い出されてしまった。
大型トレーラーのお陰で、快適な移動ではあったが、こうして腰を据えて休むのとでは話が違う。
「この辺りの散策……って、地上だと、そうもいかないんだよね?」
「リナがいてくれたら、平気かもしれないスけど……散策するスか?」
やっとこさの休暇に息を吐くと、自分が地上にいる事を忘れて、いつもの言葉を口にしてしまう。
「大人しく、この基地にいな。娯楽ならあるからよ」
この前線基地で育っただけはあるらしく、美優がこの基地を案内してくれるという。
「それじゃ後は、割り当てられた部屋で休むか」
「「「はい!!」」」
全員が食事を取り終えて、今日という日が終わる。
普通のゲームなら、ここで日記でも書いて、次の日を迎える事が出来るのかもしれないが、
「リディ!!ちょっと良いか!!」
「どうしたん?」
どうやら、このゲームはまだ続きをさせたいらしく、前線基地の人が血相を変えて、貸し切りにしているはずの食堂に飛び込んで来る。
「実は、魔女が来るんだ!!」
「魔女?魔女って魔法使いの?」
エルフの事を知っている自分達としては、魔女というのも存在してもおかしくないかと、素直に受け入れてしまうが、
「いや……すまん……そうじゃなくて、魔女というのは、我々が言っている呼び名であって……フアニから、ここを使わせろって連絡があって……」
そこで、前線基地の人の言葉が淀む。
それはリディに言い難い事を伝えようとしているようで、リディと目線を合わせられなくて、目も泳いでいる。
何と説明したらかと、しどろもどろになっている前線基地の人に対して、リディはお茶を一口に飲んでから、
「あぁ、もしかしてリミィのそっくりさんの事?」
「お前、知ってるのか!?」
「実は、ここに来る前にフアニに寄っててさ、そこで会ったんだ。リミィのそっくりさんに……一応、血縁ではあるのかな?」
「そうか……知ってるなら……」
リミィのクローンを、血縁の人間と誤魔化してから知っていると伝えると、前線基地の人は、気が抜けてガックシと椅子に座る。




