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帰郷90

『ヒュゥゥゥゥゥゥ』



「くっ……」



森の中に隠れている「何か」を奇襲する為に降下をするのだが、初実は降下する勢いに慣れていなくて、体を強張らせてしまう。



霊力とマナを反発させて加速するというのは出来るらしいが、空から地上に向かって降下するというのは経験していない……というより、普通の人間なら経験するようなものでは無い。



核露は、自分が飛べるから良いが、初実は飛んでいる核露に、しがみつくしかない。



(……そうだよね……怖いよね……)



空を飛べない人間が降下して、地面が迫って来るのを見て、恐怖を覚えないはずがない……だけど、自分は恐怖を覚えない。



自分が空を飛べるから……それともドラゴンだから……そんな事を「ふとっ」思いながら、地上に降下した時には、



「逃げられた……」



「いつも逃げ足が速いんだから!!」



自分達を張っていた連中は、いなくなっている。



これが一度、二度の話では無く、ここ最近ずっとなのである。



初美を思い遣って、急降下せずに降りてはいるが、自分だけで急降下したとしても、その前に逃げられてしまっている。



初美が言うには、自分達が追って来ている「何か」は、RLのように目が良くて俊敏らしく、逃げた後は、生物が仮死状態になるようにして、気配を絶っているらしく、追う事が出来ない。



「取り敢えず、残りも追い払おう」



「お願い」



二人は再び空に上がると、初美の指示するポイントに降りては、追って来ているモノ達を追い払う。



こうして一日の仕事を終えた二人は、みんながいる所へと帰って来ると、



「二人共お帰りなさい、首尾はどうかしら?」



「自分が、相手の生命力を感じ取れれば良いのですが……」



リーフが出迎えてくれる。



「立ち向かって来ないから、どうにもならないよ」



「そうね、向こうも任務に忠実みたいね」



暖簾に腕押しの状況、核露と初実が追跡者を追い払ってる隙に、旅団は移動している。



気持ちとしては、追い払っている間に里へと戻り、核露と初実には後から戻って来て貰いたいのだが、これだけの旅団が急に消えたら、自分達の里が、すぐ近くにあるという事を伝えるようなもの。



今は、里から物資を持った者達が来て、旅団にいた者が、代わりばんこで里に戻るという事をしているから、疲弊はしていないが、



「向こうがその気なら、打って出ましょうか」



このまま良い様に、追い回されるのは面白くない。

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