帰郷89
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「お手!!」
「…………」
「お手だってば!!」
初実は、核露を躾けようと躍起になっていた。
核露は今、人間の姿でいるのだが、彼女の瞼に焼き付いたドラゴンの姿が眩し過ぎたのか、核露の人間の姿を、世を忍ぶ為の仮の姿と認識しており、
「だったら変身!!」
『……プイッ!!』
「ご主人様にそういう態度を取ると、晩御飯抜きだよ!!!!」
「ガルルルルルルル!!!!!!」
ドラゴンとして扱っている。
初実は、自分達のエルフの旅団にドラゴンが来てから毎日、手懐けようとするのだが懐かず、言う事を聞かないのに、
「核露君、良いかしら?」
「リーフさん、どうされましたか?」
「出来たらで良いの、ドラゴンに変身して、周囲を警戒して来て欲しいの」
「分かりました。任せて下さい」
「ねぇ!!あたしの言う事を聞きなよ!!」
初実の母であるリーフの言う事は、よく聞くと来たものだ。
『メキメキ……』
「そっちの形態じゃなくて、巨大なドラゴンになって!!」
「ここで大きくなって、飛び立ったら場所がバレるって」
人型のドラゴンになった核露に、初美は文句を言いながらも鞍を持ち出して、背中にしょわせる。
「ごめんね核露君。ワガママな娘で、でも役に立つから」
核露の背中にしょわせた鞍に、足を乗せて体を固定すると、
「気になさらないで下さい。それでは行って来ます」
「あたしが合図するの!!」
「分かりました姫様、警戒に向かいましょう」
「くるしゅうない!!」
二人はそのまま、空へと飛び上がるのであった。
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自分達の旅団が、どの秘密の里に戻るかを決める為にも、自分達に付いて来ている敵がいないかを警戒する。
「初美……何か感じる?」
「うん……付かず離れず……目を付けられているみたい」
核露が周囲を旋回し、初実がレーダーになって周囲を警戒すると、何かの存在を感じる。
「こういう時ってどうしてるの?連れて行って良い里があるの?」
「あるにはあるけど、そう幾つもある訳じゃないから、潰されたくない」
「奇襲する?ダイブして一気に仕留めても良いけど」
「……巨大化しない?」
「奇襲するから、このままだよ……でも、危険になったら巨大化する」
「約束だよ」
「約束ですね、姫様」
そう言うと火内は、初実が感じる場所へと降下を開始するのであった。




