帰郷87
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「見付けたね……」
「鬼の居ぬ間にとは、よく言ったものだよ」
とある部屋で、二人の男女が密接しながら会話している。
それはまるで恋人かのような距離間で、しゃがみ込んでいる男性の後ろから抱き着いて、男性の肩から女性が顔を出している。
「彼女の部屋に入り込むには、セキュリティがあって面倒なのもそうだけど、彼女の部屋だからこそ、毎日チェックしているだろうから、少しだけ拝借するというのは難しかったんだよね」
セキュリティがあって、拝借するのが難しかった……が「ねずみ小僧参上!!」と言わんばかりに、盗人が入り込んだ証拠を残すのなら話は別。
これでもかと言う程にデータを上書きして、これでもかと言う程にアタックした経歴を残して……戻って来て、この惨状を知ったら、この部屋の持ち主は卒倒するかもしれないが、そんなのはこっちの知った事ではない。
男性が隠された金庫に手を入れて、そこから取り出しのは……
「これが火内の血液……」
RLHである「火内」の保管されていた血液であった。
もう察しは付いているかもしれないが、この場所は鳥かごで、ここはリディの部屋。
「この世界の救世主に、なるかもしれない器だよ」
男性は、冷凍保存されている血液を、持って来た保冷バッグに移し替えて、自分の物にした事に笑みを浮かべる。
「それにしても拍子抜けしちゃうな……リナ達も、もう少し勘付いてくれると嬉しかったんだけど」
「あの子は純粋だから……野生の勘は強くても、こういうのには疎いの……」
リナの事を絶妙にディスっている人物……その人物は、
「そうだね、それがリナだ……さすがツバメだね。彼女の事を、しっかりと分かっている」
リナの姉貴分であるツバメで、抱き着かれている男性は、
「偉いでしょ「パパ」……頭撫でて良いんだよ?」
「パパって呼んだらダメだよ「小此木」って呼ばなきゃ……でも、二人きりだから良いのか」
あの小此木であった。




