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帰郷85

「イエス・キリストでも蘇らせるのかしら?」


救世主と言えば、彼の名を思い浮かべるのは当たり前の話……何せ、世界で一番広まっている本に記載されている人物なのだから。



「違う……格が違い過ぎて、我々の技術力で生き返らせる事は出来ない」



「そうね。あれだけの魂となると年月を掛けて、自然と運命に委ねるべきね」



ちょっとした皮肉のような言葉であったが、二人は大まじめである。



リミィのクローンの方は、一度死んでいるのと、リナのクローンの方は、人から創られているからこそ、その辺に付いては柔軟なのだろう。



「それじゃあ、誰を生き返らせるの?」



「分からない……個人的な関係なのか、協力者なのか……ただ、自分が今持っている技術で蘇らせるのは、勿体無い……最高の形で、生き返らせてあげたいって……」



「良いわ」



そう言うとリミィのクローンは、カーペットにしていた方の、リナのクローンから腰を上げて、資料を幾つか手にすると、



「これを持って行きなさい、サンプルよ」



このフアニの心臓部とも言える、RLHのサンプルを差し出す。



「何故これを……」



それは気前が良いという話では片付かない、それがフアニの重要な物だというのは、この作戦の前に念入りに言われている……それを渡すというのだ。



警戒をするのは当たり前の話であり、受け取ったとしても、何があるのか分からない以上、その場で放置する事になるだろう。



真意を聞き出す……と言う立場ではないし、聞き出そうものなら「信じないならその辺に捨てなさい」そう言われるのが関の山のはずなのだが、



「これは投資よ」



「投資?」



リミィのクローンは、このサンプルを持ち帰らせたいのか機嫌良く答える。



「だって面白いじゃない、救世主……「この世界を救うかもしれない者」なんて聞かされたら、ワクワクするじゃない。だから、投資をしてあげる」



「……自分の敵になるかもしれないと考えないの?」



「それは運命じゃないかしら?仲間になるなら面白いし、敵になるなら始末する……私を倒すというのは、中々大変なんだから。さっ、帰りなさい。私は、これから来るのを始末するので忙しくなるから」



リミィのクローンは、二人の拘束を解いて解放すると、もう用は無いと帰れる状況にする。



「…………」



「お姉ちゃん……帰ろ……」



「そうだな……これは貰って行きます」



「どうぞ、あなた達のボスに、有効に使うよう伝えてね」



リナのクローンである二人は、後退りをするような形で、サンプルを手にしながら、その場から去るのであった。

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