帰郷83
ヘルメットを奪い、中身が単なるRLHもどきなら、捕らえた時点で仲間達に引き渡し、絞れるだけの情報と、人道に基づいた出来る範囲の人体の調査を行わせる所であったが、あの子のクローン人間……浅はかならぬ何かがあるのではと、胸を弾ませるには十分であった。
「分かるでしょ?情報が欲しいだけなら薬を使えば良いだけの話を、こうしているのは、個人的な興味だからそこまでする必要は無いかなって。話が終われば私の一存で、あなた達を返して良いわ」
最初に、ハンドガンのグリップで頭を小突いたのは、どっちに主導権を分からせるためであり、何も薬を使い、拷問をしてまで情報を奪おうという気は毛頭も無い。
これは大型トレーラーの中で「お話」をした時の様に、楽しい楽しい「会話」なのだ。
「…………」
リナと同じ顔を持つ少女達、リミィのクローンにカーペットにされている方の少女は、もしもの時を考えてなのか、目を瞑ってうつぶせている。
それに対して「お姉ちゃん」と呼ばれた方の、リナと同じ顔を持つ少女は、苦悶の表情を浮かべつつリミィのクローンを見ていたが、視線を下げて自分の妹の方を見ると、降伏したかのように顔から力が抜けて、
「……私達の任務は……昔にフアニを襲ったナナフシの「筋肉サンプル」を……持ち帰る事です……」
自分の妹の命を優先した。
「ナナフシの「筋肉サンプル」か……確かに、あれは素晴らしい「作品」よね」
リミィが創ったナナフシ、それにはまだ画期的な物が存在していた……それは、ナナフシを形成する筋肉。
それは単なる筋肉の細胞では無い、RLHから抽出した筋肉の細胞を改良した筋肉。
その細長い鉄パイプの中に肉体を詰め込み、生命として活動して、戦闘が出来る所まで仕上げるとなると、普通の肉では無理だった。
そこで目を付けたのがRLHの肉、同じ筋肉量でも人間を遥かに超える密度を誇る肉、そこにバイオ技術を盛り込んだ……次世代のRLHを使用した夢の素材、それがナナフシに使われていたのだ。




