帰郷71
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「今日はご機嫌か……」
訪問者の案内を終わらせた案内人も、半休を貰っていた。
いつもなら何となくで共同墓地の清掃をするか、家に帰って「ぼーっ」と呆けているかなのだが、花屋に寄っていた。
それは、何となくで共同墓地を清掃する時の流れの一つなのだが、今日だけは「花屋に寄った」自分がいる。
花屋で目に付いた花を買うだけなのに、今日は選んだ……そして初めて知った……沢山の花がある事に。
お金と交換するだけ場所だったのに、どれを買うか悩んだ。
「花束……」
一輪の花を買って墓前に持って行くだけなのに、自分が手にしているのは、幾つかの花を組み合わせた花束。
「こんなのを供えられたら、笑っちゃうな……」
どんな花を選んで良いのか分からなくて、あれこれと選んでいたら、春夏秋冬を混ぜ込みしたかのようなブーケが出来上がってしまった。
自分で選んでおいて何だが、盆と正月が同時に来たかのような賑わいを見せていて、これを供えたら怒られそうなものだが、
「でも、私が死んだら……こういうのを供えて欲しい……」
あの美優達という、個性的な子達が選んだらきっと、こんな個性的な花束になるに違いない。
死んだ先を知る事を出来無いのは分かっているが、それでも願ってしまう。
共同墓地へと向かいながら、いつもと違う景色を見ている。
RLHの使命として、ここの人達を守るようにと言われて来たが故に、ここに住んでいる人間を守る対象として数で見ていたが、
「子供……いるよね……」
子供も……大人も老人もいる。
「…………」
共同墓地へと向かっていた足が、自然と公園の方へと向く。
大きな公園、避難場所としても使われる公園……その中で、一つのベンチに座り込むと人の営みを見て、憩いの時間を過ごす人達の輪に混ざる。
(私達が護るのは、これなのか……)
司令官は訓告の時にいつも言う「君達は誇り高い、人類を護る戦士である者達の遺志を受け継ぐ者達」だと。
それを捻くれて聞く気は無いが、何とも面倒な事を押し付けられたものだと思いながら、高待遇の扱いに、それだけの「価値」が自分にあるのだと理解していた。




