帰郷65
全員が、リディとシュライトのような反応が来ると思っていた故に、リナ達の反応は予想外であったが、それと同時に嬉しくも思う。
「あなた達が、エルフの存在を信じるというのなら話は早い。私の目的は、この世界に来たエルフ達の抹殺、それが今の使命」
「エルフの抹殺?あなたはエルフじゃ?」
火内の話では、エルフがこの世界を侵略しようとしている事は、聞かされていたけど、エルフ同士で殺し合うというのは初耳で、反応に困ってしまう。
「あなた達の世界と同じ、派閥がある。私が望んだのは、あなた達の世界から来た魂が、私の世界を圧迫したからこっちの世界に送ろうとしたんだけど、他のエルフが、この世界からの侵略行為をされたから、逆に侵略してやるって息巻いちゃって……」
「それは……大変ですね……」
「そう大変だったの……魂の時点で消滅させてやろうとしたけど、今じゃ霊能者達もいなくなちゃって……頼りがいのある仲間達だったけど、数の暴力に負けた」
そこでリミィのクローンは、困った話だと言わんばかりに眉をひそめて苦笑するのだが、そこには寂しそうな雰囲気が漂っている。
「その……話は変わりますが……」
「どうぞ」
「なんで、母さんの姿を借りているんですか?」
美優にとっては、エルフの争いとかどうでもいい、美優にとっては、エルフが母さんのクローンとして存在しているのかというのが問題。
この雰囲気だと偶々だと言われそうな気もしたが、聞いて損する事は無いのだから、質問してみると、
「それは、私がオリジナルのリミィだからよ」
「オリジナル……?あなたはクローンですよね?」
本人の口から出たのは、美優の想像していない言葉であった。
自己紹介で、自分の事をクローンって言っておきながら、今は自分がオリジナルだという。
「それって、どういう意味ですか?今は自分こそが、オリジナルだと言うんですか?」
クローン人間は人間じゃない……そんな差別的な事を言うつもりはないが、母さんの姿を借りて、自分が「リミィ」だと言われるのは気分の良い話ではなく、そこに付いては白黒をしっかりと付けたい。
「言葉をそのまま受け取ってね。私は向こうの世界から、こっちに来る時に魂だった。ずっとでは魂を維持し続ける事が出来ずに、最終的には、この世界で成仏して魂の欠片になったんだけど……」
そこでリミィのクローンは自分の顔を指差し、
「あなたのお母さんが、私の魂の欠片を多く受け取ったのでしょうね。私の特徴が強く出ちゃったのよ」
「そんな事が……あり得るんですか?」
あっけらかんとする説明に、美優は天を仰いでしまう。




