帰郷63
「何のつもりでRLHを送って来たのか分からないが……警戒はすべきだと思ったし、こっちを警戒もされたくなかった」
「……だから私達を墓参りに?」
「そう……こことはあまり関係を持ちたくなかったから、早めにここから切り上げる旨を伝えてある。予定と違う話をしたら、いきなりで誰かは反応すると思ったんだ」
「あたしは……反応しちゃったかも……」
「自分もッス……」
RLHを差し向けられた時点で、自分達は歓迎されていないと判断して、司令官には即興で当初と違う予定を伝える事になるが、そこにリナ達がいては素っ頓狂な声を出して、顔をしかめるのは容易に想像が付く。
「悪かった美優……」
「いえ良いんです……リディさんは、やっぱり頼りになります」
不本意とはいえ、リミィの死と、美優達の事を利用してしまった……自分でも禄でも無い事をしたと思っている。
「でも……そっか……そいう事だったのか……」
美優は少し顔を上げる。
「そういう事……スか?」
「ほらっ……さっきの案内人の人が言ったろ。お墓に手を合わせてくれる人がいないって」
「……あれって」
それは比喩では無いし、美優を慰める為の小粋な事を言っていたのではない……本心を言っていたのだ。
彼女は定期的に共同墓地を清掃していると言っていた……だから見ていたのだ……自分の元になった人のお墓に、手を合わせてくれる人がいない事を。
「辛かったろうな……」
自分が死んだ後の事を知る事が出来無い……けれど、案内人の人はクローン人間……自分が死んだ後の末路を疑似的に体験している気分であったに違いない。
「ここは新しいフアニで……昔の人が、ここに来るのは大変だろな……死んだ人を弔うのも大事だけど、今日を生きて、明日を手にする為には……過去に縋っている場合じゃない人の方が多い……」
元の人間とは違う関係、立場、それを考えれば、元の人間のような状況に必ずなるとは言い切れないが……それでも良い気分になれないだろう……自分の元になった人の所に、手を合わせてくれる人がいない事は。




