帰郷60
「大型トレーラーの後ろから入るなら、案内するわ」
シュライトの視線が、大型トレーラーの後ろの方に向けられる。
一悶着をすると言うのなら、パワードスーツとパワージャケットは必須になるだろう。
「リナちゃんが前から、私達三人は、後ろからで良いかしら?」
「自分は、それで良いッス」
「出来るだけ引き付けるね」
リナとミィオもやる気らしく、シュライトの提案に乗って、大型トレーラーにいる者を始末しようと……
「いや、案内人の人が言ってたろ。いきなり手を下して来る事は無い……だろうって」
「そう言えば……そう言ってたわ」
案内人が、余りにも重々しい雰囲気で言っていたので、思い違いをしてしまったが、案内人は確かに、いきなりの襲撃はして来ないと言っていた。
「中にはリディさんだけはじゃなくて、凛もいる。下手な事をしてこじれるより、普通にしていた方が良いはずだ……そんなに慌てなくてもいざとなれば、うちの秘密兵器が気張ってくれるもんな?」
「はい!!美優さん!!」
ここまで冷静にいられるのは、案内人を信頼しているから……彼女から感じた寂しさは、自分と近い何かがあるように思えた。
「中で、自分達を待っているかもしれないから行こう」
彼女の言葉が、自分達を嵌める為では無く、自分達を気遣っていると信じる。
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「戻りました」
念には念をという事で、リナを筆頭にして大型トレーラーの中に乗り込む。
自分達の戻る所を奪われたかどうかは、次に返って来る言葉で決まる……
「戻ったか、お前達……」
リディの声が返って来た……これで、少なくとも大型トレーラーが襲撃されたという線は消えるが、リディの声には明るさが無い。
どこか思い詰めたかのような重い声に、リナの視線がリディを探すとそこには、もう一人知らない誰かがいて、
「こんにちは、RLHさん」
「えっ?」
リナを見た途端に、リナをRLHと呼んだ。
自分の正体がバレている事に、リナは動揺して足を止めたが、
「なんで……どうして……」
「そんな……だって……」
美優とミィオは、声に驚愕して足を止める。
「どうしたの?」
足を止めた二人にシュライトが、中を覗き込むように体を前に出すと、そこには変哲の無い女性が座っている。
リナは、自分の事をRLHとバレたから足を止めたが、二人が足を止めた理由は分からず、何事なのかと目を細めていると、
「お母さん……」
「お母さん……?お母さんって?」
美優が言った言葉に驚いて、目が見開く。




